健康テーマ別特集: メタボ:知って防ぐ

メタボの腹囲の基準値は?
メタボは大きな病気の入口!

腹囲を計るので太った人だけが対象に思われがちなメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、通称メタボ。痩せていても内臓脂肪の多い人、少しずつ増えている人、その要素から高血糖、脂質異常、高血圧が心配な人も増えています。わかったつもりの人から、今メタボで悩んでいる人まで、役立つ情報をご紹介します。

まずはメタボの状態と原因を知ることから。
予防には食生活と運動の両面からのアプローチが必須です。

教えてくれた先生

神奈川県予防医学協会中央診療所循環器病予防医療部部長、
横浜市立大学特任教授・名誉教授。
1968年、横浜市立大学医学部卒業。医学博士。
杤久保 修 先生

杤久保 修 先生

メタボとは一体どのような状態ですか?

動脈硬化のリスクが高くなった状態です。

メタボリックシンドローム(通称メタボ、和名は内臓脂肪症候群)とは、内臓脂肪(消化管を固定する膜などにつく体脂肪)が溜まりすぎる内臓脂肪型肥満があり、中性脂肪やHDLコレステロール値(善玉コレステロール)、血圧、血糖値が2つ以上基準値を超えた状態です。

メタボを放置すると動脈の内腔が狭くなって血流が悪くなる動脈硬化の危険度が上がります。動脈硬化は日本人の死因のトップ3に入る心臓病や脳卒中のリスクを高めます。ことに脳卒中は寝たきりになる原因の第1位で全体の約37%を占めていますから、自立して健康な生活が営める健康寿命を延ばすうえでも、メタボ予防は非常に重要です。

メタボかどうかを見分けるポイントとは?

体重より体型に注目。お腹が出たら要注意です。

メタボの出発点になるのは内臓脂肪による肥満です。肥満とは単に体重が重たいことではなく、体脂肪が溜まりすぎた状態。体重では肥満かどうかは判断できませんし、体組成計による体脂肪率の測定も精度が高いとは言えません。そこでおへその周りで計る腹囲で内臓脂肪型肥満かどうかを判定します。大事なのは体重よりも体型。男性で腹囲が85cm、女性で90cmを超えると内臓脂肪型肥満の疑いがあります。

内臓脂肪型肥満の疑いがある人は、中性脂肪やHDLコレステロール値(善玉コレステロール)、血圧、血糖値をチェックします。それが基準値から外れるとメタボと診断されます(下表参照)。40歳から74歳は特定健診・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)で、それ以外はかかりつけ医を受診して診断を仰いでください。

【メタボリックシンドロームの診断基準】
おへそ周りの腹周
男性 85cm以上
女性 90cm以上

次の3項目のうち、いずれか2項目以上があてはまる場合
中性脂肪 150mg/dl以上 または HDLコレステロール 40mg/dl未満
血圧:収縮期(最大)血圧 130mmHg以上 または 血圧:拡張期(最小)血圧 85mmHg以上
血糖:空腹時血糖 110mg/dl以上

出典:2005年、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会など8学会によるまとめ

メタボのおもな原因を教えてください。

エネルギー収支の黒字化とリズム障害です。

内臓脂肪型肥満の根底には、食事からのエネルギー摂取が、運動などのエネルギー消費を上回るエネルギー収支の黒字化があります。この黒字分が内臓脂肪として蓄積されるのです。

この他、睡眠不足、朝食の欠食、夕食偏重といったリズム障害も内臓脂肪型肥満を招きます。たとえば、睡眠不足になると食欲が亢進して食べ過ぎる恐れがあります。

また、朝食を抜くと1日の活動と休息のリズムを切り替えている体内時計のリセットがうまく行かなくなり、代謝が低い夜間と同じ状態で午前中を過ごしてしまうので、エネルギー収支が黒字に傾きやすくなります。そして後は眠るだけでエネルギー消費が少ない夕飯を食べ過ぎると、やはりエネルギー収支は黒字化します。なぜなら内臓脂肪は夜つくられるからです。

メタボ予防のポイントを教えてください。

食生活と運動(身体活動)の両面から予防することが大切です。

メタボなどの生活習慣病の70〜80%は生活習慣の改善で予防できます。具体的には食生活と運動(身体活動)という両面からのアプローチが必要。どちらか1つだけではメタボは予防しにくいと理解してください。ただ、運動はスポーツのように激しいものだけを指すと思われがちですが、日常生活における家事や労働、頭を使った活動などの身体活動でもエネルギー消費は高まります。

◆食生活では低カロリーと栄養バランスを心がけるのが基本。

3大栄養素のなかでも脂肪は1g9kcalで、糖質やタンパク質の2倍以上のカロリーがあります から、霜降り肉のように脂肪分が多い食材は避けてください。また、寒天、野菜、キノコのように食物繊維が多い食材は少量でも満腹になりやすく、食べ過ぎが防げます。筋肉の減少は代謝(基礎代謝)の減少を招き、エネルギー収支の黒字化につながります。

筋肉はタンパク質からできていますから、体内で合成されない必須アミノ酸を含む良質のタンパク質を赤身肉、鶏肉、青魚などの魚介類、乳製品、大豆・大豆製品などからバランスよく摂り入れることが重要です。必須アミノ酸は1種類でも不足するとタンパク質合成の働きが制限されてしまうためです。その他、緑黄色野菜などから多くのビタミンを、またミネラル(カリウムやカルシウムなど)も意識して摂ることが大切です。
さらに朝食を必ず摂り、夕飯はやや控えめにしてリズム障害を解消してください。食事のエネルギー摂取比率は、朝4:昼3:夜3に心がけましょう。

◆運動(身体活動)には2つの目的があります。

1つはエネルギー消費を増やし、無駄な内臓脂肪を燃やすこと。内臓脂肪は皮下脂肪と比べて、運動で燃えやすいという性質があります。運動といっても日常生活で続けられるウォーキングで十分。1日8,000歩から10,000歩を目標にして毎日歩いてください。速度は10分で1,000歩以上が目安となります。

もう1つは筋肉量を上げて基礎代謝の減少を防ぎ、安静時のエネルギー収支の黒字化を避けること。30歳以降、加齢で筋肉量は年約0.8%ずつ低下しますが、自宅で行えるスクワットなどの簡単な筋トレで筋肉量と基礎代謝は保つことができます。

歩いて内臓脂肪を燃やし、筋トレで代謝アップ!

メタボの元凶となる無駄な内臓脂肪を減らすなら、ウォーキングが手軽。
1日8,000歩から10,000歩、歩くことを目標にしてください。

通勤時に最寄り駅のひと駅手前で降りて歩いたり、あえて遠くのスーパーやコンビニへ買い物に出かけるなどして、日常生活で歩数を増やす努力をしましょう。加齢とともに低下する基礎代謝を保つためには、筋肉を刺激する筋トレも不可欠。雨などで外を歩けないときなどに試してみてください。筋トレは週2〜3回行うのが効果的です。

ウォーキングのポイント

  1. 1 . 頭を引き上げる
  2. 2 . 胸を張り、背すじを伸ばす
  3. 3 . 両腕を大きく振ってバランスを取る
  4. 4 . 下腹に力を入れてひっこめる
  5. 5 . 膝を曲げ過ぎず、前方の膝はやや高く上げる
  6. 6 . 着地はかかとから
  7. 7 . 次に重心をやや小指(小趾)寄りに移す
  8. 8 . 最後は親指(拇趾)を中心に蹴る
    ※なるべく多くの筋肉を使うように心がける
  9. 9 . 歩幅をやや広めに取り、普段より早歩きをする
筋トレ1 片足上げ

  1. 1 . 椅子の背もたれに片手を添えて立つ。
  2. 2 . 口から息を吐きながら、片足の膝を床と平行の高さより上にゆっくり引き上げる。鼻から息を吸いながら戻る。時々かかとも膝と同時に引き上げる。片足50回終えたら、左右を変えて同様に行う。
筋トレ2 スクワット

  1. 1 . 両足を肩幅に開いて立ち、両手を頭の後ろに添える。背すじを伸ばし、胸を張る。
  2. 2 . 口から息を吐きながら、後ろの椅子に座るようにお尻を後ろに突き出してしゃがみ、同時に肘を前に出す。鼻から息を吸いながら戻る。しゃがむときに背中を丸めないで、膝がつま先より前に出ないように注意する。10回×3セットを目安に行う。
筋トレ3 腹筋運動

  1. 1 . 床で仰向けになり、両膝を揃えて立てる。両腕は体側に沿って伸ばす。
  2. 2 . 口から息を吐きながら、背中を丸めて上体を起こし、両手で太ももを軽くマッサージ。鼻から息を吸いながら戻る。10回×3セットを目安に行う。

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