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しょうが一筋30年!しょうがの女神に聞く、簡単&おいしい”しょうが術”

しょうが一筋30年!しょうがの女神に聞く、簡単&おいしい“しょうが術”

2025/02/13

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寒い季節、カラダを温めてくれるしょうが。でも毎日の料理に取り入れるのは難しい……。そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか。実はしょうがは、ちょっとしたコツで日々の暮らしに無理なく取り入れることができる食材なのです。しょうが料理一筋30年!“しょうがの女神”と呼ばれる森島土紀子さんに、しょうがを楽しむヒントを教えていただきました。

インタビューした人

生姜料理専門家

森島 土紀子さん

1953年生まれ。1992年にアパレルショップ「仕事着屋しょうが」を開業後、1994年に「生姜料理しょうが」をオープン。“しょうがの女神”の愛称で親しまれ、現在は「生姜料理しょうが」と2024年開店の「しょうがの森」を経営。しょうが料理アドバイザー、造形作家としても活躍。著書に『生姜料理専門店オーナーシェフが教える たっぷりしょうがレシピ』(亜紀書房)、『しょうが女神の簡単おつまみ127』(小学館)など。

  1. 30年間、しょうがと共に歩んできた道のり
  2. しょうがの魅力は“入れるだけで料理が格上げされる”こと
  3. 毎日の暮らしにしょうがを取り入れるために
  4. 寒い季節こそ楽しみたい!体が温まるジンジャーポタージュ
  5. 知っておきたい!しょうが選びと保存のポイント

01
30年間、しょうがと共に歩んできた道のり

「昔から、お寿司屋さんに行くとガリばかり食べる子どもだった」と話す森島さん。気づいた時にはしょうがを食べることが大好きで、料理を始めてからも自然としょうがを使っていたと言います。 美術大学卒業後、専業主婦を経て、友人と二人でエプロンや陶芸を作る小さな店をオープンしたのは40歳の時。その際、「生活の中の大事な隠し味」という想いを込めて店名を「仕事着屋しょうが」と名付けました。最初は「レジが閉まらなくなるほどお客さんが来てくれた」そうですが、店周辺に大規模な商業施設が開業したことで客足が途絶え、半年ほどで転機が訪れます。

森島さん「私たち二人とも料理が好きだったので、思い切って方向転換することにしました。当時ニンニク専門店が流行っていて、『そうだ、私の大好きなしょうがで料理店をやってみよう!』と思いついたんです」

そうして始まったしょうが料理専門店。以来30年以上、森島さんのしょうがへの想いは深まる一方です。

森島さん「私は、しょうがなしの料理は作らないんです。しょうがが入っているだけで、料理はグンとおいしくなりますし、カラダにいいことも実感じています。毎日しょうがを食べているからこそ、元気でいられるのかもしれません」

そんな森島さんは2024年2月、「原点に戻りたい」という想いから5店舗目となる新しいお店「しょうがの森」をオープン。陶芸や洋服作りも楽しみながら、72歳を迎えた現在も新たなしょうが料理の可能性を探り続けています。

住宅街に佇む、森島さんの新たな店舗「しょうがの森」。手作りの木のオブジェや看板などが飾られたあたたかみ溢れるエントランスから森島さんの想いが伝わってきます。
レストランと雑貨屋さんの2つのエリアに分かれた店内。販売している器や洋服はすべて森島さんの手作りです。

02
しょうがの魅力は“入れるだけで料理が格上げされる”こと

しょうがの魅力について改めて聞いてみると、「しょうがは合わないものがない!」と断言する森島さん。

「ちょっと入れるだけで、うま味とコクになっておいしくなるの」とにこやかに話します。料理によって切り方を変え、なにかしらの形でしょうがを入れるのが森島さん流。

森島さん「みじん切りは火を通す料理全般に、すりおろしは魚や肉の下味や冷奴などに、千切りは水餃子の薬味などに活用しています。火を通すと辛みが和らいでまろやかになるため、辛さが苦手な方やお子さんでもおいしく食べられますよ」

そんな森島さんに、長年しょうが料理を続けてこられた理由を聞いてみました。

森島さん「私は料理研究家ではありません。ただ、しょうがを入れるとおいしくなるという、そのシンプルな実感を大切にしているんです。せっかく生きているんだから、好きなことをやる。やりたいことをやる!それだけなんですよ」

その言葉には、30年以上しょうが料理と向き合ってきた確かな自信と、日々を楽しむ明るさが感じられます。

しょうがの使い道は料理だけではありません。なんと!余ったしょうがの皮を乾燥させ、ピアスに変身させてしまう森島さん。

03
毎日の暮らしにしょうがを取り入れるために

おいしさと手軽さ、両方を叶えながらしょうがを楽しみたいときにオススメなのが「作り置き」だと森島さんは言います。特に調味料として常備しておくと、毎日の料理に気軽に取り入れられるそう。 森島さんがよく作るというしょうがレシピを、教えていただきました。

森島さん「ジンジャーシロップや、しょうがオイルなどの調味料を作っておけば、なんにでも合います。例えば、ジンジャーシロップはコーヒーや紅茶のガムシロップ替わりに使えるんですよ。常温保存で1ヶ月ほど持つので、常備しておくといいですよ」

ジンジャーシロップ

材料&調理手順

材料(作りやすい分量)
しょうが
100g
ザラメ
500g
600ml
  1. しょうがは皮ごと薄切りにする 。
  2. 鍋に1、ザラメ、水を入れ、2/3の量になるくらいまで弱火で20〜30分煮る 。
  3. 保存容器に2を入れて漬け込む。粗熱が取れたら、すぐにおいしく飲めます。

森島さん「グラスに好みの量のジンジャーシロップ、おろししょうが、氷を入れ、炭酸水で割れば、あっという間にジンジャーエールになります。シロップに浸かったしょうがもぜひ入れてください。生のしょうがを使った、これこそが“本物の”ジンジャーエール。疲れた時にこれをゴクゴク飲めば気分爽快!レモンを加えると、よりさっぱりしますよ」

このジンジャーシロップを使った「真実のジンジャーエール」はお店でも長年愛されている人気メニュー

しょうがガーリックオイル

森島さん「サラダ油以外ならどんな油でもOK。オリーブオイル、ごま油など、香りのある好みの油に漬けておくと、料理の幅が広がります。炒め油として使うのはもちろん、仕上げにひと回しかけるだけでも料理に風味がプラスされますよ」

材料&調理手順

材料(作りやすい分量)
しょうが
20g (約2かけ)
にんにく
2かけ
オイル(オリーブオイルやごま油など)
200ml
  1. しょうがはみじん切り、にんにくは薄切りにする 。
  2. 保存容器に1、オイルを入れ、一晩おく 。

04
寒い季節こそ楽しみたい!体が温まるジンジャーポタージュ

しょうがを使った料理は、芯からカラダを温めてくれます。「冬でも靴下を履かない」という、冷え知らずの森島さん。寒い季節、特にオススメなのが、しょうがたっぷりのポタージュです。

「しょうがの森」のランチメニューでも定番。作り置きもできるので、忙しい朝ごはんにもぴったりです。

じゃがいものジンジャーポタージュ

材料&調理手順

材料(2~3人分)
じゃがいも
1個
玉ねぎ
1/2個
にんじん
少々
かぼちゃ
1かけ
しょうが(みじん切り)
10g(約1かけ)
400ml
ご飯
1/3膳
牛乳
200ml
鶏がらスープの素(顆粒)
大さじ1
塩・こしょう
各適量
あられ(市販)
適量
  1. じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、かぼちゃを乱切りにする 。
  2. 鍋に1、しょうが、水、ご飯を入れ、柔らかくなるまで煮る。ミキサー(またはフードプロセッサー)に移し、クリーム状になるまで撹拌する 。
  3. 2を鍋に戻し、牛乳と鶏がらスープの素を加えて温め、塩、こしょうで味をととのえる。器に盛り、お好みであられなどをのせる 。
森島さん「野菜はなんでもOK。カリフラワーやさつまいも、季節の野菜を使うと、バリエーションが広がります。飾りにはクルトンもオススメ。スープの味が染みておいしいです。ご飯を加えることで、やさしいとろみがつきます」

森島さん「昆布茶にしょうがのすりおろしを小さじ半分ぐらい入れたりするだけでも、温まっておいしいですよ。私はそこに梅干しを入れて、つぶしながら飲むのが好きです。冬といえば、鍋料理にも千切りのしょうがをたっぷり入れます。私はとろろ鍋をよく作るんですが、しょうがと相性がいいんです。しょうが入りの鶏団子を入れて、レタスを入れて。具材はなんでも合うので、冷蔵庫にある野菜を使って手軽に楽しめます」

05
知っておきたい!しょうが選びと保存のポイント

毎日のしょうが料理をより楽しむために、しょうがの選び方や保存方法も大切なポイント。普段何気なく手に取るしょうがにも、実は産地によって様々な個性があると森島さんは教えてくれます。

森島さん「長崎のしょうがは火山灰の土壌で育つため、大きくて白く、辛みが控えめなんです。一方、赤土で育てる高知のものは色が濃く、風味が強い。千葉や神奈川でも作っていて、土壌によってさまざま。それぞれのよさがあるから、料理に合わせて使い分けるといいですよ」

意外にも、普段捨ててしまいがちな皮も、実は大切な部分なのだとか。

森島さん「皮にも香りと栄養があるから、むく必要はないんです。よく洗って、黒ずんだ部分だけ取り除けば十分ですよ」

さらに、保存方法についても、意外な事実を教えてくれました。近年よく聞く「水に漬ける保存法」には、実は落とし穴があるようです。

森島さん「水につけると長持ちすると言われていますが、香りが飛んでしまうんです。しょうがは南国の野菜だから、実は冷蔵庫は苦手。私は常温で保存しています」

切ったしょうがは乾燥を防ぐためラップで包み、数日以内に使い切るのがベスト。余ったら、これまでご紹介したオイル漬けやシロップ作りに活用したり、森島さんのようにいろんな料理に入れてみるのがオススメです。

森島さんが30年以上にわたって探求してきたしょうがは、私たちの毎日の食卓でも、きっと新しい発見を届けてくれるはず!まだまだ寒さが続く今日この頃。料理にしょうがを取り入れて、身も心もあたたかな暮らしを楽しんでみませんか。

  • 執筆/大西 マリコ 撮影/加藤 甫 編集/花沢 亜衣
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