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ディープなアジア、せいろ蒸し…「2025年の注目料理」を食トレンド研究家・渥美まいこさんに聞く

ディープなアジア、せいろ蒸し…「2025年の注目料理」を食トレンド研究家・渥美まいこさんに聞く

2025/01/23

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昨年に続き、食材の価格高騰が続いています。私たちの「食」を取り巻く状況や、今年の流行はどのように変化していくのでしょうか?

食トレンド研究家として活動し、食専門のビジネスメディアで編集長も務める渥美まいこさんに、昨年の「トレンド予測」に引き続き、外食と内食(家庭での食事)それぞれの変化に加え、注目している料理のトレンドについても聞いてみました。

「食」を通して2024年を振り返りつつ、2025年がどんな一年になりそうか、予想しながら読み進めてみてください!

インタビューした人

食トレンド研究家・食ビジネスメディア編集長

渥美 まいこさん

クックパッド社で法人マーケティングに従事し、生活者分析、トレンド分析や予測を年間260本行う。その後、食品業界メディア「FoodClip」を立ち上げ、編集長業務のかたわら趣味ではじめた執筆が話題となり、累計フォロワー数は3万人を超える。2023年夏に独立、「Yellowpage」を創業し、食専門のビジネスメディアを運営している。

  1. 2024年の食トレンドは「落ち着く」だった
  2. カラダにもお財布にもやさしく!アレンジで家庭料理を楽しむ
  3. ついに日本が南国化?身体が求めるものに変化が起きている
  4. 2025年注目料理は韓国スイーツ&せいろ蒸し

01
2024年の食トレンドは「落ち着く」だった

昨年の食トレンドを伺ったときの渥美まいこさん。果たして今年は…!

──昨年も食トレンドを予想していただきましたが、振り返るといかがでしたか?

渥美さん:「アジアン粥」がトレンドに入ったり、「自分のためのご自愛ごはん」が人気だったり。共通して「低刺激なもの」が注目されたという意味では、2024年に挙げていたキーワード「落ち着く」を現象として確認できました。

一方で、円安の影響もあり、物価が上昇しているため、ますます節約の意識が高まったように思います。「ふりかけ」が過去最高規模の出荷額だったことにも、そういった背景があったと予想されます。お弁当のお供としてのイメージが強いふりかけですが、少ない品数でも満足感を得られるということで夕食などでも食べられることが増えたようです。

ただ、ふりかけといえばの「米」は、猛暑による不作で品薄が起きてしまいましたね。昨年は、お米のもっているポテンシャルを理由に「2024年の注目食材」として「米」を挙げていましたが、予想外の展開となってしまいました。

02
カラダにもお財布にもやさしく!アレンジで家庭料理を楽しむ

──では、2025年はどう変化すると予測していますか?まずは内食(家庭内での食事)から教えてください。

渥美さん:働き方の変化や、物価の高騰が続く中で、そもそも「料理を作る理由って何だろう?」と問われるようになってきました。その答えの一つが「ケア」だと考えています。

たとえば、じっくり時間をかけて作る煮込み料理。鍋からぐつぐつ……と音が聞こえてきたり、火の通り具合を確認したり、味見をしたり。自分の手を加えたものが、時間が経つにつれて変化していく。

そういった料理の工程が作り手にとって安らぐ時間、つまり「ケア」として機能しています。キッチンという場所そのものが「自分のリラックス空間」であるという文脈も多くみられました。

ぬか漬けや味噌、ジャムがまさにそうです。こういった手仕事がさらに復権すると予想しています。

──食材の高騰はしばらく続きそうですよね…。みんなが好きなチーズも値上がりしていました。

渥美さん:高騰している食材は「置き換え」を活用してみてはいかがでしょう?

チーズの置き換えなら、オススメはモッツァレラチーズの代わりにヨーグルトを使うことです。

特にグリークヨーグルト(ギリシャヨーグルト)であれば、しっかりと水切りをするとチーズのような食感になります。サラダの上にトッピングして、オリーブオイルとドレッシングで仕上げたら立派な一品に。脂肪分も抑えられ、一石二鳥です!

ほかに、私が注目しているのは発酵性食物繊維ですね。オーツ麦や玄米などの穀類、バナナやごぼうなどの野菜・果物、大豆やさつまいもなどに多く含まれています。「腸活」というフレーズもよく聞かれましたが、こうした健康を意識したトレンドは続くのではないでしょうか。

03
ついに日本が南国化?身体が求めるものに変化が起きている

──外食にはどんな変化が起きるでしょうか?

渥美さん:これは内食にも言えることですが、気候変動を背景に、わたしたちの食材選びと嗜好が変わってきていると見ています。

2024年は日本でも暑い日々が半年ほど続いたので、冷たい食べ物や飲み物の需要が高まりました。また、フレーバーとしては、マンゴーやパイナップル、ライチなどのさっぱりした南国由来の商品が増えてきています。

ほかにも、暑いと欲するものといえば「辛さ」。辛いものを食べて、汗をかいてリフレッシュしたい、というニーズが高まっているのを感じます。

こういったことを背景に、これからは韓国、中国、東南アジアといった国々の食事が、よりディープになって広がっていくのではと予想しています。これまで日本で親しまれやすいように味付けをマイルドにしていたメニューも、より本格的なスパイスを使ったり、本場の味に近づけたりして提供する動きはありそうです。

──味や嗜好の南国化は興味深いですね。

渥美さん:それから、特定の国ではなく、国と国とをまたぐようなジャンルレスな家庭料理が出てきそうです。

外食だと台湾の国民的料理「魯肉飯(ルーローハン)」をハンバーガーにアレンジした「ルーローハンバーガー」や、コーヒーとエスプレッソが融合した「エスプレッソ・マティーニ」などが話題になりました。

これらは「マッシュアップ料理」とも呼ばれています。韓国のトッポギに洋風のデミグラスソースをかけるなど、ジャンルを超えた食が増えているので、この影響は外食だけではなく、内食にも及びそうですね。

04
2025年注目料理は韓国スイーツ&せいろ蒸し

──食トレンドの変化も踏まえて、渥美さんが注目している「2025年の料理」教えてください。

渥美さん:まずは韓国の宮廷スイーツ「薬菓(ヤッカ)」ですね。韓国の伝統菓子で、韓国茶と一緒に食べたり、陶磁器に盛り付けたりと、見た目も様々あって人気を呼んでいます。薬膳を取り入れたものもあり、日本人の「ヘルシーなものを食べたい」という欲求にもフィットしそうです。韓国スイーツというと、これまでSNSで「映える」ものがメインで取り上げられがちでしたが、今後は注目が集まる予感がしています。

もうひとつは、せいろを使った蒸し料理です。2024年も注目を集めた蒸し料理ですが、まだまだ伸び代があるように思います。買ってきた餃子やシュウマイをせいろで蒸すだけでも特別感が出ますし、何より火加減がいらないので料理初心者の方でも簡単に作れて便利です。一家に一台、せいろがある時代が来るかもしれません。

今回も渥美さんに2025年の「食トレンド」を教えていただきました。今年、どこかで目にしたら、「AJINOMOTO PARKで読んだ!」と思い出してもらえたら嬉しいです。もちろん取り入れたいものがあれば、一足早くトレンドグルメを楽しんでみてはいかがでしょう?

気になる2025年のトレンドはありましたか?ぜひ記事下のコメント欄や、コミュニティの「味のもト〜ク」でも教えてくださいね。

  • 執筆/Re!na 編集/長谷川 賢人
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