レシピのスキマ

外はパリッと中はじゅわっ!調理科学で極める餃子の作り方&焼き方

FOOD
2026.06.17
外はパリッと中はじゅわっ!
調理科学で極める
餃子の作り方&焼き方

「水気を切る」「浅めのフライパンで」「しょうゆを回しいれる」「ほどよく煮込む」……など、レシピには当たり前のように書かれている言葉の数々。でも、実際にどうすればいいの?

連載シリーズ「レシピのスキマ」では、そんなレシピからこぼれ落ちてしまう「大切なコツ」を調理科学で解き明かしていきます。

今回は「餃子」です。皮はもちもち、底はパリパリ、噛めばじゅわっと肉汁があふれる餃子を作るコツは、水分の扱い方と火加減にあり!味の素社の研究者・川﨑さんが調理科学の視点から詳しく解説します。
記事の後半では、同じタネで作れる水餃子のレシピも紹介しています。

(パサつかないハンバーグ、ふわふわな親子丼を作るコツなどを解説してきたこれまでの「レシピのスキマ」はこちらから読めます!)

役割:インタビューした人 所属:味の素社 研究者 名前: 川﨑 寛也さんさん

インタビューした人

味の素社 研究者

川﨑 寛也さん

博士(農学)、味の素(株)Executive Specialist、NPO法人日本料理アカデミー理事 調理科学者、感覚科学者。生家は明治20年創業の西洋料亭「西洋亭」(北海道・根室で創業。現在は廃業)。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。専門は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明など。主な著書に『味・香り「こつ」の科学』『おいしさをデザインする』『だしの研究』(以上、柴田書店)、『日本料理大全 だしとうま味、調味料』(NPO法人日本料理アカデミー)ほか。味の素社から発売の『はじめてさんも、あらためてさんも 料理のしくみがわかる本』では、調理科学・レシピ監修をしている。

「料理のしくみがわかる本」詳細はこちら

餃子の醍醐味は、皮の食感と肉のジューシーさ

焼き餃子は、肉汁を中に閉じ込めながら、上部は蒸気でしっとりと蒸し、底はカリッと焼く料理。今回目指したのは、皮を噛んだ瞬間に、ジューシーな肉汁があふれる焼き餃子です。

川﨑さん「焼き餃子のカギは、タネにいかに肉汁を閉じ込めるかと、焼きと蒸しを組み合わせた加熱にあります。今回のタネはにんにくを使わず、あっさりとした味わいですが、ジューシーで満足感のある仕上がりにしています。パンチがほしい場合は、にんにくを足してください」

皮は市販の餃子の皮で作れますが、基本の材料とちょっとしたコツさえ押さえれば、手作りも意外と簡単。川﨑さん直伝のレシピをこちらで紹介しているので、もちもちとした皮の存在感を楽しみたい方は、ぜひ試してみてください!

タネ編:白菜は塩もみして水分を出す

今回のタネに使う材料は、豚ひき肉・白菜・しょうが・ねぎ・にら。まずは、野菜の下ごしらえをします。

材料の豚ひき肉・白菜・しょうが・ねぎ・にら

しょうが、ねぎ、にらはみじん切りにします。
白菜(150g)は5mm角程度のみじん切りにし、重量の約1%の塩(2g)で軽く塩もみし、10分ほどおいて水分をしぼります。お好みでキャベツを使っても構いません。

川﨑さん「白菜は細かく刻みすぎると食感がなくなるので、粗みじん切りにしましょう。塩もみをして水分を出すことで、タネが水っぽくならず、焼いても皮が破れにくくなります。塩もみが下味をつける工程も兼ねているので、最後に洗い流す必要はありません」

左:塩もみ前の白菜、右:塩もみ後の白菜
左:塩もみ前 右:塩もみ後

しぼるときは、手のひら全体でぎゅっと握りつぶすようにしぼるのがコツ。塩もみをすると、150gあった白菜は半量の約75gまでかさが減ります。じつはこの量、今回のひき肉の分量と同じ。

川﨑さん「ひき肉と塩もみ後の白菜の量を1:1にすると、肉と野菜のバランスがよいタネになります。塩もみで白菜が半量になることを見越し、『白菜は肉の量の倍』と覚えておくと、肉の量が変わっても応用がききます」

タネ編:ひき肉は塩練りと「水」でジューシーに

続いて、ひき肉の下ごしらえです。ひき肉の重量(75g)に対して約1%の塩(1g)を加え、粘りが出るまで練ります。

塩練りはこの連載の『ハンバーグ』や『ピーマンの肉詰め』でも詳しく解説しています。

塩ねり後のひき肉

川﨑さん「ひき肉は塩を加えて練るとたんぱく質の構造が変化し、保水性が高まってジューシーな食感になります。白っぽくなるまでしっかり練りましょう」

次に、調味料(砂糖ひとつまみ・しょうゆ小さじ1/2・酒大さじ1/2・こしょう少々)と水大さじ1を加え、混ぜ合わせます。

塩練りしたひき肉に調味料を加える

川﨑さん「肉は塩練りによって水分を抱えやすい状態になっています。そこに、調味料と水を加えることでジューシーさが増します。野菜を加える前に肉に味をつけるのは、調味料の塩分で野菜の余分な水分が出てしまうのを防ぐためです」

ひき肉に調味料を入れた直後と混ぜ合わせた後の様子
調味料と水を入れ終えた直後(写真左)と混ぜ合わせたあと(写真右)。肉が調味料と水を吸っているのがわかる。ここでしょうゆを少し減らし、その分オイスターソースを加えると、コクと深みが増し、よりうま味を感じるタネになる

最後に、野菜をすべて加え、混ぜます。ここでは、「こねる」ではなく「混ぜる」のがポイント。

塩練りしたひき肉に調味料と野菜をすべて加え混ぜる。

川﨑さん「練りすぎると食感が悪くなるので、全体がなじむ程度にヘラなどでさっくりと混ぜましょう。混ぜたタネはすぐに冷蔵庫へ。冷やすことで保水性が保たれ、調味料も全体になじみます。タネも固まって包みやすくなりますよ」

包み方編:肉汁を逃さないよう、すき間なく閉じる

川﨑さん「包むときのポイントは、『とにかくすき間なくしっかり閉じること』。こうすることで、肉汁を中にとどめられます。ひだの作り方は色々ありますが、今回はすき間ができにくい方法を紹介します。難しければ半分に折ってくっつけるだけでも大丈夫です」

今回は手作りの皮を使いますが、市販の餃子の皮でも同じ手順で作れます。

(餃子の皮の作り方はこちらで詳しく説明しています)

餃子のタネを皮の上に載せる
餃子を包む様子
市販の皮を使う場合は、手作りに比べて水分が少ないので、ふちに水をつけながら包む

まず、皮の中央にタネをのせ、軽く半分に折って片端をM字になるように折り込んだら、しっかりとつまみます。
次に、M字に折り込んだ部分を片手で押さえ、もう片方の手の人差し指を使ってひだをよせていきます。このとき、手前(自分)側ではなく、外側の皮だけをたたんでいきましょう。最後に端をくっつけたら完成です。

川﨑さん「餃子の底の部分を平らに整えておくと、焼くときにフライパンにしっかりと密着してきれいな焼き色がつきます」

餃子のタネを皮で包み終えた様子
包んだ餃子は、打ち粉(小麦粉・分量外)をふったバットに並べておくと、くっつきにくく、取り出しがスムーズに
ひだを作らない包むパターン
ひだを作らず半分に折るだけでもよい。その場合も皮同士をしっかり密着させる(写真左)。その状態から、皮の両端を手前に曲げ、重なりをくっつけると帽子型になる(写真右)

焼き方編:薄い焼き色をつけて、お湯で蒸す

いよいよ焼いていきます。フライパンに油小さじ1をひき、餃子を1cm以上の間隔をあけて並べます。

フライパンに包み終えた餃子を並べる
手作りの皮を使った場合、並べる前に打ち粉を払い落とす。粉が残っていると焼けて固まり、食感が悪くなる

川﨑さん「餃子の皮は加熱すると膨張してくっつきやすくなるので、間隔をあけるのがポイントです。並べ終わったら火をつけ、底にうっすらと焼き色がつくまで中火で1〜2分ほど焼きます」

餃子の焼き色を確認

川﨑さん「餃子の『もちもち』『パリパリ』とした食感は、蒸しと焼きの2段階で作ります。写真ぐらいの薄い焼き色がついたら、100℃のお湯を餃子の半分の高さまで入れてフタをし、中火で10分蒸します。上下から熱を加えることで、タネのジューシーさを保ちながら、しっかり火を通せます」

フライパンにお湯を入れふたをしている
お湯の量は、多すぎると浮いてしまい、少なすぎると上部に火が通らないので、高さの半分が目安

焼き色がつく前にお湯を注ぐと、皮がフライパンにくっついてしまいます。お湯を注ぐのは、底が軽く焼き固まってからにしましょう。

川﨑さん「冷水ではなくお湯を使うのは、フライパンの温度を下げないため。注いだ瞬間に沸騰するので、蒸気で皮全体を素早く均一に加熱できます」

焼き方編:追い油でパリパリに仕上げる

10分経ったら、フタを取り、水分を飛ばします。

左:フタを開けた直後の様子、右:水分が飛んだ様子
左:フタを開けた直後の様子、右:水分が飛んだ様子
餃子の入ったフライパンに油をいれている

水分が飛んだら、油大さじ1を加え、中火で1〜2分ほど焼きます。

川﨑さん「『ジュージュー』という音が『パチパチ』に変わったら、油を加えるタイミング。追い油によって、この連載でもお馴染みのメイラード反応が促進され、香ばしさが増します。ひだ部分にかけるとべちゃっとした食感になるので、餃子のすき間から加え、フライパンをゆすりながら底の部分にまんべんなく広げましょう。サラダ油でもいいですし、風味をつけたい場合はごま油を使ってください」

焼き上がった餃子

きれいなきつね色が食欲をそそります。ひと口ほおばると、噛んだ瞬間にじゅわっと肉汁があふれ、皮はもちもち、底はパリパリ。
12個分のレシピですが、材料を倍量にすれば24個、36個と作れますよ。

同じタネで、水餃子にアレンジ!

焼き餃子を紹介しましたが、じつは包み方と火入れの方法を変えるだけで、水餃子も同じ材料で作れます!

川﨑さん「水餃子の醍醐味はつるっとしたのどごしなので、ひだは作らず半分に折るだけで十分です。肉汁が漏れないよう、皮を重ねた部分をしっかり閉じましょう」

水餃子を包んでいる
タネを皮の中心にのせたら半分に折り、皮同士をしっかりくっつける。市販の餃子の皮の場合は、皮の端に水をつけながらとじる。

包んだ餃子は、沸騰させたお湯にひとつずつ重ならないように入れ、強火で3分ゆでます。餃子が浮いてきたら弱火にし、さらに7分ゆでます。

茹でている様子
左:ゆではじめは強火 右:浮いてきたら弱火

川﨑さん「くっつき防止のためにお湯は『たっぷり』が基本です。まず強火でゆでるのは、餃子が鍋底に沈まないように対流させるため。大きな泡がぶくぶくと立ち続けるくらいをキープします。ゆで始めはでんぷんが溶けて、特に餃子同士がくっつきやすいので、入れ終えたら軽く混ぜるのがポイントです。

餃子が浮いてきたら火が通ってきたサイン。皮が破れないよう、小さな泡がぷくぷくと出るくらいの弱火にします」

茹で上がった水餃子を器に盛る

網じゃくしなどでゆで汁を切りながらすくって器に盛り、ごま油を回しかけます。

川﨑さん「時間が経つにつれ、皮同士がくっつきやすくなるので、ごま油でコーティングしましょう。香ばしい香りもつきますよ」

完成した水餃子

しょうゆ・酢・にら・ねぎを混ぜたタレ(レシピは記事末尾)を添えたら完成です!

もちもちとした皮がつるりとのどを通り、ジューシーでありながらもやさしい味わいで食べ飽きません。

みなさんは焼き餃子と水餃子、どちらが好みですか?コメント欄から教えてください!

じつはこの餃子、白菜・にらを中華スープを冷やし固めたゼリーに替え、調理法を「蒸す」にすると、小籠包にもなります。小籠包のアレンジも近日公開予定です。

材料&調理手順

材料(12個分 ※増やす場合は材料を等倍)

<タネ>
豚ひき肉75g
塩(ひき肉用・肉の重量の約1%)1g
白菜150g
塩(白菜用・白菜の重量の1%)2g
長ねぎ1/4本(25g)
にら3本(15g)
しょうが1/2かけ
A:水大さじ1
A:酒大さじ1/2
A:しょうゆ小さじ1/2
A:砂糖ひとつまみ
A:こしょう少々
<焼き餃子>
サラダ油(焼く用)小さじ1
100℃の湯適量(餃子の半分がつかるくらい)
サラダ油またはごま油(仕上げ用)大さじ1
<水餃子>
ごま油大さじ1
B:長ねぎ(みじん切り)1/6本
B:にら(みじん切り)1本
B:酢大さじ2
B:しょうゆ大さじ1

レシピ提供:味の素KK

調理手順(共通)

つくり方

  1. 1

    白菜は5mm幅くらいのみじん切りにし、塩2gをまぶして軽く混ぜ、10分ほど置き、水分をよくしぼる。

  2. 2

    にら、ねぎ、しょうがはみじん切りにする。

  3. 3

    ひき肉に塩1gを加えて粘りが出るまでよく練り、Aを加えてさらに練る。(1)、(2)を加えてサッと混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やす。

<焼き餃子>

つくり方

  1. 1

    冷蔵庫からタネを取り出す。皮の中央にタネをのせ、軽く2つに折ったら、片端をM字に折り込んでひだの起点を作る。市販の皮の場合は、フチに水をつけてから2つ折りにする。

  2. 2

    M字に折り込んだ部分を片手で押さえ、もう片方の手の人差し指を使ってひだを寄せ、端をとじる(記事内動画参照)。底を平らに整え、薄力粉(分量外)をふったバットに並べる。

  3. 3

    フライパンに油小さじ1をひき、(2)の薄力粉を落としてから1cm間隔で餃子を並べる。

  4. 4

    中火にかけ、底にうっすら焼き色がつくまで1~2分ほど焼く。

  5. 5

    餃子の高さの半分まで100℃の湯を加える。沸騰したら、フタをして中弱火で10分加熱する。

  6. 6

    フタを取って水気を飛ばし、油大さじ1を餃子にかからないように加える。中火で1~2分ほど加熱し、焼き色がついたら器に盛る。

<水餃子>

つくり方

  1. 1

    冷蔵庫からタネを取り出す。皮の中央にタネをのせ、半分に折る。重ねた皮同士をしっかりとくっつけ、薄力粉(分量外)をふったバットに並べる。市販の皮の場合は、フチに水をつけてから2つ折りにする。

  2. 2

    鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、(1)の餃子を重ならないように加えたら、軽く全体を混ぜ、強火で3分ゆでる。

  3. 3

    餃子が浮いてきたら、弱火にし、さらに7分ゆでる。

  4. 4

    ゆで汁を切りながら網じゃくしなどですくい、器に盛る。ごま油を回しかけ、混ぜ合わせたBのたれを添える。

  • 執筆
    佐々木まゆ
  • 撮影
    佐々木孝憲
  • 編集
    とみこ