あふれるスープの秘訣は?ジューシー小籠包の作り方を調理科学で解説!

FOOD
2026.06.25
あふれるスープの秘訣は?
ジューシー小籠包の作り方を
調理科学で解説!

ひと口噛めば、熱々のスープと肉のうま味が口いっぱいに広がる小籠包。本場台湾やお店で食べるイメージがありますが、じつはひと工夫で、肉汁あふれる本格的な味わいをおうちで楽しめます。

レシピからこぼれ落ちてしまう「大切なコツ」を調理科学で解き明かす連載シリーズ「レシピのスキマ」。味の素社の研究者・川﨑さんが調理科学を交えながら、餃子の皮で作れる本格小籠包を教えてくれました。

(パサつかないハンバーグ、パリもちジューシな餃子を作るコツなどを解説してきたこれまでの「レシピのスキマ」はこちらから読めます!)

役割:インタビューした人 所属:味の素社 研究者 名前:川﨑 寛也さんさん

インタビューした人

味の素社 研究者

川﨑 寛也さん

博士(農学)、味の素(株)Executive Specialist、NPO法人日本料理アカデミー理事 調理科学者、感覚科学者。生家は明治20年創業の西洋料亭「西洋亭」(北海道・根室で創業。現在は廃業)。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。専門は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明など。主な著書に『味・香り「こつ」の科学』『おいしさをデザインする』『だしの研究』(以上、柴田書店)、『日本料理大全 だしとうま味、調味料』(NPO法人日本料理アカデミー)ほか。味の素社から発売の『料理のしくみがわかる本』では、調理科学・レシピ監修をしている。

タネのベースは、じつは餃子と共通

中華点心の代表選手、餃子と小籠包。似ているようで違う2つの料理ですが、タネのベースはほとんど共通なんです。

中華点心の画像
川﨑さん

川﨑さん「タネのベースとなるひき肉・香味野菜・調味料は、餃子と共通です。白菜などの野菜を加えれば餃子、スープを加えれば小籠包になります。さらに、加熱方法を変えればまた違うメニューになるのが、料理のおもしろいところです」

ここからは小籠包の作り方を「タネ編」「包み方編」「蒸し方編」の3ステップで解説します。記事の最後では、焼き小籠包の作り方もご紹介しますよ。

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タネ編:じゅわっとスープの素をゼラチンで作る

材料の画像

タネに使う材料は、豚ひき肉、ひき肉と同量のスープをゼラチンで固めたもの、しょうが、ねぎのみじん切り。最初に仕込むのは、肉汁の正体となる「ゼラチンで固めたスープ」です。

川﨑さん

川﨑さん「食べたときに広がる熱々の肉汁の正体は、ゼラチンで固めたスープ。ゼラチンとはコラーゲン由来のタンパク質で、10〜15℃で固まり、25〜30℃で溶け出します。冷やした状態でタネに混ぜ込んでおけば、蒸している間に溶け出し、食べるときにはスープになるんです」

ゼラチンで固めたスープを崩している様子

耐熱のバットなどに約80℃の湯75ml、「味の素KK中華あじ」または「丸鶏がらスープ™」小さじ1/2を入れて混ぜます。粉ゼラチン2.5gを加えて溶けるまで混ぜ、粗熱が取れたら冷蔵庫で1時間ほど冷やし固めます。

川﨑さん

川﨑さん「ゼラチンは高温で加熱するとタンパク質が変性し、固まりにくくなる場合があります。熱湯ではなく、80度程度のお湯を使いましょう。容器は、バットのように平らなものがオススメ。液の厚みが薄くなることで早く固まり、崩しやすくもなります」

固まったらタネ全体に均等に行き渡らせるために、フォークなどで崩しておきます。

タネ編:ひき肉は塩練りと水でジューシーに

ひき肉に塩を加えた画像とひき肉を練った様子

ひき肉は、重量(75g)に対して約1%の塩(1g)を加え、白っぽくなるまでしっかり練ります。

ひき肉の入ったボウルに調味料を入れる様子

続いて、調味料(砂糖ひとつまみ・しょうゆ小さじ1/2・酒大さじ1/2・こしょう少々)と水大さじ1を加え、混ぜ合わせます。

肉を下ごしらえする際のポイントは、「塩練り」と「水を加えること」。塩練りで保水性が高まったところに、さらに水を加えることでよりジューシーになります。
(塩練りについては、「ハンバーグ」の回でも詳しく解説しています)

ひき肉にゼラチンスープを加えた様子

しょうが・ねぎを加えて混ぜたら、崩したゼラチンスープを加えて、さらに混ぜます。

川﨑さん

川﨑さん「ここで大事なのは、混ぜる順番と混ぜ方です。香味野菜とひき肉を合わせてからゼラチンスープを加えることで、温度が上がってゼラチンが溶けないようにします。
混ぜ方は『こねる』ではなく『混ぜる』。ヘラや手などで手早く混ぜることで、香味野菜や肉の食感を保ちながら、ゼラチンスープが溶けるのも防ぎます」

できたタネは一度冷蔵庫で冷やします。冷やすと保水性が保たれ、ゼラチンも固まるので包みやすくなります。

包み方編:肉汁とスープを逃さないように、すき間なく閉じる

包むときに大事なのは、「すき間なく、きっちり閉じること」。肉汁やスープが流れないように丁寧に閉じましょう。今回は手作りの餃子の皮を使いますが、市販の餃子の皮を使っても手順は変わりません。手作りの皮の場合は、餃子よりも薄めに生地を伸ばすのがオススメです。

皮にタネをのせている様子

皮の中央にタネをのせ、片方の手の親指と人差し指で皮のふちをつまみ、引っ張りながらひだを寄せ、両手の親指と人差し指でひだを密着させます。

川﨑さん

川﨑さん「具材は、ふちに余白ができるくらいを目安に入れると、きれいに包めます。ひだを一周作ったら、上部をつまんでねじりながら閉じましょう。こうすると、肉汁とスープが漏れません」

包み始め〜包む様子
包む様子〜包み終わり

ひだを作るのが難しい場合は、まず皮を半分に折り、中央のみをくっつけます。左右の皮の中央も中心に集めるように折りたたみ、ひだを折り込んで上部をつまんで閉じるだけでも大丈夫です。

ひだを作らず包む様子

包み終えたら、せいろに並べていきます。皮がくっついて破れるのを防ぐために、蒸し布やクッキングシートをしいておきます。

川﨑さん

川﨑さん「クッキングシートは、せいろの形に合わせて丸くカットし、穴を開けておきましょう。蒸気の逃げ道を作ることで、水がたまらず火の通りが均一になります」

せいろの画像

蒸し方編:蒸気を絶やさず、フタは開けず、強火で10分

湯を沸かした鍋またはフライパンにせいろをのせます。

川﨑さん

川﨑さん「鍋やフライパンの大きさの目安はせいろと同じ直径かひとまわり大きいくらいのものを。大きすぎるとせいろがお湯に浸かり、小さすぎると直接火が当たり焦げてしまいます。ちょうどいいサイズがなければ、蒸し板をかませましょう」

せいろに小籠包をのせた様子
せいろは使う前に全体を水で濡らしておくのが鉄則。乾いた状態で火にかけると、変形やひび、焦げの原因になる

強火で10分蒸します。

川﨑さん

川﨑さん「ここでのポイントは『蒸気が出続ける状態をキープすること』。均一に火が入ります。鍋のお湯の量が鍋の半分以下に減ったら、火傷に注意しながら熱湯を足しましょう。蒸し始めと同時に小鍋やケトルでお湯を沸かしておくと便利です。温度が下がってしまうため、蒸している間にせいろのフタは開けないようにしてください」

小籠包を食べる様子

完成です!箸で割ると、熱々のスープがあふれ出ます。肉の甘みとジューシーさ、もちもちとした皮の食感が口いっぱいに広がります。

加熱方法を変えれば、焼き小籠包に!

最後の火入れ方法を「蒸す」から「焼く」に変えると、焼き小籠包も作れます。じつは焼く工程は餃子と同じ手順。調理科学の詳しい解説は餃子編に譲り、ここでは簡単に工程とコツをお伝えします。

フライパンで焼く様子
川﨑さん

川﨑さん「油(小さじ1)をひいたら、スープや肉汁が逃げないように閉じ目を先に焼き固めましょう。うっすらと焼き目がついたらOKです」

茹でる様子

70℃のお湯を小籠包の半分の高さまで入れてフタをし、中火で10分蒸します。蒸し焼きにすることで、上下から熱が加えられ、タネがジューシーに仕上がります。

油を注ぐ様子

フタを取って、水気を飛ばします。『ジュージュー』という音が『パチパチ』に変わるのがサインです。

油(大さじ1)を小籠包にかからないように加え、1〜2分加熱します。この追い油によって、メイラード反応が促進され香ばしさとパリっとした食感が生まれます。

きつね色の焼き色がついたら器に盛りましょう。

ネギやごまがかかっている様子
仕上げにネギやごまを振ると風味豊かになる

じゅわっとスープがあふれ出て、底面はカリッと香ばしい仕上がりに。同じタネで蒸しと焼き、2種類を一度に味わえるのは、おうちで作る楽しみのひとつ。ぜひ食べ比べてみてくださいね。

材料&調理手順

材料(12個分)

豚ひき肉75g
1g(ひき肉用・肉の重量の約1%)
長ねぎ1/4本(25g)
しょうが1/2かけ
A:約80℃の湯75ml
A:「味の素KK中華あじ」(または「丸鶏がらスープ™」)小さじ1/2
B:水大さじ1
B:酒大さじ1/2
B:しょうゆ小さじ1/2
B:砂糖ひとつまみ
B:こしょう少々
<皮>
餃子の皮12枚
<焼き小籠包>
サラダ油小さじ1(焼く用)+大さじ1(仕上げ用)
100℃の湯適量(小籠包の半分がつかるくらい)
長ねぎ(みじん切り)・白炒りごま各適量(好みで)

<共通>

つくり方

  1. 1

    バットにAを入れて混ぜ合わせる。ゼラチンを加えて溶けるまで混ぜ、1時間ほど冷蔵庫で冷やす。

  2. 2

    ねぎ、しょうがはみじん切りにする。

  3. 3

    ボウルにひき肉、塩を入れて粘りが出るまでよく練り、Bを加えてさらに練る。(1)、(2)を加えてサッと混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やす。

  4. 4

    冷蔵庫からタネを取り出す。皮の中央にタネをのせたら、片方の手の親指と人差し指で皮のフチをつまみ、ひだを寄せ、両手の親指と人差し指でひだを密着させる。一周したら上部をつまんでねじりながら閉じる。

<小籠包>

つくり方

  1. 1

    鍋、または深めのフライパンに湯を沸かす。

  2. 2

    クッキングシートを敷いたせいろに小籠包を並べる。フタをして鍋の上にのせ、強火で10分蒸す。蒸している間に湯量が減ってきたら湯を足す。

  3. 3

    蒸気に気をつけながらフタを開け、器に盛る。

<焼き小籠包>

つくり方

  1. 1

    フライパンに油小さじ1をひき、閉じ目を下にして小籠包を並べる。

  2. 2

    中弱火にかけ、底にうっすら焼き色がつくまで1~2分ほど焼く。

  3. 3

    小籠包の高さの半分まで100℃の湯を加える。沸騰したら、フタをして中火で10分加熱する。

  4. 4

    フタを取って水気を飛ばし、油大さじ1を小籠包にかからないように加える。中火で1~2分ほど加熱し、焼き色がついたら器に盛り、好みでねぎやごまを振る。

  • 執筆
    佐々木まゆ
  • 撮影
    佐々木孝憲
  • 編集
    とみこ