自炊はもっと気楽でいい。ツレヅレハナコさんのシアワセな食との向き合い方

「毎日の食事づくりが大変・・・」「栄養バランスが気になるけれど、忙しくてそこまで手が回らない」――そんな悩みを抱えている人は少なくなさそうです。
健康のために自炊したい気持ちはあるものの、忙しい毎日の中ではなかなか難しく、できない日々にプレッシャーを抱えてしまうことも。
そんな中今回お話を伺ったのは、「自炊はもっと気楽でいい」と話す料理研究家・文筆家のツレヅレハナコさん。実はツレヅレさん自身も、40代になって体調の変化を感じたことをきっかけに、無理なく続けられる食との向き合い方を模索してきたそうです。
そんな彼女に、毎日の食事づくりが“少し楽になる”考え方や、気負わず食と向き合うヒントを伺いました。

インタビューした人
料理研究家・文筆家
ツレヅレハナコさん
食と酒と旅を愛し、多くの雑誌やWEBでレシピの提案やエッセイなどを寄稿。レシピ提案や調理器具のプロデュースなども手掛ける。“からだ整え”シリーズは好評を博し、これまでに『ツレヅレハナコのからだ整え丼』『ツレヅレハナコのからだ整えカレー』『ツレヅレハナコのからだ整え弁当』(Gakken)を上梓。そのほか近著に『世界の現地ごはん帖』(光文社)など著書多数。
「他者の目は気にしない」が、心を軽くする
「ちゃんと作らなきゃ」と感じてしまう、そんな気持ちを軽くするヒントとして、ツレヅレさんが大切にしているのが「他者の目を気にしないこと」です。

ツレヅレさん「今はSNSの時代で、食事についても“人にどう見られるか”を考えてしまう人が多い印象です。でも私は、家での食事は、“自分のために作るもの”だと思っています。自分で食べるものって自分しか選べないし、コツコツ積み重ねていくもの。誰かに見せて自慢するものでも、見られて反省するものでもない。彩りが地味で映えなかろうが、全然気にしなくていいんです」
ツレヅレさんが、ここ数年お家ご飯で実践しているのは、頑張りすぎずに日々の栄養バランスを整えられる、忙しい毎日に寄り添った自炊スタイルです。数品のカンタンなおかず、その名も“仕込みおき”おかずを、時間があるときに作っておいて、それらをご飯にのせるだけというもの。

ツレヅレさん「気楽な自炊との向き合い方は、健康面だけではなく、心にもよいことに気づきました。やっぱり荒んだ食生活をしているときって、メンタルも結構削られている気がします。だからほんの少しでも、自炊して野菜や豆を食べているとか、たんぱく質がとれてるとか、“からだにいいものを食べている”ということをささやかに実感できたら、自己肯定感や自信につながると思うんです。
仕事で疲れた日でも、冷蔵庫の中に塩もみした千切り野菜がある、保存用パックで簡単に漬けたゆで卵や、ポン酢で和えただけの海藻がある……と思えば、自然と外食したり市販品を買うことが減って、家で食べようと思うようになるんですよね。結果、食費の節約にもなるし(笑)」
体調の変化をきっかけに見つけた、「無理なく続く自炊」
実はツレヅレさん自身も、40代半ばから体調の変化に戸惑いを感じていたそう。仕事柄、外食が多かったり時間が不規則だったりする生活の中で、以前よりも疲れやすさや胃がもたれるなど、体調の変化を感じることが増えたのがきっかけでした。

ツレヅレさん「30代とは違うなと感じることが増えてきたんです。外食も多かったので、家では少しでも野菜を食べたり、栄養バランスを意識した食事をしたいと思って。でもそれが負担になっちゃうと嫌なので、忙しくても簡単に続けられる自炊の方法をたくさん考えました。それを続けていくうちに、なんだか体調だけじゃなく気持ちも整った感じがあって。『きっと同じ悩みを持つ人がいるはず。自炊にハードルを感じている人にこそ試してほしい!』と思って、本にしたんです」

「栄養」だけじゃない。「食」は世界共通のコミュニケーションツール!
ツレヅレさんにとって「食」とは、人とつながるよろこびでもあります。20代のバックパッカー時代から旅が大好きで、これまでに国内外のさまざまな土地を訪れているツレヅレさん。なんと、昔から「現地で料理を習う」ようにしているというから驚き。その経験は和・洋・中・エスニックなど、ジャンルを超えた自炊レシピのレパートリーにも反映されています。

ツレヅレさん「昔から変わらず、旅へ行くときは『現地で料理を習う』ことを目的のひとつにしています。海外でも知り合いに現地の料理が得意な方を紹介してもらってお宅を訪ねたり、レストランの料理教室に参加したり。それを仕事にしたいとかではなく、世界中に溢れているおいしいものに興味があるから、自分でも作れるようになりたいと思って。
やっぱり、知らない土地で出合う初めての味や名もなき料理は、とにかくおもしろい! 言葉が通じなくても、料理は手元を見ていたら大体手順や意味がわかるのもいいところ。『食』は全世界共通のものなので、どこでも誰とでも会話が生まれる、素敵なコミュニケーションツールだと思います」

ツレヅレさん「旅先で料理を教わったら、それを新鮮な気持ちと記憶のまま持ち帰りたくて、帰国後は真っ先に友人たちを自宅に招いてフルスイングで料理を振る舞うのがお決まりの流れです(笑)。習ってきたばかりのレシピを日本でも作りやすい内容にアレンジしたりして。現地には自分しか行っていないけど、そこで見聞きしたものをみんなでわいわい食べながら、お土産を渡したり、旅の思い出話を分かち合うまでが、私にとっての旅の楽しみなんです」

ツレヅレさんにとって食は、栄養をとるだけのものではありません。人とつながったり、旅の思い出を共有したり、日常に小さな楽しみを増やしてくれるもの。だからこそ「ちゃんと作らなきゃ」と義務に感じて苦しくなってしまうのではなく、自分を楽しませる手段として付き合っていきたいと話します。できる範囲で気楽に向き合うことで、日々の暮らしが少し楽しくなるかもしれません。
自分のペースで作ること、思いっきり食べることへのよろこびにあふれたツレヅレさんの言葉やレシピには、「自炊を無理せず楽しんでみよう」と前向きな気持ちにさせてくれるヒントがいっぱい。前回ご紹介した「からだ整えカレー」も、身近な材料で手軽に作れる、夏にぴったりの一品です。こちらもぜひ読んでみてくださいね。
▼「からだ整えカレー」の記事リンクはこちら
https://park.ajinomoto.co.jp/contents/magazine/card/864516/
▼そのほか、ツレヅレさんの記事はこちら
・お正月の食べ疲れにはこれ!ツレヅレハナコさんに教わる「からだ整え」レシピ
https://park.ajinomoto.co.jp/magazine/393369/
・薬味で料理を華やかに!ツレヅレハナコさんに聞く自由で軽やかな薬味術
https://park.ajinomoto.co.jp/magazine/401565/