レシピのスキマ

レンジで簡単なのに本格!中華風の蒸し魚「清蒸魚」のつくり方

FOOD
2025.10.16
レンジで簡単なのに本格!
中華風の蒸し魚
「清蒸魚」のつくり方

「水気を切る」「浅めのフライパンで」「しょうゆを回しいれる」「ほどよく煮込む」……など、レシピには当たり前のように書かれている言葉の数々。でも、実際にどうすればいいの?

連載シリーズ「レシピのスキマ」では、そんなレシピからこぼれ落ちてしまう「大切なコツ」を調理科学で解き明かしていきます。

第10回目は「清蒸魚(チンジョンユー)」。「清蒸魚」とは魚を蒸してうま味を引き出し、たれと油をかけたシンプル中華料理です。「蒸す」という調理法は火加減がいらず、失敗しにくいので、本格的な味わいなのに実は初心者向き。今回は、電子レンジでさらに手軽につくります。

(はがれない&ぱさつかないピーマンの肉詰め、くさみのないふっくら煮魚をつくるコツなどを解説してきたこれまでの「レシピのスキマ」はこちらから読めます!)

役割:インタビューした人 所属:味の素社 研究者 名前:川﨑 寛也さんさん

インタビューした人

味の素社 研究者

川﨑 寛也さん

博士(農学)、味の素(株)Executive Specialist、NPO法人日本料理アカデミー理事 調理科学者、感覚科学者。生家は明治20年創業の西洋料亭「西洋亭」(北海道・根室で創業。現在は廃業)。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。専門は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明など。主な著書に『味・香り「こつ」の科学』『おいしさをデザインする』『だしの研究』(以上、柴田書店)、『日本料理大全 だしとうま味、調味料』(NPO法人日本料理アカデミー)ほか。研究分野は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明、食の体験と心理的価値の関連解明など。

基本の材料は、白身魚・香味野菜・たれ・ごま油

ここからは、味の素社の研究者・川﨑さんの実演でお届けします!
使う材料はこちら。今回はたらを使いますが、たい、すずき、ひらめなどの淡白で脂が少ない白身魚でもつくれます。パクチーはお好みですが、ぐっと風味がよくなるのでオススメです。

材料(2人分)

たら2切れ(200g)
長ねぎ1本
しょうが薄切り2枚
パクチー適量
塩・こしょう各適量
酒(下味用)大さじ1
酒(風味付け用)大さじ1
ごま油大さじ3
【たれ】
A:しょうゆ大さじ1
A:「丸鶏がらスープ™」小さじ1/2
A:水大さじ2
A:「Cook Do®」オイスターソース小さじ1
A:砂糖小さじ2/3
A:こしょう少々

レシピ提供:味の素KK

【下準備】さっとの水洗いだけで、くさみオフ!

たらを水で洗って、水気を拭き取ります

まずは、たらを水で洗って、水気を拭き取ります。

川﨑さん

川﨑さん「水で洗うだけでも、魚のくさみが取れます。たらは、においの原因である血合い部分が少ないので、さっとぬめりを洗い流すだけで大丈夫です。洗い終わったらくさみ成分が表面に残らないように、キッチンペーパーなどで水分をぬぐいましょう」

水気をとったら、塩・こしょうを軽くふり、酒をなじませ下味をつけます

水気をとったら、塩・こしょうを軽くふり、酒をなじませ下味をつけます。

川﨑さん

川﨑さん「下味をつけるのは、魚とたれの味のバランスを取り、一体感を出すためです。酒はご家庭にあるものでよいですが、オススメは紹興酒。特に中華料理は、香りよく、味に深みが出て、より本格的な味わいになります」

【下準備】においを和らげる秘訣は、長ねぎとしょうがにあり

長ねぎとしょうがは、たらと一緒に蒸すものと仕上げにのせるものの2種類

長ねぎとしょうがは、たらと一緒に蒸すものと仕上げにのせるものの2種類。仕上げ用は千切り、蒸す用は千切りで使わなかった部分を余さず活用します。

川﨑さん

川﨑さん「長ねぎとしょうがには、魚のくさみを覆い隠す『マスキング効果』があります。たらと一緒に蒸すのはくさみ消しや香りづけが主な目的なので、より香りを出すために、長ねぎの青い部分としょうがの皮も使います。一方、仕上げにのせる分は、味や食感をよくする役割です」

長ねぎの青い部分は包丁の腹でつぶすと、より香りが立つ
仕上げ用のねぎは、白い部分の外側だけを千切りに(「白髪ねぎ」という)。芯は青い部分と一緒に使う。長ねぎの青い部分は包丁の腹でつぶすと、より香りが立つ。しょうがは、出っ張り部分を切り落とし、皮をむいて四角く整形してから千切りにすると、見た目がそろってきれい。切り落とした部分も、たらを蒸す時に加える。

続いて、たれの調味料Aをすべてボウルに入れ、混ぜておきます。これで下準備は終わりです!調理に取り掛かりましょう。

たれの調味料Aをすべてボウルに入れ、混ぜておきます

ポイント1:ラップは“ふんわり”が鉄則!

ポイント1:ラップは“ふんわり”が鉄則!
長ねぎを下に敷くのは、魚を皿に直接置くと過加熱になるため

耐熱皿に長ねぎの青い部分、白い部分の芯、切り身の順でのせます。風味付けの酒を振りかけたあと、切り落としたしょうがをちらし、ラップをかけます。

川﨑さん

川﨑さん「ラップはふんわりとかけるのがポイントです。これは加熱中の蒸気の力でラップがさけたり、電子レンジから取り出した際の温度変化でラップが縮んで魚の身がつぶれたりしないようにするためです」

ポイント2:「加熱は2分30秒、余熱で3分」がふっくら食感をつくる

ポイント2:「加熱は2分30秒、余熱で3分」がふっくら食感をつくる
魚の蒸し料理は蒸し器でもつくれますが、電子レンジの方が短時間ででき、洗い物も少なくすむ

電子レンジを600Wに設定し、2分30秒加熱します。

取り出す際は皿が熱いので気をつける
取り出す際は皿が熱いので気をつける。火入れ具合の確認には、爪楊枝などを使う。たらに刺した爪楊枝の先端に触り、ほんのり温かさを感じたら火が通っている。また身が白く不透明になっていればOK!

加熱後は、火通りを確認。透明や赤い部分があれば600Wで10秒ずつ追加で加熱し、火が通ったらラップをかけたまま3分蒸らします。

川﨑さん

川﨑さん「電子レンジにかけすぎると身が固くなってしまうので、さらに加熱する際は様子を見ながら少しずつ、最後は余熱でふっくら仕上げるのがコツです」

蒸らしている間に長ねぎとしょうがを混ぜ合わせておきましょう。盛り付けた際の見た目が美しく、食べたときの味のまとまりもよくなるそうです!

蒸らしている間に長ねぎとしょうがを混ぜ合わせておきましょう

蒸らし終わったら、上にのっているしょうがをはずし、魚から出た水分を大さじ1ほど残して、余分な水分は取り除きます。

魚から出た水分を大さじ1ほど残して、余分な水分は取り除きます
川﨑さん

川﨑さん「水分を取り除くのは、たれが薄まらないようにするためです。この水分には魚のうま味が出ているので、捨てずにスープなどにアレンジするのもオススメです」

続いて、混ぜ合わせた長ねぎとしょうがをのせます。ここまでくれば、あとは仕上げのごま油とたれをかけるだけです。

ポイント3:ごま油をジュッとかけて香りよく

フライパンを回しながら温めて、ごま油に熱を均一にいきわたらせる
フライパンを回しながら温めて、ごま油に熱を均一にいきわたらせる

ごま油は、トロっとした状態からサラサラになるまで加熱したら、熱いうちにたらの皮、長ねぎ、しょうがにかかるように回しかけます(油はねには注意)。

ごま油は、トロっとした状態からサラサラになるまで加熱したら、熱いうちにたらの皮、長ねぎ、しょうがにかかるように回しかけます
川﨑さん

川﨑さん「魚の皮は脂質が多く、酸化するとにおいが出やすいんです。そこでごま油をかけて、においをマスキングします。長ねぎとしょうがは熱い油がかかることで火が通って、食べやすいやわらかさになりますし、香りもよくなります」

ごま油をかけたら、同じフライパンで混ぜ合わせておいたたれを加熱し、皿の周りに流し入れたら完成です。

ごま油をかけたら、同じフライパンで混ぜ合わせておいたたれを加熱し、皿の周りに流し入れたら完成です
たれも加熱することで、料理全体が温かく一体感のある仕上がりになる。たれを皿に流し入れるのは、たれが身に染み込みすぎるのを防ぐため
お好みでパクチーをのせると、爽やかな風味がアクセントに!
お好みでパクチーをのせると、爽やかな風味がアクセントに!

食べてみると、電子レンジで作ったとは思えないほど、本格的な仕上がりです。身はふっくら、くさみもありませんでした!短時間で簡単にでき、しかもコツをおさえれば失敗なくおいしくつくれる「清蒸魚」。ぜひみなさんも試してみてください!

  • 執筆
    佐々木 まゆ
  • 撮影
    佐々木 孝憲
  • 編集
    長谷川 賢人