「料理をどうしても好きになれないんです」。そう告白してくれたのが、整理収納コンサルタントの本多さおりさんです。なんでも献立や材料、味付けなど料理の「考える」作業が苦手なのだとか。けれど、家族の食事作りは毎日欠かせません。
二人の男の子を育てながら働く本多さんは、どのように苦手な料理と日々向き合っているのでしょうか?
(料理が苦手な本多さんならではの、“考えない冷蔵庫”収納術もこちらでご紹介しています!)
インタビューした人
整理収納コンサルタント
本多 さおりさん
「生活重視ラク優先」をモットーに、日々の暮らしを快適にする収納術を雑誌やwebで提案している。近著に『無印良品と365日』、『あるものを活かして愛着のある部屋に育てる』(ともに大和書房)などがある。
- 料理嫌いは克服せず、無理のない付き合い方を見つける
- 「考えない」調理の味方、ホットクック
- 揚げ物や電子レンジ調理が、救世主に!
- 気分の上がるキッチン道具を味方に、少しでも楽しく料理を
- 暮らしに、小さな喜びを育て続ける
01
料理嫌いは克服せず、無理のない付き合い方を見つける
──料理が好きではないと気づいたのはいつからですか?
本多さん:もう、ずっとです。実家が飲食店だったんですが、子どもの頃から料理には興味が持てなくて……。結婚して向き合おうとしても、スーパーでなにを買ったらいいかわからない。キャベツ一玉をカゴへ入れる方たちを見て、「どうやって使い切るの?」と途方に暮れるばかりでした。食材を切ったり、調理の下準備をしたりするのはいいのですが、献立、食材の組み合わせ、味付けを考えるのが、なかなかつらい作業で・・・。
──それでも料理をする理由は?
本多さん:やっぱり、子どもたちがいるので避けては通れなくて。すべてを出来合いのものや外食ですませるのはお金がかかるし、栄養も気になりますし。だから、できるだけ作るようにはしています。
──「嫌い」をどう克服しているんですか?
本多さん:克服していません(笑)。むしろ「料理は嫌いだ」って素直に認めることにしたんです。好きになろうとした時期もあったんですが、やっぱりダメでした。今は割り切って、できるだけ手放す工夫をして「つらくならない程度に続けていく」というスタンスです。
02
「考えない」調理の味方、自動調理鍋
──たとえば、どんな工夫をされているんですか?
本多さん:SHARPさんの自動調理鍋「ホットクック」を6年前から取り入れています。たとえば、ミートソースは材料を入れて、「ミートソース」を選んでスタートボタンを押すだけ。混ぜたり、火加減をコントロールしたりもおまかせなので、とても助かっています。
ホットクックを買ったのは、仕事に、家事に、育児にてんてこ舞いの毎日で、心にも時間にも余裕がなかった頃です。そんな話をママ友にしたら、「家事代行を頼んでいるよ」って教えてもらったんです。
私もなにかを手放すなら苦手な料理だろうと思って、そのママ友の話に「そうだよね、何かに頼らないと無理だよね」と、その晩にポチっちゃいました(笑)。以前から存在は知っていたけれど、使いこなせるかわからず……。踏み切れずにいましたが、今では2台に増やすくらいになりました。1台でお米を炊いて、もう1台でおかずを作ったりしています。
──自動調理鍋は、どんなところがいいですか?
本多さん:考えなくていいところがいちばん大きいですね。付属のレシピ通りにやればいいだけ。冷凍食材もそのまま入れられるので、解凍の時間を考えずにすむんです。調理中もずっとついている必要がないから、その間に他の家事ができます。
03
揚げ物や電子レンジ調理が、救世主に!
──ほかにも、ラクをするために取り入れていることはありますか?
本多さん:揚げ物でしょうか。「揚げ物って意外とラクだし、料理が苦手な本多さんにぴったり」とすすめられて、半信半疑だったんですがやってみたんです。そうしたら、味付けも単純だし、炒め物みたいに火加減を気にしなくていいなって思えて。
1cmくらいの油で揚げ焼きすれば、後片付けもそれほど大変ではありませんでした。残った油は、子どもが使い古した靴下で吸って捨てたりしていますね。
──揚げ物は、むしろ大変そうなイメージがありましたが、火加減を気にしなくていいのは確かにラクですね。
本多さん:それで言うと、電子レンジの蒸し料理もよくやりますね。なかでも、リッチェルさんが販売している「コランダー&バット レクタングル 」は、すぐに一品できるので助かっています。
04
気分の上がるキッチン道具を味方に、少しでも楽しく料理を
──料理への精神的な負担を軽くするためにしていることはありますか?
本多さん:料理が好きではないからこそ、使いやすくて、見た目も好きなキッチン道具で気分を上げています。 たとえば、揚げ物をはじめたのをきっかけに、油はねガードを購入しました。油はねを防いでくれるので、壁やコンロ周りが汚れません。黒色のシンプルな見た目も気に入っています。
──嫌いだからこそ、色々な道具に味方になってもらうんですね。
本多さん:そうですね。助けてもらいたい気持ちでキッチン道具を店頭へ見に行きます。料理は好きじゃないけれど、生活は好きなんです。だから、日々の暮らしを少しでも心地よく過ごせたらと思って。そのためにも、日頃から感じた「こんなものがあればいいのに」ってモヤモヤにアンテナを立てている気がします。
先ほどの油はねガードに出会ったのも、「掃除の手間を減らしたいな」と思い続けていたから。
試しに買ってみて、よかったら使い続ける。合わなくなったら、また違う方法を探す。そんなふうに、自分がラクできる方法を探し続けています。
05
暮らしに、小さな喜びを育て続ける
──探り続けることに疲れて、早く正解が知りたい!とはなりませんか?
本多さん:正解を探そうとしているわけではないのかもしれません。その時々の、自分に合った方法を見つけていく感覚です。新しい発見があると、それだけで嬉しくなるんですよね。
揚げ物だって「意外といいじゃん!」って想像もしていなかった発見ができて、心が躍りました。気張って新しいことをやってみよう、なんてことは思いません。日々のモヤモヤが解決できる方法を、ゆるく更新し続けていくというか。
──ゆるく更新、という気の持ちようが大切なのかも、と思いました。
本多さん:それが私なりの料理への付き合い方であり、ひいては暮らしそのものへの向き合い方かもしれません。小さな喜びを増やし続けることが、生活を楽しむことに繋がっているのだと思います。
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