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「ピュアセレクト マヨネーズ」を支える、内堀醸造の真面目でユニークなお酢とは?

「ピュアセレクト®マヨネーズ」を支える、内堀醸造の真面目でユニークなお酢とは?

2025/04/10

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鮮度と品質にこだわり抜いた厳選素材から生まれる「ピュアセレクト®マヨネーズ」。マヨネーズの原料というと、卵のことを真っ先にイメージする方が多いかもしれませんが……実は「酢」も、味の決め手に欠かせない大切な存在です。

「ピュアセレクト®マヨネーズ」では、熱を加えたまろやかなお酢に、白ぶどう酢・玄米酢・木樽熟成モルト酢をブレンドした、特製「ピュアセレクト®ビネガー」を使用。「ピュアセレクト®」の発売以来、その酢を造っているのが、プロの料理人にも愛用者が多いことで知られる、明治9年(1876)創業の老舗醸造酢メーカー・内堀醸造株式会社(岐阜県・八百津町)です。

発酵にこだわった酢づくりへの挑戦から、味の素社との出会い、「ピュアセレクト®マヨネーズ」に使う酢の開発経緯まで、4代目社長・内堀泰作さんにたっぷりとお話を伺いました。

料理人をはじめ、根強い愛用者が多い、内堀醸造の酢の数々

インタビューした人

内堀醸造株式会社 代表取締役社長

内堀 泰作さん

内堀醸造株式会社の4代目。大学で醸造を学び、入社当時は発酵の技術開発兼営業を担当。1996年より現職。「酢造りは酒造りから」という基本理念のもと、水、空気、微生物の力を大切にした丁寧な酢づくりを行う。

  1. 目指したのは「酢の専門家」
  2. 「ピュアセレクト®マヨネーズ」のための“きれいな酢”とは?
  3. まだまだ進化中!飽くなき酢への探究心

01
目指したのは「酢の専門家」

内堀醸造は、もともと酢・味噌・たまり(=しょうゆ)をつくる地域の醸造店として創業しました。昭和30年代初頭、日本が高度経済成長期に入ると、それに伴って流通網も急速に整備されていきました。すると、それまで地域内の流通で成り立っていた事業の仕組みが大きく変わり、ほかの地域でつくったものを仕入れて流通させるのが当たり前の時代に。急激な変化に会社は存続の危機に陥り、再起をかけて踏み切ったのが、「酢」の専業メーカーへと舵を切ることでした。

内堀さん「創業者である私のひいおじいさんが、一番大切につくっていたのが『酢』でした。そもそも『酢とはなんぞや?』を考える中で、世界で広く親しまれているのが『ぶどうのお酢』(=ワインビネガー)だと知り、すぐに自分たちもつくってみよう!と、ぶどうを買い、発酵させて、おそらく日本初のワインビネガーをつくったんです。やる以上は『どこよりも酢の専門家になろう』と意気込んでいたそうです」

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自然豊かな土地にある内堀醸造のアルプス工場。酢づくりには、原料となるきれいな水と空気が欠かせない

当時は化学合成した酢酸を水で薄めたものが主流の時代。しかし内堀醸造では“酢の専門家”を目指すべく、「酢造りは酒造りから」を掲げ、微生物を使ってアルコールから発酵させる伝統的な醸造酢をつくる道を選びます。手間暇は何倍もかかるため、とても珍しいものでした。

内堀さん「酢の研究・開発を進める中で、『いかに上手に発酵させるか』が、品質のいい酢の決め手になることがわかってきたんです。そこで、海外からいち早く最新の発酵機を導入しました。ただ、導入するだけではうまくいかず、それらを使いこなす技術の改良・工夫を何度も何度も重ね、ようやく1990年代初頭に、『これはほかの酢とは違う!』と思えるものができ上がりました」

こうして酸度20%(一般的な食酢の酸度は5%、高酸度酢で10%前後)の高酸度酢が完成。酸度の高い酢は少量でもしっかりと酸味付けできるためコストパフォーマンスがよく、さらに日持ちも向上します。

「何よりも、このすっきりと雑味のない酢は素材の味を引き立てるのにいいはずだ。この酢の違いをわかってくれる、興味を持ってくれそうな企業へアプローチをしよう」と向かったのが、味の素社でした。

02
「ピュアセレクト®マヨネーズ」のための“きれいな酢”とは?

内堀醸造と味の素社の協業が始まったのは1993年。ちょうどその頃、味の素社ではマヨネーズの全面改良に向けて動いている時期でした。開発当時のやりとりを、「鮮明に覚えている」と内堀さんは話します。

内堀さん「初めて味の素さんに伺ったとき、高酸度の酢を持参して、発酵の工夫や酸度の違い、マヨネーズにもきっと合うと思っていることを一生懸命お伝えしました。そうしたら、当時のご担当者さんがとてもおもしろがってくれて、次々と関係部署に私たちのことを紹介してくれたんです。

その後、すぐに岐阜の工場にも足を運んでいただきました。私たちのような小さな会社のものづくりに興味を持ってくれて、フラットに評価してくださったことが本当にうれしかったですね」

「まさか使う酢のすべてを私たちに任せてくれるなんて思ってもいなかったので、本当に驚きました」と当時を振り返る内堀さん

前身となるマヨネーズ製品で1年のテスト期間を経て、翌年、厳選素材を全面に打ち出した新商品「ピュアセレクト®マヨネーズ」の酢のすべてを、内堀醸造が担うことが決まります。

「ピュアセレクト®」シリーズに使われているさまざまな酢。発売から10年間で7回も配合比率やレシピを変えながら、両社でよりおいしいマヨネーズの酢を追求してきたそう

内堀さん「採用いただいた決め手は大きく2つあると自負しています。一つは、味の素さんが目指すマヨネーズの味を邪魔しない『きれいな酢』。いわゆる発酵臭やクセがなく、ブレンドする際に自由度が高められる、真っ白い画用紙のような純粋な酢だったこと。

もう一つは、酸味がやわらかな『熟成モルト酢』をつくっていたことだと思います。これはたまたまイギリスのウスターソースはモルトビネガーが味の決め手であることを知って、『おもしろいから試してみよう!』と、売れる見込みもないのに仕込んでいたんですよ。そういう酢がうちには他にもたくさんあって、私もすべては把握できてないくらい(笑)」

「こんな酢があったらおもしろい!」と、これまでに開発した酢は自社製品から企業向けのオーダーメイド品を含めると、約1000種あるそう!

味の素社との出会いから30年以上経った今も、使用している酢の精度を高めたり、これまでにない新しい酢を仕込んだり、毎年新しいことに挑戦しているのだと言います。

内堀さん「現在もですが、味の素さんには、常に自分たちの引き出しをオープンにして、原料から製造過程までもれなく見てもらっているんです。私たちがつくった酢を上手に生かしていただける、という思いがあるので、こちらからは『こんなお酢をつくりました!』ということをお伝えするだけ。つくったお酢をどうブレンドするかはお任せしています」

「ピュアセレクト®マヨネーズ」に使われているブレンド酢を、AJINOMOTO PARK編集部も試飲させてもらうことに。飲料用ではないためかなり酸っぱいものの、スッキリとした味わいと熟成酢ならではのカドのないやわらかな酸味を実感!

03
まだまだ進化中!飽くなき酢への探究心

取材中、歴代の味の素社担当者との思い出話に何度となく花が咲き、盛り上がった今回のインタビュー。あらためて今、味の素社とのものづくりが「励みになり、社員一人ひとりの自信に繋がっている」と内堀さんは話します。

内堀さん(左)と、現在「ピュアセレクト®」を担当する味の素社コンシューマーフーズ事業部の海藏寺透さん(右)。「内堀さんには頻繁にお客さま向けの工場見学をさせていただくなど、あらゆるシーンで快くご協力いただいています」(海藏寺さん)

内堀さん「自分たちのおもしろいと思う酢づくりに邁進できるのは、私たちの技術をきちんと評価してもらえたことがかなり大きいです。

以前、味の素さんに原材料費が高くて採用は現実的でないと思った蒸留ぶどう酢を持って行ったときも、『原料の高い・安いは気にしなくていい!内堀さんはとにかくおいしい酢、おもしろいと思う酢をつくってほしい』と言ってくれました。 そんな励ましがあるからこそ、今も新しい酢ができると『味の素さんはどんな反応をしてくれるかな』と、いち早くお知らせしたくなるんです」

内堀さんが「次にくるかも!?」と期待している「純米大吟醸酢」。吟醸酒もろみ由来の澄んだ風味と軽やかな酸味、ほのかな甘みの余韻が特徴

内堀醸造の真面目で好奇心に満ちたものづくりの姿勢は、まさにピュアそのもの。こうした想いがあるからこそ、開発から30年を迎えた今もなお「ピュアセレクト®マヨネーズ」は酢の配合を少しずつ変えながら、よりおいしいマヨネーズへと進化を遂げています。

「ピュアセレクト®マヨネーズ」ならではのコクのあるまろやかな味わいと芳醇な香りの向こうに、こだわりの酢の存在を感じてみてください!

  • 執筆/木下 美和 撮影/須古 恵 編集/長谷川 賢人
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