「AJINOMOTO PARK」のシリーズ企画「味の素社員のご飯ルール」では、社員の食卓をのぞき見。食べることが大好きな人の食生活や、料理を楽しむための準備や大切にしていることなど、それぞれの工夫を聞いています。
今回ご紹介するのは、グリーン事業推進部で働く二宮さんのご飯ルールです。
インタビューした人
グリーン事業推進部 戦略グループ
二宮 倫子さん
2024年入社。シンガポールを起点に発売を開始した新ブランド「Atlr.72™(アトリエ セブンツー)」の商品企画、コミュニケーション全般を担当。夫と年長の娘と3人暮らし。大学時代に1年間休学をし、中国へ留学。出張で月に一度はシンガポールへ。Atlr.72™のInstagramアカウント:@atlr.72_sg_official
- 無理は禁物!楽しく地球環境に配慮できたら
- 当たり前すぎて忘れていた!日本の魅力は「四季」にある
- いつだって「新しいおいしい」に出会いたい!
- 失敗は成功のもと!二宮さんのオリジナル料理2選
- 気持ちが大事!心から楽しく!
01
無理は禁物!楽しく地球環境に配慮できたら
根っからのおいしいもの好きで、約10年間、メーカーでマーケティングの仕事をしてきた二宮さん。
2024年1月に味の素社に入社し、2023年に新設されたグリーン事業推進部に所属しています。事業の大きなテーマは「食を通じた環境負荷の削減」。毎日の生活を支える「食」と「環境」。一見、遠く離れたもののようですが、その2つは密接に関連しているのだといいます。
二宮さん「たとえば、野菜や大豆などの植物性食品を中心とした食生活をすると、動物性食品を中心にするのに比べ、温室効果ガスの排出を減らすことにつながると言われています。昔から植物中心の食生活は身体にいいと言われますが、人にいい選択は、環境にもいいんです。だからといって無理して取り入れても続きませんから、どうすれば食を通しておいしく楽しく、地球とよりよい関係を築いていけるかを、日々試行錯誤しながら考えています」
02
当たり前すぎて忘れていた!日本の魅力は「四季」にある
入社以来、二宮さんはフードテック(食糧不足や環境問題の解決を目指した食の最先端技術)が特に盛んなシンガポールを舞台に新規事業を手掛けています。出張で月に一度はシンガポールに足を運ぶ中で日本とは違う価値観をとらえたそう。
二宮さん「シンガポールは常夏なので、行事を目いっぱい楽しむことで一年にリズム感をつくり、生活に彩りを添える習慣があります。例えば、春先にはショッピングモール内を桜の造花で装飾している様子を見て、常夏でもちゃんと春を迎えるんだ、と驚きましたね」
一年を通して最も盛り上がる行事の一つが9月の中秋節(日本の“お月見”)。シンガポールでは満月を愛で、大切な人の健康と幸せを願って「月餅」を贈り合う風習があり、自然を尊重し、人と人との関係を育む様子がそこにはありました。二宮さんは、その行為そのものが、事業で目指すべき人と自然の美しい関係を象徴しているように感じたといいます。そこで、1月に入社後、味の素社史上最速ともいえる驚異のスピードで新ブランド「Atlr.72™️(アトリエ セブンツー)」を立ち上げ、7月には製造を開始し、8月にはシンガポールの店頭に商品を並べました。
クッキーサンド形の月餅「Atlr.72™ Flowering Mooncake」は、可愛らしい見た目で、伝統的な月餅のスタイルとはまったく異なります。 「ギモーヴ(マシュマロに似たスイーツ)部分にはゼラチンの代わりに寒天を使用したり、クッキーはバターを一部『Solein®(ソレイン)』に置き換えてコクを出すなど、環境に配慮する工夫をいくつもしました。『Solein®』とは、二酸化炭素を栄養源に発酵プロセスで生成されるたんぱく質で、今注目の素材です。シンガポールは多様な文化が混ざり合ってきた歴史から、新しいものに対しても柔軟な価値観を持つ方が多く、新しい素材にもポジティブです」とシンガポールの国民性について二宮さんは話します。
徐々にシンガポールについて理解度が高まると同時に、日本を客観視することもできたそう。最大の気づきは、「四季」の大切さ。 「日本ではスーパーに並ぶ食材が季節で変わります。旬があるから、その時その時でごちそうが変わっていく。そのありがたみを改めて実感するきっかけになりました。一方で、最近は日本でも異常気象が続き、温暖化で果物や魚介類の品種によっては獲れる地域がどんどん北上しています。子どもたちが大人になった未来に、美しい四季を残したいんです」と二宮さん。それからというもの、「野菜中心でも満足感のあるメニューにチャレンジしたり、なるべく旬のものを手に取るようにしたり」と食生活に変化があったといいます。
03
いつだって「新しいおいしい」に出会いたい!
日々の食事で季節を感じられるよう、旬のものを取り入れている二宮さん。安くて新鮮なものとの出会いを求めて、生産者の直売スーパーへ行くことが多いのだとか。
二宮さん「野菜は直売スーパーで買うようにしています。『これは何という野菜ですか?』とか『これはどうやって使いますか』といったように、気になることは店員さんに質問をするのがお決まり。店員さん(人)を通して新しい食材に出会えて、それによって食卓が変わるっていいですよね。まさに一期一会です」
独身時代、フランス料理を一年ほど習いに行っていた経験をお持ちの二宮さん。「その成果かはわからない」と言いますが、食材を目の前にすると、「これとこれを組み合わせたらおいしそう」とメニューのアイデアが浮かんでくるのだとか。
使う食材が決まったら、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSで検索しますが、参考にするレシピが決まっても、その通りにつくらないのが二宮さん流。
二宮さん「ルーティンワークがとにかく苦手なんです。なので、同じメニューをもう一度つくることはほとんどないです。毎回新しいおいしさに出会いたくて、調味料を変えるなど、どこかしらアレンジするようにしています。特にクミンやコリアンダーなどのスパイスは登場頻度が多いです。炒め物はもちろんサラダにも合いますし、、食欲を刺激してくれます。夫婦で辛いものがとにかく好きなので、唐辛子はいろんなパターンで持っています」
ふだんの調理時間は30分程度。見た目が茶色い料理でも一気に華やかにおいしそうに見えるので、色彩豊かなお皿に盛り付けているそうです。
二宮さん「実は、90代の祖母の趣味が陶芸で、リクエストして作ってもらっています。自宅にあるお皿の半分くらいが祖母が作ってくれたもの。なので、お店で買うときはあえてカラフルで華やかなものを選びます。ベーシックなお皿は、あまり持っていませんね(笑)」
04
失敗は成功のもと!二宮さんのオリジナル料理2選
「新しいことをやってみよう精神」が強い二宮さんは、実験をするように料理を楽しんでいます。これまで作ったオリジナル料理をいくつか教えてもらいました。
一つ目が、グリーンカレーのペーストで作る鍋。同じものをほとんど作らないなか、これには一時期ハマり、何度か作ったのだそう。写真は、秋野菜のグリーンカレー鍋。
二宮さん「グリーンカレーって、しゃばしゃばタイプと濃厚タイプがあるじゃないですか。わたしは濃厚タイプが好きなんですが、カレーに対する濃度の期待値と鍋に対する濃度の期待値が異なるので、同じ料理でも鍋というフォーマットに置き直すことで、より濃厚に感じておいしいんです。〆はごはんとチーズを入れてリゾットにするのもいいですし、太麺のうどんもオススメです」
「二つ目が、豆腐と白味噌でつくるポタージュ。バターとコンソメで炒めた玉ねぎに豆腐を入れて、ブレンダーで撹拌します。そこに熱を加えながら豆乳で伸ばします。白味噌をほんの少しだけ入れるとコクが出ます!豆腐のとろみで、ヘルシーなのに濃厚です。この写真は秋を意識して和栗も混ぜたものです。シンガポールでハマった松の実と、旬のいちじくときのこを使った温サラダも一緒に」
もちろん、成功ばかりではありません。「最近は発酵が進んだキムチを使って豚キムチをつくろうとしたとき、焼肉のタレを入れたらすごくコクが出るんじゃないかと思ったのですが、意外にも味に深みが出ず(笑)。味噌を入れたらよかったのかな……?と。失敗しても、その時々にしか出会えないものとしてポジティブに受け止めています」と失敗談も明るく話します。
05
気持ちが大事!心から楽しく!
料理を楽しむためのコツとして「頑張りすぎない」を意識している二宮さん。
二宮さん「料理に義務感を感じて、疲れてしまっては元も子もないと思います。例え一品でも、おいしければそれでいいんです。Instagramで毎日すべての料理をアップしなければいけない訳ではないので(笑)。作る人が楽しくて、栄養が摂れて、家族が『おいしい』と言ってくれたら、それが一番のごちそうかなと思っています」