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「片栗粉」がカギ!? 調理科学で叶える ふわふわ親子丼レシピ

「片栗粉」がカギ!? 調理科学で叶える ふわふわ親子丼レシピ

2026/04/14

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「水気を切る」「浅めのフライパンで」「しょうゆを回しいれる」「きつね色になるまで」など、レシピには当たり前のように書かれている言葉の数々。でも、実際にどうすればいいの?

連載シリーズ「レシピのスキマ」では、そんなレシピからこぼれ落ちてしまう「大切なコツ」を調理科学で解き明かしていきます。

第15回目は「親子丼」です。親子丼は、材料も工程もシンプルですが、卵の火入れが難関。フライパンで上手に仕上げるコツを調理科学の視点で解説します。詳しいレシピは記事の最後で紹介しています。

(はがれない&ぱさつかないピーマンの肉詰め、オイルソースがしっかりからむ春キャベツのパスタのコツなどを解説してきたこれまでの「レシピのスキマ」はこちらから読めます!)

インタビューした人

味の素社 研究者

川﨑 寛也さん

博士(農学)、味の素(株)Executive Specialist、NPO法人日本料理アカデミー理事 調理科学者、感覚科学者。生家は明治20年創業の西洋料亭「西洋亭」(北海道・根室で創業。現在は廃業)。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。専門は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明など。主な著書に『味・香り「こつ」の科学』『おいしさをデザインする』『だしの研究』(以上、柴田書店)、『日本料理大全 だしとうま味、調味料』(NPO法人日本料理アカデミー)『はじめてさんも、あらためてさんも 料理のしくみがわかる本』(味の素株式会社)ほか。

  1. 卵に水溶き片栗粉を加えてふわっと
  2. 鶏肉はそぎ切り、ねぎは斜め切り
  3. 小さめのフライパンで、卵に厚みを出す
  4. 「フタをして蒸す」でふわっと半熟

01
卵に水溶き片栗粉を加えてふわっと

まず、卵を溶きほぐします。ここでのコツは、「混ぜすぎないこと」です。

川﨑さん「白身と黄身が均一に混ざりすぎると、味や食感が単調になります。あえて白身が残るようにざっくりと溶くと、丼ぶりの中で食感の変化を楽しめますよ。今回は、だしの中で卵をしっかり固めながらも、ふんわりとやわらかい仕上がりを目指します」

溶いた卵に水溶き片栗粉を入れ、混ぜます。

川﨑さん「親子丼の卵をふわっと仕上げるコツは、卵に水溶き片栗粉を加えることです。卵は加熱するとたんぱく質が凝固しますが、片栗粉のでんぷんが、その凝固を和らげ、固まりすぎを防いでくれます。さらに、加熱時に出る水分もキャッチしてくれるため、時間が経ってもしっとりやわらかい食感をキープできます。

片栗粉は、必ず水で溶いておくのがポイント。そのまま入れるとダマになり、食感が悪くなってしまいます。また、卵液に加える直前ではなく、下ごしらえの最初に水溶き片栗粉を作っておきましょう。あらかじめ水を含ませておくことで、均一になじみやすくなります」

02
鶏肉はそぎ切り、ねぎは斜め切り

鶏肉を、厚さ1cm、大きさ2cmのそぎ切りにします。

川﨑さん「肉は斜めに薄く切る『そぎ切り』にすると、短時間でも火が通り、やわらかくなります。断面が大きくなる切り方なので、味もなじみやすくなりますよ。親子丼の醍醐味は、卵・鶏肉・煮汁・ご飯の一体感を一口で味わうこと。そのため、2cm大くらいがちょうどいい大きさです」

鶏肉をそぎ切りにする際は、皮目を下にし、寝かせた包丁の刃元を肉に当てる。手前に引いて途中まで切ったら、最後に包丁を立て、引きながら断ち切る。そぎ切りが難しい場合は、2cm大の角切りでもOK

ねぎは程よい歯応えが残るように、5㎜厚さの斜めうす切りにします。

最後に煮汁を作れば、準備完了です。だし汁(水70mlと「ほんだし®︎」小さじ1/4を混ぜ合わせたもの)、しょうゆ30ml、みりん50mlを合わせ、よく混ぜておきます。

川﨑さん「みりんに含まれる糖分には、卵のたんぱく質が固まりすぎるのをやわらげる働きがあります。そのため、卵を加熱しても固まりにくく、やわらかく仕上がるんです。さらに、うま味成分のアミノ酸も含まれているので味わいが複雑になります」

03
小さめのフライパンで、卵に厚みを出す

今回は、2人分を作るために直径18cm程度のフライパンを使う

フライパンに、混ぜておいた煮汁と鶏肉を入れます。フライパンの大きさも、卵のふわふわ食感を作るためのポイントです。

川﨑さん「大きいフライパンだと卵が薄く広がり、平べったい仕上がりになってしまいます。ほどよい卵の厚みを出すために、鶏肉の頭が液面から1/3程度出る大きさのフライパンを選びましょう」

中火にかけ、煮汁を煮立たせます。

川﨑さん「煮立たせるのは、みりんに含まれるアルコールを飛ばすためです。ツンとした香りが抜け、甘みやうま味が引き立ちます。ただ、肉は加熱しすぎると水分が外に押し出され、パサつきの原因に。色が白く変わり、表面に火が通ったぐらいでねぎを加えてください」

04
「フタをして蒸す」でふわっと半熟

再び沸騰したら弱火にし、卵を回し入れます。ねぎはシャキッとした食感を残すため、加熱しすぎないようにします。

川﨑さん「片栗粉が沈殿しないように、卵は入れる直前にも軽く混ぜて加えましょう。1か所にまとめて入れると火の通りにムラができるので、円を描くように全体に回し入れます」

卵のふちが固まり始めたら、外側から中央に向かって、卵を寄せます。向きを変えながら、同様に2〜3か所行います。

川﨑さん「フライパンは真ん中付近が一番温度が高いです。中央に卵を寄せることで、まだ火の通っていない液状の部分にも均一に火が入ります」

その後すぐにフタをし、卵が半熟状になるまで20〜40秒ほど加熱します。

川﨑さん「フタをすることで、蒸気の熱が上からも加わります。上下から加熱することで火通りが均一になり、全体がふわっと仕上がります。白身が透明から白く変わったことを確認できたら火を止めてください。余熱でも火が通るので、表面にはまだとろみがある程度がオススメです」

お好みで粉山椒をふると風味がよくなる

ご飯に盛りつけたら完成です!

卵はとろとろすぎず、しっかり食べ応えがありながらも、口に入れるとふわっとほどけます。鶏肉のやわらかさ、だしのうま味、ご飯が絶妙なバランスでまとまり、箸が止まりません。ざっと溶いて残した白身が食感のアクセントにもなって、あっという間に完食しました。

今回はねぎを使いましたが、薄切りにした玉ねぎでもおいしく作れます。「卵がうまくできない……」と感じていた方も、今回のポイントを参考に、ぜひ試してみてください!

材料

親子丼(2人分)
鶏もも肉
1/2枚(160g)
長ねぎ
1/3本
4個
A:水
小さじ2
A:片栗粉
小さじ2
B:だし汁
70ml(水70mlと「ほんだし®︎」小さじ1/4を混ぜ合わせたもの)
B:みりん
50ml
B:しょうゆ
30ml
ご飯
適量
粉山椒(仕上げ用)
少々
  1. 鶏肉はキッチンペーパーで水気をとり、余分な脂肪や筋を包丁でとり除き、厚さ1cm、大きさ2cmのそぎ切りにする。ねぎは厚さ5mmの斜めうす切りにする。
  2. Aを混ぜ合わせて水溶き片栗粉を作る。
  3. 卵を溶いてAの水溶き片栗粉を加え、混ぜ合わせる。
  4. 小さめのフライパンに鶏肉とBを入れて中火にかけ、煮立てる。鶏肉に火が通ったら、ねぎを加える。
  5. 再び沸騰したら弱火にし、すぐに溶き卵をまわし入れる。全体を2〜3回混ぜてフタをし、卵が半熟状になったらご飯にのせる。好みで粉山椒をかける。

執筆/佐々木まゆ 撮影/佐々木孝憲 編集/とみこ

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