味の素社が雑誌『オレンジページ』と協力して、中学・高校生に向けて行っている『ジュニア料理選手権』。家庭料理の楽しさ、作る喜びを知る機会を増やすことを目指し、2012年にスタート以来、今回で12回目を迎えました。

今回は、〈個人部門〉で見事グランプリを獲得した、中学3年生の藤浦小花さんと、高校3年生の津野可奈己さんに、熱気冷めやらぬ授賞式直後にインタビュー!日頃どんなふうに料理と向き合っているのか、そして今後料理を通じてチャレンジしたいことなどを、和気あいあいと語っていただきました。

インタビューした人
宮城県・仙台市立山田中学校
藤浦 小花さん
個人部門・中学生の部でグランプリを受賞。 応募作品:『大好きな祖母のために「安らぎ餃子」~ヘルシーで健康的!~』

インタビューした人
愛知県・椙山女学園高等学校
津野 可奈己さん
個人部門・高校生の部でグランプリを受賞。応募作品:『一つ食べれば元気モリモリ 白玉饅頭!』
- 審査員も驚きのおいしさ! 『安らぎ餃子』と『白玉饅頭』
- グランプリの2人に聞く、料理を始めたきっかけ&魅力とは?
- 「料理は、人をしあわせにする近道」
01
審査員も驚きのおいしさ! 『安らぎ餃子』と『白玉饅頭』
まずは、グランプリを受賞した2人の応募作品を紹介します。
個人部門・中学生の部でグランプリに輝いたのは、藤浦小花さん作『大好きな祖母のために『安らぎ餃子』~ヘルシーで健康的!~』。
離れて暮らす祖母が仙台へ遊びに来たとき、外食せずとも、自宅でゆっくりと地元のおいしいものを食べてもらいたい、という想いから生まれたこのレシピ。仙台の郷土料理「あおば餃子」をベースに、皮と中身のあんに仙台特産の雪菜(ゆきな)を練り込み、リラックス効果が期待できるマカダミアナッツを組み合わせた風味豊かな一品です。

藤浦さん「祖母はいつも自分のことは後回しで、私たち孫のためにおいしい手料理を振る舞ってくれます。仙台に遊びに来ても台所に立ちっぱなしの祖母に、ゆっくり座ってごはんを食べてほしいと、このレシピを考えました。何度も試作した完成品を祖母に作ったら、びっくりした顔をして、目を細めながら『おいしいね〜!』と、とても喜んで食べてくれました」

続いて、個人部門・高校生の部でグランプリに輝いたのは、津野可奈己さん作『一つ食べれば元気モリモリ 白玉饅頭!』。
このレシピは、体調を崩して手術後に食が細くなった祖父のために、その名の通り「一品で十分な栄養がとれるように」と工夫を凝らしたもの。つるりとした皮には白玉粉に豆腐と豆乳を使い、肉あんには鶏肉、えのきだけ、長いも、中央に卵黄のしょうゆ漬けを入れるなど、まさに栄養がたっぷりと詰め込まれています。

津野さん「祖父の喉に詰まらないように、饅頭の皮の配合を吟味して歯切れをよくしたり、あんに卵白と長いもを入れて肉がかたくならないようにしたりと、食べやすさも工夫しました。最後まで苦労したのは、卵黄を中のあんにうまく閉じ込めること。何度も試作した結果、一度醤油漬けした卵黄を冷凍してから使うことに辿り着きました」

02
グランプリの2人に聞く、料理を始めたきっかけ&魅力とは?
個人部門授賞式でグランプリの名を呼ばれると、応援に駆けつけていたご家族とともに喜びと素敵な笑顔を見せてくれた藤浦さんと津野さん。
ここからは、それぞれに料理を始めたきっかけや、普段どのように料理を楽しんでいるかを伺いました。

――授賞おめでとうございます!まずは、お2人が料理を始めたきっかけを教えてください。
津野さん「料理好きな母の影響で、小学4年生から一緒に料理をするようになりました。今では料理がストレス発散になっているほど、趣味として楽しんでいます。母はいつもレシピ通りではなく、配合も味つけも自己流のオリジナルで作るんです。私もそんなふうに自分の工夫でいろんなものを作れるようになれたらいいなと思っています」
藤浦さん「私は、おばあちゃんとお母さんがすごく料理が上手で、おいしいな〜と食べているうちに作ることに興味を持ちました。4人兄弟、全員食べるのが大好きなので、両親が出かけているときに、それぞれ自分が食べたいものを作ったり、作ってほしいと頼まれたりすることが増えて、自然と料理をすることが身近になりました」

――普段はどんなときに料理をしていますか?得意料理もあれば教えてください!
津野さん「母と一緒に夕食を作っています。あとは、家族の誕生日やお祝いごとには、おしゃれなサラダやビーフシチュー、ケーキまで、手の込んだ料理をコース仕立てにして振る舞うこともあります。手間のかかるオーブン料理や煮込み系はみんな喜んでくれますね」
藤浦さん「私は親が留守のときによく作ります。4人兄弟というのもあって、本当にみんな食べる量が多いんです(笑)。『夜ごはんだけでは足りん!』みたいなときに、冷蔵庫にあるものでチャチャッと適当に作ることも。定番はオムライスです。薄焼き卵で、ごはんをパラパラに仕上げるのがこだわりです!」

――「ジュニア料理選手権」に参加した感想と、今後の夢や目標を聞かせてください。
津野さん「今回の『白玉饅頭』の完成に向けて試作を重ねる中で、栄養や作り方など、新しい発見や気づきがたくさんありました。それに、普段はこんなに料理好きの人たちと話す機会はないので、すごく楽しかったです。高校卒業後は大学で管理栄養を学びたいと思っているので、さらに食や料理に詳しくなって、おいしくて、おもしろい料理を作れるようになりたいです」
藤浦さん「これまでは、一つの料理をじっくり何度も試行錯誤しながら作ることがなかったので、この大会に参加したことで想像力がめっちゃ膨らみました! 目指している農業科のある高校では、料理コンテストにも力を入れているそうなので、またこういう機会があればぜひ挑戦したいです」
03
「料理は、人をしあわせにする近道」
中高生のフレッシュな感性によるオリジナルレシピの数々が生まれた本大会。最後に、審査員を務めた味の素社の向井育子さんに総括してもらいました。

向井さん「2024年度の『大切な人を笑顔にするごはん』というテーマの通り、そこから生まれてくる料理の一つひとつにストーリーがありました。実は選考中、涙を何度拭いたかわからないほど感動しきりでしたね。みなさんが料理を楽しんでいるのがひしひしと伝わってきたのも、うれしかったです。
料理って、身近な人をしあわせにする一番の近道だと思うんです。自分で作れるようになると、誰かをしあわせにできて、それが自分の喜びにもなる。そうやって家庭料理を作る・食べるという“しあわせのスパイラル”が循環する一つのきっかけとして、『ジュニア料理選手権』が役立てるように、来年以降もこの取り組みを続けていく予定です。」
この記事をご覧になってくださったみなさんも一緒に、次回2025年度の学生たちの挑戦を応援していただけたらうれしいです。