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包丁の切れ味を保つには?包丁マイスターに聞いた「シャープナー」活用のポイント

包丁の切れ味を保つには?包丁マイスターに聞いた「シャープナー」活用のポイント

2025/02/27

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包丁の切れ味を保つには「研ぎ」が欠かせません。砥石を使う方法が定番ですが、使いこなすのはなかなか難しいところ。

AJINOMOTO PARK公式コミュニティ「味のもト~ク」でアンケートを取ったところ、砥石を使う人が約30%の一方、扱いやすい「シャープナー」を用いるという人が約70%を占めました。

また、「シャープナー」ユーザーであっても、「シャープナーと砥石では何が違う?」「使う頻度はどれくらいが適切なの?」など、正しい使い方がわからないというお悩みの声も。そこで今回は、アンケートで寄せられたお悩みをもとに、総合刃物メーカーである貝印株式会社の包丁マイスター・辻裕一さんに、シャープナーを使った「研ぎ」について教えていただきました。

インタビューした人

貝印株式会社 マーケティング本部 マイスター推進部 研ぎ推進 次長

辻 裕一さん

入社より26年間、営業職に携わりながら包丁マイスターの資格を取得し、以後顧客および 企業担当者向けの包丁研ぎ講習会、ワークショップイベント、出張研ぎイベント、研ぎのデモンストレーションイベント等を実施。 2024年4月より「研ぎのプロ」を育成する部署の責任者となる。 貝印公式YouTubeチャンネル「貝印の切れ味チャンネル」にも出演中。

  1. シャープナーと砥石は何が違う?
  2. 正しい研ぎ方のおさらい
  3. 研ぐタイミングは?買い替えは?

01
シャープナーと砥石は何が違う?

シャープナーと砥石、そもそも何が違うのかご存知でしょうか?

削ったばかりの鉛筆も、使っていくうちに尖端が丸くなってしまいますよね。同じように、包丁も使い続けると刃先が摩耗して、尖った状態から、丸くてツルツルとした状態へ変わってしまいます。それが一般的に「切れ味が悪い」と呼ばれる状態です。

切れ味を良くするためには、再び刃先を尖らせなくてはなりません。そこで用いられるのが、砥石による「研ぎ」です。手間がかかり、研ぎ方にもコツが必要ですが、刃先全体を尖らせるように研ぐために切れ味の持続性は高いです。

一方でシャープナーは、使うことで刃先に細かな凹凸をつけられ、これがノコギリのような役目を果たします。この凹凸があることで、包丁を入れた際にも食材が滑らず、再び切りやすくなるのです。「研ぎ」の原理が違うため、砥石に比べると切れ味は持続しませんが、日常使いに便利な「応急処置」的なアイテムです。

もっとも、応急処置には変わりませんから、本格的なメンテナンスである砥石の「研ぎ」とも併用することで、包丁をより長く、切れ味を保って使い続けることができるのです。

辻さん「普段遣いにはシャープナーでも十分切れ味が復活しますよ。ただ、本当は砥石とシャープナーを併用するのがオススメ。たまに砥石を使って全体を手入れすると、より長く切れ味を保てますから」

「関孫六」ブランドの包丁でも知られる貝印。包丁だけでなく、シャープナーや砥石も取り扱っています。種類がいろいろありますが、シャープナーはどのように選ぶのがよいのでしょうか。

辻さん「さまざまな商品がありますが、価格によって包丁の差し込み口の数が異なります。貝印には1〜3つの差し込み口の商品があり、差し込み口が増えるほど手間は増えますが、仕上がりはよくなります」

たとえば、差し込み口が3つある商品の場合は、それぞれの中に目の粗さが異なる荒砥石・中砥石・仕上げ砥石が入っており、それを荒砥石から順番に当てることで包丁をよりきれいに研ぐことができるのだそう。

辻さん「包丁には家庭で一般的に使われる『両刃包丁』、出刃包丁や刺身包丁などの『片刃包丁』、パンを切る『波刃包丁』などいくつか種類があります。それぞれに適したシャープナーがあるので、商品を買う際はパッケージをチェックしてみてくださいね」

波刃が研げるシャープナーもあります

02
正しい研ぎ方のおさらい

日常的に使うシャープナーですが、正しい使い方といわれるとピンとこないものです。あらためて、辻さんに基本の研ぎ方を教えていただきました。

辻さん「砥石は濡らして使うイメージがあるかと思いますが、貝印のシャープナーは包丁がよく乾いた状態でご使用ください。平らなところにシャープナーを置いたら、包丁のあご(刃の手前の尖った部分)から先端まで、力を入れずにまっすぐスーッと手前に引きます。力を入れたり、往復タイプではないシャープナーでギコギコと往復したりすると刃が痛んでしまいます。

例えば、貝印の「関孫六 ダイヤモンド&セラミックシャープナー」は、『1番10回、2番10回、3番5回』と回数が決まっています。一度研いでも切れ味がイマイチだったら、荒砥石から仕上げ砥石までの研ぎをもう1セットやってみてください」

とはいえ、これは貝印のシャープナーの研ぎ方。メーカーや製品によって使い方が違うので、説明書を読んでその指示通りに研ぐのが鉄則だそうです。

また、貝印のシャープナーは、基本的にステンレス・鋼の包丁用。チタンやセラミックの包丁は使えないとのことなので、注意してくださいね。

03
研ぐタイミングは?買い替えは?

シャープナーを使っていて迷うのが、包丁を研ぐタイミングや、研ぎ終わりのタイミング。「きちんと研げたのだろうか……」と疑問に思うこともあるかと思いますが、見分けるポイントはあるのでしょうか。

辻さん「研ぐタイミングは人によって包丁を使う頻度が違うので、一概に期間では言えません。頻繁に研ぎすぎるのも包丁にとってはよくないので、切れ味が落ちたと感じたら研ぐといいですね。食材を切ったときの感覚が頼りになります。『トマトの皮がスパッと切れるか』『ねぎのみじん切りが繋がらずに切れるか』を一つの目安にするといいと思いますよ」

よく研がれた包丁ならトマトもスパッ!と切れます ※貝印の研ぎ直しサービス動画より

また、シャープナーの買い替え時期がわからず、長年同じものを使い続けている人も多いはず。この疑問について辻さんは「研ぐのに時間がかかったり、研いでも切れ味が復活しなくなったりしたら、買い替え時でしょう」と話します。

とはいえ、こういった場合はシャープナーではなく包丁に問題があることも考えられるのだとか。シャープナーではなく、砥石で研ぐことによって切れ味が復活する可能性もあるので、一度試してみてもいいかもしれません。

最後に、アンケートでもいくつかお悩みが寄せられた、包丁が錆びた場合の対処法についても教えていただきました。

辻さん「刃先がちょっと茶色く錆びたくらいであれば、シャープナーで錆びを落としてOKです。全体的に錆びている場合は、貝印からも発売している『サビ消しゴム』などの商品を使ったり、スポンジにクレンザーをつけてこすったりして落としてください」

そもそも包丁を錆びさせないためには、洗ったあとに水気を拭き取り、すぐに包丁スタンドにしまうのがオススメだそう。金属製の水切りカゴに入れていると、カゴやそのほかの金属製のカトラリーなどから「もらい錆び」をしてしまうことがあります。普段の使い方をちょっと見直して、包丁を錆びから守りましょう!

便利で身近なシャープナー。あらためて使い方や特徴について聞いてみると、新しい発見がたくさんありました。そして、すでにシャープナーは使っていて、「砥石で本格的にメンテナンスしたい!」という方には、研ぎ方のコツを貝印公式YouTubeチャンネルで丁寧に解説してくれていますので、ぜひこちらを手習いに。

切れ味のよい包丁で料理をすることは、料理の楽しさにもきっと影響を与えるはず。日々の料理に活かしてみてくださいね。

  • 執筆/溝上 夕貴 編集/長谷川 賢人
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