「本当にフタしてないんですよね? 僕の見てないうちにフタしてません?」
餃子芸人のクック井上。さんが思わず疑ったのは、フタも油も水もなしで焼き上がった、味の素冷凍食品の「AJINOMOTO BRANDギョーザ」。その一皿の裏側にあったのは、開発者・竹内萌恵さんをはじめとした開発チームの試行錯誤。竹内さん自身、これまでに食べ比べた餃子は約1万個にのぼります。
「餃子は全部違って、全部うまい」が持論の料理芸人と、就活で「レンジの餃子をパリパリにしたい」と語って入社した餃子ひと筋の開発者。ふたりの「餃界人(ぎょうかいじん)」が、「ギョーザ」のおいしさの秘密についてとことん語り尽くします。

インタビューした人
生産・研究開発本部 研究・開発センター 商品開発部 開発第1グループ
竹内 萌恵さん
「AJINOMOTO BRANDギョーザ」とシューマイの開発を担当。おいしい餃子を世界に広めるために、入社以来8年間、ギョーザに関わる研究開発に日々励んでいる。毎日のお弁当づくりや休日のパン・菓子作り、ランニングが趣味。

インタビューした人
料理家・料理芸人
クック井上。さん
お笑いコンビ「ツインクル」のツッコミ担当。趣味の料理が高じ、フードコーディネーター・野菜ソムリエなどの料理関係の資格を取得。数々の餃子の名店の味を知り、「餃子芸人」としても活躍。「本当にうまい餃子を決めるアワード」であるJAPAN餃子大賞の審査員も務める。TV・ラジオ出演のほか、料理講師/レシピ開発など幅広く活動中。
1万個食べている開発者✕餃子好き料理芸人
──竹内さんは、入社から8年間ずっと餃子の開発に携わっているそうですね。

竹内さん「はい。餃子とシューマイの開発を担当していて、平日は自分やチームの試作品、他社さんの商品など、8年間で1万個近くは食べてきたと思います。お店も、関東を中心に50店舗くらいは回りました」


クック井上。さん(以下クックさん)「8年で1万個はなかなかですよ。平日だけで計算したら、1日5個以上でしょ?」

竹内さん「そうですね。もともと餃子が好きで、就職活動で『配属されたら何を改善したいですか』と聞かれたときも、『レンジでつくる餃子の焼き目をパリパリにしたいです』と答えて入社したくらいなので」


クックさん「僕もめちゃめちゃ餃子が好きで。好きが高じて『JAPAN餃子大賞』の審査員まで務めるようになりましたが、『何がいちばん好き?』と聞かれたら、『何がいち…』くらいで食い気味に『餃子!』といいます。実家も大の餃子好きで、週末は家族みんなで『包まざるものー?』『食うべからずー!』と言いながら包むのが恒例。餃子を食べるときは、食卓には餃子とご飯、親父は餃子とビール、あとは漬物だけという、餃子が主役のハードコアな食卓でした。今でも1食で30〜40個は全然食べます」

竹内さん「すごい(笑)」

クックさん「今日は餃子の世界に生きる『餃界人(ぎょうかいじん)』同士、仲良くなれそうですね」

フタなしで、まーるく。油も水もなし、5分焼くだけ
──竹内さん、おいしい「ギョーザ」の焼き方を教えてください。

竹内さん「特別なことはいらなくて、火をつける前のフライパンに凍ったままの『AJINOMOTO BRANDギョーザ』 を並べてから、フタをせずに約5分焼きます。火加減は、炎の先がフライパンの底にギリギリつくくらい。油も水もいりません」


クックさん「フタがいらないのが、とにかくすごいですよね。フタなしで焼こうと思ったら、普通は一度ゆでてから焼かないと、皮の上のほうまで火が入らないはずなので」


クックさん「……あ、色がついてきた。ここから完成までは、早いですよ!」



竹内さん「火加減を守って5分焼けば、基本的にはきれいに焼き上がります。焼き色がきれいについたら『ギョーザ』のてっぺんを一度つまんで少し持ち上げ、フライパンから離してから、お皿をかぶせてフライパンをひっくり返します」


竹内さん「せーの!」


クックさん「うわー! 最高の焼き上がり! 遠目で見たらパンケーキってくらい美しい」

竹内さん「きれいに剥がれて、まーるくなってくれると、ちょっとうれしいですね。誰が焼いても、どんなフライパンでも、この『パカッ』の感動を届けたいと思って開発しています」

クックさん「冷凍餃子って家庭でどう焼くかで出来上がりが左右されがちだと思うんですけど、味の素さんの『ギョーザ』は『技術はこちらでやっときました。腕がなくても大丈夫です』というところまで作り込まれている。そこが本当にすごいところなんです」
──ではさっそく、焼きたてを召しあがってください!


竹内さん「最初はタレなしで。開発の仕事を始めてから、お店でも最初はタレをつけずに食べるようになりました。餃子そのものの味を知りたいと思って」

クックさん「この『ギョーザ』は、基本的にタレはいらないですよね。それくらい味の完成度が高い。前よりめちゃめちゃおいしくなってますよね」

竹内さん「ありがとうございます」

クックさん「少しずつ改良されてるんだと思うんですけど、僕は『うわ、全然違うやん』と思ったんですよ。今は特に野菜が生き生きしてて、すごいです」
0.05mm単位で調整した皮と、14年かけた「羽根の素」

──もちもちの皮には、どんな秘密があるんですか?

竹内さん「皮はオーストラリア産の小麦『プライムハード』を中心に使って、真空の状態でこねています。こねながら水分が生地に入っていくことで、薄くてももちもちになるんです。厚さは0.05mm単位で調整しながら、数十年かけて今の薄さにたどり着いています」
──0.05mmの違いは、わかるものなんでしょうか?

竹内さん「食べ比べるとよくわかりますよ。特にひだの部分は皮が重なっているので、差が出やすいですね」


クックさん「たしかに皮の厚さが違うと、まず舌触りが違いますもんね。薄すぎたら破れたり、もちもち感がなくなったりするでしょうし、この餃子に合う厚さ、ということなんでしょうね」
──羽根についてはいかがですか?

竹内さん「『羽根の素』は2012年から14年間、ずっと研究と改良が続いています。わたしが担当した期間だけでも、デンプンや油の種類・比率を変えた50以上のレシピを試しました」

クックさん「すごい。特に大変だったのは?」

竹内さん「フライパンへの張り付きの改善です。お客様から『ギョーザ』が張り付いてしまったフライパンを送っていただいて、『ギョーザ』を焼いてはフライパンを洗い、また焼いて……1日100個近く検証する毎日で、腱鞘炎になりそうでした(笑)」

クックさん「『冷凍餃子フライパンチャレンジ』ですよね。あれだけ集まったら、手ごわいフライパンもあったでしょ?」


竹内さん「はい。送っていただいた中には、フッ素樹脂加工が剥がれて金属が見えているような、最強に頑固で張り付きやすいフライパンがあって。そのフライパンでも張り付かなかったときに、『あ、このレシピでいけたかも』と思いました」
いろんなタレがあると、食卓が盛り上がる
──クックさん、おすすめのタレがあるそうですね。


クックさん「餃子はタレなしでもうまいんですけど、タレがあるとまた表情が変わりますよ。定番の『酢+しょうゆ+ラー油』は、ラー油を先に小皿に入れるのがおすすめです。ラー油が最後だと油が上に浮いて、1個目2個目でラー油がほとんど持っていかれちゃうんですよ。先にラー油、次にお酢を入れると、最後の1個までまんべんなくラー油が絡むんです」


竹内さん「今までラー油は最後に入れてました。すごい、全然違いますね」

クックさん「でしょ? ラー油を入れるタイミングで全然違ってくるんですよ。それから今日は『酢+山椒』と、『酢+赤じそふりかけ』の2種のタレを用意しました。『酢+山椒』は、『酢+こしょう』が好きな人にぜひ試してみてほしいです。花椒でもOKです。『酢+赤じそふりかけ」は甘みとうま味と塩分があって、しその風味と酸味が餃子にめちゃくちゃ合いますよ。ひだがある面につけるとタレがよく絡みます」


竹内さん「うん、両方好きです。さわやか! 『酢+山椒』、さっぱりしてますね!」

クックさん「ちなみに、『酢+ガラムマサラ』もおすすめです。カレー味っぽくなりそうに思うけど、全然ならない。どこの国の味かわからんけど、うまい(笑)。食卓にタレを何種類か並べておくと、『わたしはこれ』『これも混ぜてみたい』って会話が増えて楽しいですよ」
1万個食べても、餃子に「完成」はない
── 「AJINOMOTO BRANDギョーザ」 は発売から50年以上、改良を続けているそうですが、「これで完成」と思うことはないのでしょうか?


竹内さん「ないですね。今もチームで理想の『ギョーザ』を言語化して、足りないところを挙げて、ひとつずつ改良しています。それに、たくさんのお客様の声が届くので『ここはまだだったか』と気づかされることも多くて。毎日『今日はあのレシピを試して、あれも試して……』と考えながら出社しています」

クックさん「終わりがないんですよ、餃子って。同じレシピで作っても、野菜の切り方や混ぜるタイミング、餃子のタネを寝かせるかどうか、包み方なんかで全然違ってくる。何かを際立たせればいいってわけでもなくて、すごく繊細なバランスで成り立ってるんです。竹内さん、とんでもない沼に入ってしまいましたね(笑)」


竹内さん「考えすぎて、こめかみが痛くなるときもあります(笑)。私たちのスローガンは『永久改良』なのですが、おいしさの面では、お肉と野菜のベストなバランスや産地もまだまだ探れると思いますし、今後は高たんぱくや減塩など、ひとりひとりの暮らしに寄り添って選べる餃子も開発していきたいです。誰が焼いても、どんなフライパンでもきれいに焼けて、食べた人が『おいしい』と笑顔になってくれたら、それがいちばんうれしいですね」


とことん語って、焼いて、食べた対談もこれにて閉幕。今夜は「ギョーザ」を焼いて、クック井上。さんおすすめのタレを試しながら、お気に入りの味を見つけてみませんか。
