パラパラ炒飯をおうちで!「卵の入れ方」が成功の秘訣!?失敗しないコツを調理科学で解説

「炒飯」と聞いて思い浮かべるのは、しっとりパラパラとした食感と、食欲をそそる香ばしいしょうゆの香り……。ところが家のフライパンで作ると、ご飯がべちゃっとしてしまい、一粒ずつほどけるような食感には、なかなか届きません。
実は、できあがりのカギを握るのは「卵」。具材のひとつかと思いきや、パラパラ食感を生み出すうえで大切な役割があるのだとか。
そんな炒飯をおいしく仕上げるコツを教えてくれるのは、味の素社の研究者・川﨑さん。卵の使い方をはじめ、調理科学の視点からコツを解説します。
(外はパリッと中はじゅわっとした食感の餃子、はがれない&パサつかないピーマンの肉詰めを作るコツなどを解説してきたこれまでの「レシピのスキマ」はこちらから読めます!)

インタビューした人
味の素社 研究者
川﨑 寛也さん
博士(農学)、味の素(株)Executive Specialist、NPO法人日本料理アカデミー理事 調理科学者、感覚科学者。生家は明治20年創業の西洋料亭「西洋亭」(北海道・根室で創業。現在は廃業)。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。専門は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明など。主な著書に『味・香り「こつ」の科学』『おいしさをデザインする』『だしの研究』(以上、柴田書店)、『日本料理大全 だしとうま味、調味料』(NPO法人日本料理アカデミー)ほか。味の素社から発売の『はじめてさんも、あらためてさんも 料理のしくみがわかる本』では、調理科学・レシピ監修をしている。
川﨑寛也さん監修!30レシピで料理のモヤモヤを解決!「料理のしくみがわかる本」詳細はこちら
半解凍したご飯で、パラパラ感の土台づくり
まず、ご飯を準備します。ポイントは「冷凍ご飯を半解凍して使うこと」。ここでいう半解凍とは、熱々になる手前、ご飯がほどよくほぐれるくらいまで温めたものです。

川﨑さん「今回目指すのは、ご飯がしっとり、それでいてパラパラとほぐれる炒飯です。炒飯の仕上がりを左右するのが『ご飯の表面の水分量』。表面の水分が多いとべちゃっとした仕上がりになります。炊きたてのご飯や解凍したご飯は、まさに表面の水分が多い状態。その点、半解凍なら余分な水分が出にくく、ご飯もやわらかくなりすぎないため、粒の形が保たれて、パラパラに仕上がりやすいです。
とはいえ、半解凍でも多少の水分はつくので、電子レンジで温めたあと、ラップの上などに広げて余分な水分を飛ばしておきましょう。このとき、ご飯の粒をつぶさないようにやさしく広げるのがコツです」
炊きたてのご飯を使いたい場合や冷凍ご飯を完全に解凍してしまった場合は、室温程度になるまで置いて冷ましておきます。

ご飯を冷ます間に、具材と調味料(しょうゆ大さじ2・酒小さじ2・「丸鶏がらスープ™」小さじ1)の準備をします。今回の具材は、シンプルにチャーシューと小ねぎ、卵だけ。

川﨑さん「チャーシューは5mm角、小ねぎは小口切りに。具材が大きいとご飯との一体感が出にくいので、米粒のサイズに合わせて小さめに切るのがポイントです。炒めるときはスピードが大事なので、調味料もあらかじめ合わせておきましょう。
卵は、『濃厚卵白』と呼ばれる白身のもったりとした部分が残らないよう、しっかり溶いてください。ムラなく溶いておくことで、お米の一粒一粒になじみやすくなります」

溶き卵はご飯の上から回しかけ、ヘラで上下を返す
ここからは一気に炒め合わせます。フライパンに油大さじ2をひいて中火で熱したら、まずご飯を入れ、その上に溶き卵を回しかけます。


川﨑さん「この工程で大事なのは『卵をご飯全体にしっかりとなじませること』です。卵は具材としてだけでなく、ご飯をコーティングする役割があります。それにより、一粒一粒ほぐれやすくなり、パラパラとした仕上がりになります」
ではなぜ、卵があるとご飯同士がくっつかなくなるのでしょうか。
そこでミニ実験。材料と手順は同じで、卵あり・卵なしの炒飯を作り、比べてみます。

卵なしで作った炒飯は、ところどころくっつき、ご飯粒一つひとつの境目がわかりにくい仕上がりに。スプーンですくってみると、ご飯同士がくっついたままです。

一方、卵ありの炒飯は、ご飯一粒一粒の境目がはっきり。スプーンですくって落とすと、パラパラとほぐれて落ちます。

川﨑さん「卵黄に含まれるレシチンには、本来は混ざり合わない水と油をなじませる『乳化』をうながす働きがあります。これによって、ご飯表面の水分と炒め油がなじみ、粒の表面が薄くコーティングされます。その結果、ご飯同士がくっつきにくくなり、パラパラに仕上がるんです」

卵の入れ方は他にもあります。たとえば、あらかじめ卵とご飯を混ぜておいてから炒める方法。この作り方は卵をご飯にまとわせやすいですが、卵が薄く広がるので、火の通りが早く、パサつきやすくなります。
フライパンで半熟卵を作ってからご飯を加える方法もありますが、すでに卵に火が入っているので、ご飯を加えたらすぐに返してなじませる手早さが必要です。

川﨑さん「今回のように、ご飯に溶き卵をかける方法なら、卵にまだ火が入っていないので、落ち着いて卵をなじませられます。また、卵のかたまりが残るので、具材としての存在感も出せます。ヘラで下から上へ返しながら、卵に焼き色が付かないように炒めるのが、パサつかないコツです。ヘラは立てると米粒をつぶしてしまうので、寝かせて使ってください」

ちなみに、炒飯といえば中華鍋をあおるイメージがあるかもしれませんが、あれは火力の強い業務用のコンロで、焦がさずに手早く火を通すための動き。それと同じような状態を家庭で再現したのが、今回の作り方です。
しょうゆは「味付け」と「香り付け」の2回に分けて

ご飯と卵がなじんだら、調味料を2回に分けて加えます。

川﨑さん「まずは、先ほど作った合わせ調味料をご飯に直接かけます。これは味のベースを作るのが目的。ご飯に調味料を染み込ませるように、30秒ほどしっかり炒めましょう。このときも、下から上へと返すように混ぜながら、均一に火を通します」
味のベースができたら、チャーシュー、小ねぎを加え、粗びき黒こしょうをふって、炒め合わせましょう。

ここまできたら弱火にし、2回目の調味料です。
先ほどはご飯に直接かけましたが、今回はフライパンの中央をあけ、しょうゆ小さじ1を加えます。


川﨑さん「しょうゆには、『味付け』と『香り付け』のふたつの役割があります。合わせ調味料のしょうゆは、味付けのため。ここで加えるしょうゆは、香ばしさをプラスするためです。
しょうゆの香ばしさを引き出すには、高温で一気に加熱するのがポイント。鍋肌から回し入れることも多いですが、家庭用のコンロでは十分に熱くなりにくいため、いちばん温度の高いフライパンの中央に加えます。ご飯に直接かけると、べちゃっとしやすいので、気をつけましょう。5〜10秒ほど加熱し、『ジュッ』と音がしたら、すぐにご飯と炒め合わせて火を止めます。長く火にかけるとせっかくの香りが飛んでしまうので、仕上げに加えるのがコツです」

完成です!ふわっと、しょうゆの香ばしい香りが。レンゲを入れるとパラリとくずれ、口に運ぶと、しっとりとしたご飯と具材のうま味が口いっぱいに広がります。
炒飯は、具材を自由に組み合わせて楽しめるのも魅力のひとつ。今回はチャーシューを使いましたが、ウインナーやハム、ベーコンを入れてアレンジも。もちろん、野菜を加えてもOK。玉ねぎやレタスなど水分の多い野菜を入れるときは、量は控えめに、仕上げのタイミングで加えて食感を残すのがオススメです。
今回紹介したコツを押さえつつ、好きな具材やおうちにある材料を組み合わせて、パラパラの炒飯を作ってみてくださいね。
材料&調理手順
炒飯
材料(2人分)
| 冷凍ご飯 | 360g |
|---|---|
| チャーシュー(5mm角に切る) | 50g |
| 小ねぎ(小口切り) | 8本分 |
| 卵 | 2個 |
| A:しょうゆ | 大さじ2 |
| A:酒 | 小さじ2 |
| A:「丸鶏がらスープ™」 | 小さじ1 |
| 粗びき黒こしょう | 少々 |
| しょうゆ | 小さじ1 |
| サラダ油 | 大さじ2 |
つくり方
- 1
冷凍ご飯は半解凍して広げておく。炊いたご飯の場合は広げて冷ます。
- 2
ボウルにAを入れて混ぜ合わせる。
- 3
別のボウルに卵を割り入れ、しっかりと溶きほぐす。
- 4
フライパンに油を中火で熱し、(1)のご飯を入れ、その上に(3)の溶き卵を回しかける。はじめはヘラを大きく動かして、下から上へ返しながら混ぜ、ご飯と卵をしっかり混ぜ合わせる。ときどきヘラを寝かせてご飯を広げ、全体に火が通るようにする。
- 5
ご飯の上から(2)を加え、30秒ほどしっかり炒める。チャーシュー、小ねぎを加えて、再度炒め合わせる。
- 6
ご飯と具材が混ざったら、粗びき黒こしょうをふり、軽く混ぜて弱火にする。フライパンの中央をあけ、しょうゆを加えて水分を飛ばす。全体を混ぜ合わせ、すぐに火を止める。
※具材をアレンジする場合は、味を見ながら調味料の量を調整してください。
