知れば変わる、塩の選び方。「瀬戸のほんじお®」担当者が語る、こだわりの裏側

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2026.06.25
知れば変わる、塩の選び方。
「瀬戸のほんじお®」担当者
が語る、こだわりの裏側

料理に欠かせない塩。スーパーの棚を見ると、さらさらしたもの、しっとりしたもの、色のついたもの、国産、海外産……とさまざまな種類が並んでいます。しかし実際に選ぶ基準は「値段」や「なんとなく使い慣れたもの」という方も多いのではないでしょうか。

実は、塩によって原料も製造方法も異なり、料理の味わいにも違いが生まれます。その違いにこだわり、海水のくみ上げから製造まで、岡山で一貫して行っているのが「瀬戸のほんじお®」です。今回は担当の玉置さんに、商品のこだわりや、実際に足を運んだ製造現場で感じたことなどについて聞いてきました。

役割:インタビューした人 所属:食品事業本部コンシューマーフーズ事業部シーズニンググループ 名前:玉置 翔さんさん

インタビューした人

食品事業本部コンシューマーフーズ事業部シーズニンググループ

玉置 翔さん

2018年に入社。「瀬戸のほんじお®」や「休日だし。®︎」、「SIIDA®」も担当。今年は「瀬戸のほんじお®」を使い、初めての梅干し漬けに挑戦する予定。

国産原料100%にこだわった「瀬戸のほんじお®」

スーパーの塩売り場に並ぶ商品のなかには、さまざまな種類の塩があり、国産原料100%のものばかりではありません。

玉置さん「国産の塩の中には、製品名に日本の地名がついていても、実は輸入塩を原料としたものが多く存在します。それらの塩は、主にオーストラリア、メキシコなどから輸入した天日塩を国内で溶解し、精製、加工したものになります。その点、『瀬戸のほんじお®』国産原料100%にこだわり、岡山で海水をくみ上げて製造し、すべて国内で完結しています」

瀬戸のほんじお®のパッケージ裏
「パッケージ裏の原材料名を見ると『海水(〇〇)』と産地が書いてあります。『瀬戸のほんじお®』は「原材料名 海水(岡山)」。ここを見れば、国産原料100%かどうかがわかりますよ」

また同じ海水を原料として、うま味調味料を加えた「アジシオ®」や、塩分を抑えた「やさしお®」も作られています。

アジシオの画像

玉置さん「『アジシオ®』はうま味がプラスされているので、おにぎりやゆで卵など、仕上げのひと振りで味を決めたいときに向いています。『やさしお®』は塩分相当量が通常の塩の約半分なので、塩分が気になる方にオススメの商品です。用途はさまざまですが、どれも元は同じ瀬戸内の海水から作られています」

「精製塩」と「にがり塩」で味わいが変わる

「瀬戸のほんじお®」のもうひとつの大きな特徴は、「にがり塩」であること。「瀬戸のほんじお®」を触ると、しっとりとしていますが、これは「にがり」によるものだそうです。

玉置さん「にがりとは、塩を作る際に塩化ナトリウム(塩そのもの)と分離される液体で、マグネシウム・カリウム・カルシウムといったミネラルが豊富に含まれています。豆腐を固める際に使われることで知られていますが、塩ににがりを適量加えることで、味にまろやかさが生まれるんです」

スーパーで塩のコーナーへ行くと、「精製塩」と書かれたものを見かけます。見た目は同じ塩ですが、「精製塩」と「にがり塩」には味わいに違いがあるのだとか。

玉置さん「精製塩はしょっぱさがダイレクトに、ガツンとくるのですが、にがりが含まれていると塩味のカドが取れて、やわらかくマイルドに感じます。味わいがまろやかで、素材の味を引き立ててくれるのが、にがり塩のいちばんの特徴ですね。しょっぱさが前に出るというよりは、 食材の味を底上し、料理全体のバランスを整えてくれるような塩です」

『瀬戸のほんじお®』と『瀬戸のほんじお®』 焼き塩
ちなみに、『瀬戸のほんじお®』を480℃以上の高温で焼いたものが『瀬戸のほんじお®』 焼き塩。焼くことでさらさらとした質感になるので、仕上げのひと振りや食卓塩として使うのに向いている。

ただし、まろやかな味わいを生み出すには、にがりの量の調整が重要なのだと言います。

玉置さん「にがりはその名の通り、多すぎると苦みが出てしまいます。そのため製造工程では、塩とにがりをいったん分離し、適切な量のにがりを再び戻して混ぜ合わせています。このバランスの調整こそが、味わいの決め手です」

塩の製造工程

そんな「瀬戸のほんじお®」、今のシーズンは梅仕事にもオススメです。

玉置さん「梅干し作りに『瀬戸のほんじお®』を使っている、という声を毎年いただいています。にがり塩ならではのまろやかさが活き、食べやすい梅干しになるんです。実は今年、私自身も初めて梅干し作りに挑戦しようと思っています」

レシピはこちら→「瀬戸のほんじお®」でつくる梅干しの漬け方

梅干しの画像

約200年続く、瀬戸内の塩作り

昔の塩田と今の塩田

「瀬戸のほんじお®」の原料塩を作っているのは、岡山県のナイカイ塩業株式会社。その歴史は180年以上前にさかのぼります。

玉置さん「なぜ瀬戸内・岡山の地で塩作りが始まったのかというと、『遠浅の海』『雨の少なさ』『長い日照時間』という自然条件が揃っていたから。1829年、のちに『塩田王』とも称される野﨑武左衛門がこの地に目をつけ、広大な塩田を開拓したのがはじまりです」

塩を作ることは、一見シンプルに見えて、実はとても難しいのだそう。

玉置さん「塩作りの難しさは、海水の塩分濃度がわずか3%しかないことにあります。そのまま水分を蒸発させると、かかる時間に対して取れる塩はわずか。そこで、塩田などで海水を濃縮して『かん水』(18%前後の濃い塩水)を作ってから塩の結晶を取り出します。江戸時代から現代に至るまで、『いかに効率よくかん水を作るか』が塩作りの永遠のテーマでした」

工場の様子
「流下式塩田」(海水を高いところから流し下ろして太陽と風で蒸発させる方法)を経て、現在は「イオン交換膜製法」が主流。電気を使ってナトリウムイオンと塩化物イオンを膜で選別し、短時間で高濃度のかん水を作ることができるようになったそう

機械化が進み、効率的に塩を作れるようになりましたが、今でも人の目と手は欠かせません。

玉置さん「イオン交換膜はとても繊細なものなので、丁寧にメンテナンスすることが必要です。効率化できるところと、人が見るべきところのバランスをとりながら、責任を持って出荷できる状態を作っています」

「塩はライフライン」という誇り

製造現場を訪れた玉置さんの印象に残ったのは、想像をはるかに超えた塩作りの大変さと、そこで働く人たちの姿でした。

玉置さん「恥ずかしながら、最初は塩作りってそこまで複雑じゃないだろうと思っていたんです。でも実際に現場を見ると、かん水を作るだけでもこんなに大変なのかと驚きました。江戸時代からずっと、どうすれば効率よく作れるかを考え続けてきた歴史があって、その全部が今の塩作りに繋がっています。現場の方々が『塩はライフライン』だという誇りと覚悟を持って、ひとつひとつ丁寧に作られているのを見て、自分がこの商品を担当していることの重みを感じました」

塩田の風景

玉置さんは、塩作りへの理解を深めるほど、商品の魅力をまだ伝えきれていないもどかしさも感じていると話します。

玉置さん「精製塩とにがり塩の違いを知っている人は、まだまだ少ないのが現状です。でも違いを知ってもらうと、『じゃあにがり塩を使っていきたい』となる方が多いんです。
シンプルな料理ほど、にがり塩のまろやかさが伝わりやすいので、まずは野菜の漬物や枝豆の塩ゆでなど、素材をそのまま味わう料理で一度試していただけたらうれしいですね」

塩売り場の前で少し立ち止まって、パッケージ裏の原材料名を見てみてください。そのひとさじで、料理に小さな変化が生まれるかもしれません。

  • 執筆
    ひらいめぐみ
  • 編集
    花沢亜衣