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キッチンで過ごす、私の夜時間。ワタナベマキさんの「明日のためにできること」

キッチンで過ごす、私の夜時間。ワタナベマキさんの「明日のためにできること」

2024/11/21

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1日の終わり、キッチンではどんな風に過ごしていますか?

明日のために、今日をよりよく終えられたら。少しでもコンディションを整えることにもつながるはず。

みなさんの「夜時間」を知りたくて、料理家のワタナベマキさんのキッチンを訪ねました。夫婦と息子、2匹の猫と暮らすワタナベさん。「夫も息子も帰宅が遅いので、平日の夜は食事もバラバラ、ひとりで過ごすことも多いんです」。

インタビューした人

料理家

ワタナベマキさん

料理家。雑誌や書籍、イベントなどで幅広く活躍。グラフィックデザイナーを経て「サルビア給食室」として料理家の活動をスタート。おいしく丁寧でありながら、シンプルなレシピが人気を呼び、毎日の料理の参考になる著書を多数出版している。近著に『日本の一年、節目の一皿』(小学館)、『ワタナベマキのサッと蒸し、ほっこり蒸し』(NHK出版)がある。

  1. 朝型だからこそ、夜は無理なくできることを
  2. 翌朝のために“名もないスープ”を仕込む
  3. お弁当にも夕食にも。肉や野菜に下味だけつけておく
  4. 気持ちよく朝を迎えるための夜の片付け&掃除
  5. やるべきことがすんだら、ゆったり自分時間でリセット

01
朝型だからこそ、夜は無理なくできることを

——普段、夜の時間をどう過ごしていますか?

ワタナベさん:朝5時に起きている私は22時には寝たいのですが、高校3年生の息子が受験勉強で忙しく、最近は帰宅が22時半ごろ。なんとか帰りを待って夕食を出して、「これ食べてね。おやすみ」という感じ。食器洗いは、すべて食洗機におまかせ。息子には、使った食器を自分で食洗機に入れ、ボタンを押してもらっています。

——夜に料理の仕込みをすることもありますか?

ワタナベさん:朝はお弁当や朝食作り、日中に撮影があればその準備などで慌ただしいので、夜できることはしています。やっておくと明日の自分のためになるから、無理なく、できることを。

仕込みといっても、夕食後に時間を取るのは難しいので、夕食を作りながら一緒にやってしまいますね。煮込み料理の待ち時間を使ったりすれば、意外と手早く進められるんです。

02
翌朝のために“名もないスープ”を仕込む

野菜は2cm角に刻んで「STAUB」の深い片手鍋へ。ワタナベさんは14cmを愛用中。

——たとえば、どんな仕込みですか?

ワタナベさん:毎日のようにしているのは、朝ごはんの仕込み。夕食用の野菜を切るついでに、撮影などで半端に余った野菜を角切りにして鍋に入れ、冷蔵庫にしまっておきます。朝はそれでスープを作るんです。

——味付けはどうするんですか?

ワタナベさん:塩だけで野菜のうま味を生かしても十分おいしいし、ごま油やしょうがで中華風にすることも。ソーセージや鶏肉を加えたり、卵を落としたり。お味噌汁にしてもいいですしね。

毎朝のスープのために、具材を考えなくていいのも助かります。余り野菜で作る“名もないスープ”が、我が家の朝ごはんの定番です。

容器に1リットルの水と7〜8cmの昆布を入れて冷蔵庫へ。「昆布水はいつも2日くらいで使い切ってしまいますね」

ワタナベさん:夜に昆布水も仕込んでおくとアレンジできて便利です。料理のひと手間は惜しみたくないけど、毎回だしをとる余裕もない。そんな時にあると救われます。朝のスープにも、夜のお味噌汁にも使えますし、調理の時に、いりこやかつお節を足して使うこともあります。

03
お弁当にも夕食にも。肉や野菜に下味だけつけておく

——ほかにも、明日の自分のためになる「夜の仕込み」はありますか?

ワタナベさん:手の込んだことはしませんが、鶏肉を2枚買ったら、その日の夜に1枚使って、もう1枚はしょうゆとみりんをもみ込んでおきます。このまま3日くらいは冷蔵庫で保存できるので、照り焼きにしたり、唐揚げにしたり。すぐに使わないときには冷凍しておきます。豚の切り落とし肉なら、しょうがとしょうゆの下味もいいですね。

日々の夕食やお弁当作りの時に、気持ちがずいぶん楽になりますよ。

鶏肉1枚(200〜250g)に対してみりんとしょうゆとみりん醤油を大さじ1ずつなじませて、ぴったりとラップをしたら冷蔵庫へ。

——「夜の仕込み」のコツはありますか?

ワタナベさん:味を決めすぎないことと、作りすぎないこと。作るのは1〜2品にし、数日で使い切れる量にとどめます。

キャベツが余ったら細切りにして塩もみしておくとか、それくらいのことです。キャベツの塩もみは万能で、塩気を絞ってマリネにしてもいいし、酢の物にもなる。ハムと合わせてサラダにもできるし、最後は煮たり炒めたりすることも。

味を決めないから、いろいろとアレンジできるので飽きずに使い切れます。何より夕食を作りながらでも、負担なく仕込めることがいちばんですね。

ごはん用の土鍋は「雲井窯」。20年以上使っているというおひつは「江戸結桶 桶栄」のもの。

ワタナベさん:あと、ごはんはほとんど朝炊きますが、朝からお米を研ぐのはたいへんなので、夜のうちに研いでザルにあげて浸水しておきます。夏場は冷蔵庫に入れ、冬場は外に出したまま。ごはん用の土鍋で炊きますが、7分で炊きあがってあとは10分程度蒸らすだけ。忙しい朝にもちょうどいいんです。

私は炊きたてよりも冷めたごはんが好きなので、炊けたらすぐにおひつへ。夜もそれを食べています。おひつが水分の調整をしてくれるのでおいしくなるし、お弁当のごはんにもいいんです。

04
気持ちよく朝を迎えるための夜の片付け&掃除

——仕込み以外に、片付けや掃除はどうしていますか?

ワタナベさん:キッチンの作業台とダイニングテーブルは、できるだけ物を出したままにしないように、夜のうちに片付けて水拭きしています。朝起きて部屋へ入った時、すぐ目につく場所なので、きれいだとそれだけで気分よく始められます。

寝る前に、一日分の生ゴミを生ゴミ乾燥機にセットするのも、毎日の習慣ですね。朝には生ゴミがパリパリになっているので、そのままゴミ箱へ。ゴミの量も減るし、乾燥した野菜くずは庭の植物の肥料としても使っています。仕事柄、生ゴミの量が多いのですが、夏場でも匂いが気にならないからストレスもなくなりました。

野菜の皮など生ゴミはネットに溜めておき、そのまま生ゴミ乾燥機の付属容器に移して本体にセットするだけ。生ゴミ乾燥機は、自治体によっては購入助成金が出るところも。

——ほかに習慣にしていることはありますか?

ワタナベさん:翌日も気持ちよく仕事や家事ができるように、夜のうちにふきんを煮沸しています。琺瑯の洗面器にお湯とふきんを入れて煮沸すると、びっくりするくらい汚れが落ちるんです。寝る前の片付けをしている間にぐつぐつ煮込んで、あとは乾燥機へ。お料理でだしを取るといったひと手間は惜しまない代わりに、掃除や片付けなど面倒に感じることは、できるだけ便利なツールや家電に頼って乗り切っています。

05
やるべきことがすんだら、ゆったり自分時間でリセット

——夜やるべきことがひと通りすんだら、何をして過ごしますか?

ワタナベさん:19時には夕食を済ませ、20時〜21時ごろまでに仕事のメールのやり取りなどを終えたら、あとは韓国ドラマを観て過ごすのが楽しみです。寝るまでの1時間くらいで、ちょうど1話分。大好きな日本酒をチビチビ飲みながらのドラマ鑑賞は、リラックスであり、自分に戻るリセットでもあります。

嫌なことがあっても、ひざに乗った猫をなでながら韓国ドラマを観てぐっすり眠ったら、たいていのことは忘れてしまいます(笑)。夜はしっかり寝て、家事や仕事は朝にするのが私には合っているみたいです。

  • 執筆/高野 瞳 撮影/佐々木 孝憲 編集/長谷川 賢人
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