健康テーマ別特集: ロコモ:知って防ぐ VOL.3

【Q&A篇】 筋肉強化で骨・関節も強くなる!

骨や筋肉などが衰えて動作が困難になるロコモディブシンドローム(通称ロコモ、和名は運動器症候群)の予防は、介護などに頼らず、自立した状態で健康に暮らすための重要なテーマ。40代ぐらいから意識するべきことなのですが、はたしてどんなことに重点をおくべきなのでしょう。今回はそのポイントを明らかにします。

筋肉を強化すれば、骨も関節も強くなります。何歳からはじめても遅くはありません。

教えてくれた先生

医療法人一心会 伊奈病院 整形外科部長
NPO法人 高齢者運動器疾患研究所代表理事
石橋 英明 先生

石橋 英明 先生

骨の強化にも筋トレが有効なのですか?

筋肉を強くすると骨も強くなります。

ロコモの要因のひとつ、骨が脆くなり、骨折しやすくなる状態を骨粗しょう症といいます。骨粗しょう症は中高年の病気というイメージが強いのですが、若年層でも生活習慣次第ではそのリスクは高くなります。ことに痩身志向が強く、ダイエットで食事を制限すると、骨や筋肉の材料となるタンパク質、骨の形成に欠かせないビタミンやミネラルが不足して、将来骨粗しょう症に陥る危険度がアップ。さらに運動不足も骨粗しょう症の重大なリスクとなります。

運動は筋肉の大半を占める骨格筋(関節をまたいで骨につく筋肉)を伸縮させ、骨を刺激して強い骨づくりを助けています。ゆえに運動不足だと筋肉による骨への刺激が足りなくなり、骨が弱くなりやすいのです。筋トレは骨と関節の強化にもつながります。

筋トレは若い人にしか効果がないのでは?

筋肉はいくつになっても新陳代謝が活発なので誰でも効果が出やすいのです。

ロコモ発症の要因となる筋肉、骨、関節などの衰えのうち、筋肉は日常生活で強化しやすい部位です。からだの大半はタンパク質からできていますが、筋肉を構成しているタンパク質は1〜2か月で組織の半分が入れ替わります。それくらい新陳代謝が活発な部位なので、衰えた筋肉もトレーニング次第では比較的短期間に強化されやすいのです。

研究によると、80歳になっても筋トレで筋力アップが図れることがわかっています。また筋トレに限らず、運動は継続してはじめて成果が上がります。筋肉は成果が目に見えて出やすいので、運動を継続するモチベーションを高く保ちやすいのです。

最後に、ロコモが注目されている背景を教えてください。

超高齢社会では健康寿命の延伸が急務だからです。

現在の日本は、人類がかつて経験したことがない超高齢社会を迎えています。そこで重要になるのが、健康寿命を伸ばすこと。健康寿命とは、介護を受けなくても、健康で自立した日常生活が営める寿命です。健康寿命を脅かす介護や寝たきりにつながる3大要因には、メタボ(メタボリックシンドローム)、認知症、そしてロコモがあります。

ロコモは、介護が必要となる原因の約23%を占めるにもかかわらず、メタボや認知症と比べると認知度が低かったことから、2007年に日本整形外科学会がロコモという概念を提唱。ロコモの認知度を高め、予防を進める活動に努めています。厚生労働省が2013年3月から推進する『健康日本21』の第2次計画でも、ロコモの認知度を8割まで高めることが目標に据えられています。