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調理科学で解決! オイルパスタのおいしい作り方 キャベツとベーコンのパスタ編

調理科学で解決!オイルパスタのおいしい作り方キャベツとベーコンのパスタ編

2026/03/26

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「水気を切る」「浅めのフライパンで」「しょうゆを回しいれる」「ほどよく煮込む」……など、レシピには当たり前のように書かれている言葉の数々。でも、実際にどうすればいいの?

連載シリーズ「レシピのスキマ」では、そんなレシピからこぼれ落ちてしまう「大切なコツ」を調理科学で解き明かしていきます。

第14回目は「春キャベツとベーコンのパスタ」です。オイルパスタは手軽に作れる一方、「油っぽい仕上がりになる」「パスタにオイルがうまく絡まない」といったお悩みをよく耳にします。
そこで、味の素社の研究者・川﨑さんがおいしく仕上げるポイントを解説します。ポイントをおさえれば、春キャベツ以外の野菜でも応用できますよ。

(はがれない&ぱさつかないピーマンの肉詰め、フライパンでなめらかな茶碗蒸しを作るコツなどを解説してきたこれまでの「レシピのスキマ」はこちらから読めます!)

インタビューした人

味の素社 研究者

川﨑 寛也さん

博士(農学)、味の素(株)Executive Specialist、NPO法人日本料理アカデミー理事 調理科学者、感覚科学者。生家は明治20年創業の西洋料亭「西洋亭」(北海道・根室で創業。現在は廃業)。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。専門は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明など。主な著書に『味・香り「こつ」の科学』『おいしさをデザインする』『だしの研究』(以上、柴田書店)、『日本料理大全 だしとうま味、調味料』(NPO法人日本料理アカデミー)ほか。

  1. ポイント1:食材の切り方で、食感も香りも変わる!
  2. ポイント2:塩の量は、水の量に対して1%が目安
  3. ポイント3:「ほんだし®︎」とバターでオイルに味付け
  4. ポイント4:弱火で、リズミカルに和える
  5. 同じ材料で別の味わいに!がっつり風味にアレンジ

01
ポイント1:食材の切り方で、食感も香りも変わる!

さっそく「春キャベツとベーコンのパスタ」の調理をしていきましょう!まずはキャベツとにんにくの下ごしらえからです。

一枚ずつはがし、軸(中央の太い葉脈)を切り取る
硬い軸は薄切りにすると火が通りやすくなる

川﨑さん「キャベツは、軸と葉で切り方を変えます。硬くて捨ててしまいがちな軸も、薄切りにすると火が通りやすくなり、おいしく食べられます。葉は繊維を断つように切るとやわらかく、繊維に沿って切るとシャキシャキとした食感に。今回はパスタとの一体感を出すため、繊維を断つ方向に1㎝幅で切ります」

小さく丸めてから切ると、切りやすい

川﨑さん「次はにんにくです。にんにくは細胞が壊れることで、香りのもとと酵素が反応し、独特の香りが生まれます。これを『酵素反応』といいます。にんにくは細かく刻むほど香りが強くなり、包丁の腹でつぶしてから切ると、より香りが出ます。今回は春キャベツのやさしい味わいをいかすため、つぶさずにみじん切りにします」

みじん切りにしたにんにくは、オリーブオイルで弱火で炒めます。

左:炒めはじめ。にんにくがまんべんなくオリーブオイルに浸るように炒める。右:きつね色になったら火を止めてOK

川﨑さん「にんにくの香りをオイルに移すイメージで、オイルの中で熱します。焦げると苦味が出るので、弱火でゆっくり加熱しましょう」

続いて、副材料のベーコン、パセリ、唐辛子も下ごしらえします。

食感のバランスをそろえるため、ベーコンもキャベツと同様に1cm幅に。パセリはお好みですが、葉をみじん切りにして加えると、爽やかな香りと苦味がパスタの味を引き締めてくれます。

唐辛子は半分にちぎり、軽く振って種を落とす

川﨑さん「唐辛子の種には、辛味のもととなるカプサイシンが多く含まれるので取り除きます。辛いのがお好みの方はそのままでも大丈夫です」

02
ポイント2:塩の量は、水の量に対して1%が目安

パスタをゆでるため、鍋に水を沸かします。ここで大切なのが塩。
水の量に対して1%、今回は水1Lに塩10g(小さじ2)を加えます。2人分なら、水1.5Lに対して塩15g(大さじ1)を加えましょう。

川﨑さん「お湯に塩を入れるのは、パスタに下味をつけるためです。沸騰したらパスタを入れ、袋の表示より1分短くゆでます。ここで意識したいのが火加減。理想は『ゆったりフツフツ』です」

理想の火加減
左:火加減が弱い 右:火加減が強い

川﨑さん「火が弱すぎるとゆで時間が長くなって食感が悪くなり、強すぎるとでんぷんが溶け出して麺がベタつきます。大きな泡がゆっくり立つくらいがちょうどよい火加減です。

ゆではじめは麺同士がくっつきやすいので、最初だけ軽く混ぜましょう。袋の表示よりも1分短くゆでるのは、オイルと和えるときも加熱するためです」

パスタがゆであがる2分前にキャベツの軸、1分前に葉を入れて、一緒にゆでます。

川﨑さん「春キャベツは水分が多いので、加熱しすぎると甘みや香りが抜けてしまいます。軸と葉でゆで時間を変え、どちらもちょうどよいやわらかさに仕上げましょう。ゆで汁は、このあとのオイルソース作りにも使うので、お玉1杯分ぐらい残しておきます」

03
ポイント3:「ほんだし®︎」とバターでオイルに味付け

パスタをゆでている横で、ソースの準備をします。

にんにくを炒めたフライパンに、唐辛子・ベーコン・パセリを加えて炒めます。

火を止め、パスタのゆで汁を大さじ2ほど加えて「ほんだし®︎」を溶かします。

火を止めるのは「ほんだし®︎」とバターの香りを飛ばさないため

川﨑さん「キャベツはアンチョビと相性がよい食材。今回はアンチョビを使うイメージで、より手軽な『ほんだし』を味付けに使います。ほんだしは燻したかつお節、アンチョビは発酵したカタクチイワシが原料で、どちらもうま味成分のグルタミン酸が豊富。似たような風味を出すことができるんです」

最後にバターを加え、溶かします。

川﨑さん「バターを加えると、オイルソースにコクと香りがプラスされます。シンプルなオイルパスタだからこそ、味わいにぐっと奥行きが出ます」

04
ポイント4:弱火で、リズミカルに和える

いよいよ仕上げです。フライパンを弱火にかけ、ゆであがったパスタとキャベツをオイルソースと和えていきます。

川﨑さん「バターはコクを加えるだけでなく、ソースとパスタを和えるときに起こる『乳化』も助けてくれます。乳化とは、油と水のように本来混ざりにくいものが均一に混ざった状態のこと。うまくいくと、オイルソースがパスタ一本一本にしっとり絡みます。

さらに、ゆで汁に含まれるでんぷんも“つなぎ役”となり、ソースが分離しにくくなります。乳化を進みやすくするため、弱火にかけながら、手早く全体を混ぜましょう」

(乳化の詳しい説明はこちらの記事でご紹介しています)

パスタとキャベツをフライパンへ移す。洗い物は増えるが、ザルにあげてから移してもOK
乳化が進むにつれてフライパンの中のオイルソースがなくなっていく

川﨑さん「乳化が成功すると、パスタにツヤが出て油が浮きません。全体にとろみがつき、ソースがしっかり絡めばOKです。油が分離する場合は、水分不足。ゆで汁を少し加えて、もう一度混ぜてみてください」

器に盛ったら、完成です!

にんにくの香りと春キャベツの甘みが広がり、「ほんだし®︎」のうま味で味わいに奥行きが生まれます。オイルソースはパスタにしっかり絡み、最後のひと口までおいしくいただけました。

通年出ているキャベツや、菜の花、ほうれん草などでもおいしく作れますよ。

05
同じ材料で別の味わいに!がっつり風味にアレンジ

実はこのレシピ、「キャベツ」「にんにく」「ほんだし®︎」の使い方を少し変えるだけで、パンチのある「ガッツリ」した味わいにもアレンジできます。

ここまで紹介した「やさしい仕立て」との違いもあわせてご紹介します。

アレンジ1:キャベツは大きめ+焼きつけて、香ばしさを出す

先ほどは、葉と軸に分けてからゆでましたが、今回は軸ごとざく切りにしたキャベツを、オリーブオイルを熱したフライパンで焼きます。

キャベツは大きめに切ると食べ応えが出る

川﨑さん「『ちょっと焦げているかな』と感じる程度まで焼き色をつけましょう。以前『焼きの極意 キャベツ編』の記事でも紹介したように『メイラード反応』が起き、香ばしさと深い味わいが生まれます」

アレンジ2:にんにくはあと入れで、生っぽさを残す

ベーコンも焼き色をつけると香ばしさが増す

オイルソースを作ります。キャベツをフライパンの端に寄せ、火を弱火にして、空いたところにオリーブオイルを加えてベーコン、にんにくを炒めます。

川﨑さん「今回はにんにくをキャベツのあとに加えます。加熱時間が短くなるため、生に近い強い香りが残り、味のアクセントになります。オリーブオイルをキャベツを焼く時、ベーコン・にんにくを炒める時と、2回に分けるのは、油の量を調整するためです。最初に油を多く入れるとキャベツに全部付着してしまいます」

アレンジ3:「ほんだし®︎」を炒めて、香ばしさを引き出す

バターを入れるとクリーミーな風味になるため、ガッツリな仕立てではあえて加えない

「ほんだし®︎」を加え、弱火で軽く炒めます。

川﨑さん「『ほんだし』はかつお節を燻す工程でメイラード反応が起きています。さらに炒めることで、焼いたキャベツのメイラード反応の風味を補強することができるんです。香ばしさが増し、より炒めたアンチョビに近いコクが出ます」

先ほど同様に唐辛子・パセリのみじん切りを加えたら、オイルソースは完成です。

やさしい仕立てでは、ゆでる工程、和える工程を合わせた全体の加熱時間が長い分、パスタを短めにゆでる。一方、このアレンジでは短時間で和えるため、パスタは袋の表示通りにゆでる

ゆでたパスタをフライパンに移し、和えます。

川﨑さん「まずはオイルソースとパスタを和え、一気に乳化させます。そのあと全体を混ぜ合わせましょう。オリーブオイルがなじみにくい場合は、パスタのゆで汁を少しずつ加えて調整します」

キャベツの焼き色とにんにくの香ばしさがガツンと効いた、食べ応えのある一皿に。「やさしい」「ガッツリ」、その日の気分で作り分けて楽しんでみてください。

材料&調理手順

材料(1人分)
春キャベツ
160g
スパゲッティ(1.9mm)
80g
にんにく
1かけ
ベーコンブロック
40g
ほんだし®
小さじ1/2
唐辛子
1/2本
パセリ
1本
エキストラバージンオリーブオイル
大さじ2
バター(やさしい仕立てのみ)
10g
1L
10g(小さじ2)※水の量の1%が目安

やさしい仕立て 調理手順

  1. キャベツは中央の軸をV字に切り取り、薄切りにする。葉は丸めて、繊維を断つようにして1cm幅の細切りにする。にんにく・パセリはみじん切りにし、ベーコンは1cm幅に切る。唐辛子は種を出しておく。
  2. 鍋に水を沸かし、塩を加え、沸騰したらスパゲッティを袋の表示時間より1分短くゆでる。ゆであがり2分前にキャベツの軸、1分前に葉を入れて、一緒にゆでる。
  3. フライパンにオリーブオイル、(1)のにんにくを入れ、弱火にかける。香りがたったら(1)のベーコンを加えて炒め、パセリ・唐辛子を加える。
  4. 火を止めてゆで汁大さじ2を取り出し、フライパンの空いているスペースに入れる。ほんだし®︎を加えて、ゆで汁で溶いたら、バターも加えて溶かす。
  5. スパゲッティ・キャベツを鍋から取り出してフライパンに加え、弱火にかけながらトングや菜箸で全体にソースが行きわたるようによく混ぜて乳化させる。味見をして、塩(分量外)でととのえ、お好みでこしょう(分量外)をふって、器に盛る。

がっつりな仕立て 調理手順

  1. キャベツは中央の軸ごとざく切りにする。にんにく・パセリはみじん切りにし、ベーコンは4cm幅に切る。唐辛子は種を出しておく。
  2. 鍋に水を沸かし、塩を加え、沸騰したらスパゲッティを袋の表示時間通りにゆでる。
  3. フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、キャベツを入れ、中火で焼く。焼き目がついたら弱火にし、キャベツをフライパンの片側に寄せて、空いたスペースに残りのオリーブオイル大さじ1を加え、(1)のベーコンを入れて焼き、(1)のにんにくを加えたら弱火で炒める。
  4. ほんだし®を加え、弱火で炒める。香ばしい香りがしてきたら、(1)のパセリを加える。
  5. スパゲッティを鍋から取り出しフライパンに加え、弱火にかけながらトングや菜箸で全体にソースが行きわたるようによく混ぜて乳化させる。味見をして、塩(分量外)でととのえ、お好みでこしょう(分量外)をふって、器に盛る。
  • 執筆/佐々木まゆ 撮影/佐々木孝憲 編集/とみこ
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