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薬味で料理を華やかに! ツレヅレハナコさんに聞く 自由で軽やかな薬味術

薬味で料理を華やかに!ツレヅレハナコさんに聞く自由で軽やかな薬味術

2025/05/08

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少しずつ夏の気配を感じる今日この頃。蒸し暑い日は、しそやみょうが、パクチーなど、薬味を使った料理を食べたくなりませんか?

今回は、そんな薬味の活用術を『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP研究所)の著者で、薬味を毎日大量に使っているというツレヅレハナコさんに伺いました!
ツレヅレさんならではの意外な組み合わせから保存方法まで、薬味を気軽に使うコツをお届けします。

インタビューした人

文筆家・料理研究家

ツレヅレハナコさん

食と酒と旅を愛し、多くの雑誌やWEBでレシピの提案やエッセイなどを寄稿。近著に『ツレヅレハナコのおいしい名店旅行記』(世界文化社)、『47歳、ゆる晩酌はじめました。』(KADOKAWA)、『世界の現地ごはん帖』(光文社)、『ツレヅレハナコのからだ整え丼』(Gakken)など。

  1. 薬味は野菜の一つと考え、どっさり使う
  2. 薬味の使い方に決まりはなし!
  3. 用途に合わせて、薬味の保存方法もさまざま

01
薬味は野菜の一つと考え、どっさり使う

子どもの頃から薬味が大好きだったというツレヅレハナコさん。特に、ねぎやしそ、みょうがをよく食べていて、いつも「みそ汁にもっとねぎが入っていたらいいのに」と思っていたそうです。

大人になり、自分で料理をするようになると、ディルやパセリ、パクチーなどのハーブ類も使うようになります。

ツレヅレさん「私にとって薬味は、日々の定番食材。料理のアクセントに使うというよりは『野菜の一つ』と考えて、毎日どっさり使います」

ツレヅレさんのInstagramより

そんな薬味大好きなツレヅレさんですが、少し前までは近くのスーパーに薬味が売っておらず困っていたそう。そこで、「薬味を増やしてほしい」と思いきってご意見箱に投書したところ、薬味コーナーの品揃えが充実したのだとか!

ツレヅレさん「ハーブ系はディルが売っていなくて、それを買うために遠くのスーパーまで行っていました。ある時、『ディルを置いてほしい』とか『大容量のものも売ってほしい』と投書してみたら、ありがたいことにどんどん仕入れてくださり…!今では薬味コーナーが大充実していて、私も責任をもってたくさん買っています(笑)」

02
薬味の使い方に決まりはなし!

『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』で紹介されているレシピは、意外な組み合わせのものがたくさん!たとえば、焼いたあじの干物に大量のディルをのせ、レモンを絞るレシピなどは、一見ちょっと変わった組み合わせに思えますが相性は抜群です。

「意外にもものすごく合って、とてもおいしい!くせになりそう」とさっそく試してみた編集部員。

ツレヅレさん「『この料理にはこの薬味』とか『薬味は少量だけ添えるもの』と考えがちですが、それだけではもったいない!私は、海外旅行で食べた料理をヒントにすることも多いのですが、ベトナムでは大皿にどっさり薬味が盛られていたり、中国ではミントが炒め物に使われていたりと、意外な料理がたくさん。あじの干物×ディルのレシピも、ポルトガルで食べたいわしの塩焼き×パクチーの料理がヒントになっています」

「なかなか使い方が思いつかない」というときは、定番料理にいつもと違う薬味を入れてみるのもオススメだそう。

ツレヅレさん「たとえば、肉じゃがにしょうがやしそを加えたり、餃子にパクチーを入れたりしてみると、少し気分が変わって楽しいですよ。納豆にねぎは定番ですが、代わりにバジルを入れ、オリーブオイルをたらすのもお気に入りです。 薬味は料理を引き立てて“ごちそう感”を出してくれたり、シンプルな料理もよりおいしくしてくれる。そんなところが大好きですね」

試してみるとバジル=イタリアンと思いきや和食とも馴染んでいました。納豆はほかの薬味と合わせるのも楽しそうです。

薬味好きだからこそ、根や茎も余すことなく食べるのがツレヅレさん流。たとえば、パクチーは葉を食べるイメージがありますが、茎や根っこも香りが強く、おいしいのだそう。

ツレヅレさん「うちでは、パクチーの根っこは刻んで、袋に入れて冷凍しています。そこにしょうがの皮なども加えていき、ある程度たまったらスープ作りに使っています。鍋に冷凍した薬味と水、手羽先や手羽元などを入れて煮込み、最後にスープを濾して薬味を取り除いたらできあがり。卵とナンプラーを入れて、東南アジア風のかきたまスープにしてもいいですし、フォーを入れてもおいしいですよ」

薬味と食材を合わせるコツを聞くと、肉や魚などくさみのある食材は香りの強いハーブと合う傾向があるものの、「入れてみると、だいたいなににでも合う」のだそう。ただし、薬味によっては熱に弱いものもあるので、調理方法には注意が必要です。

ツレヅレさん「しそやバジルなどは熱に強いので、炒めたり揚げたりしても香りが残っておいしいです。一方で、ディルは熱を入れると香りが消えてしまうので、生で食べるのが向いています」

また、薬味を複数種類混ぜて使うと、簡単におしゃれな味を演出できて便利なのだとか。和の薬味と洋の薬味を組み合わせるのもオススメです。

ツレヅレさん「しそ+ディルはさわやか系、ねぎ+パクチーは中華系、ミント+ディルはしゃれた味になりますね。家に薬味が余っているときは、混ぜて使ってみるといいですよ!」

03
用途に合わせて、薬味の保存方法もさまざま

「薬味が主役になるぐらいどっさり使うこともある」というツレヅレさん。毎日のように薬味を使うので、冷蔵庫には保存用の「薬味ボックス」を通年で用意しています。

ツレヅレさん「葉物の薬味は、とにかく湿気が大事!フタ付きの保存容器に、水で濡らしたキッチンペーパーを敷き、そこに薬味を入れて、さらに上から水で濡らしたキッチンペーパーをかぶせてフタをします。その際、薬味を切らないことも大事。切ってしまうと切り口から水分が出てしまうので、買ってきたのを洗ってそのまま入れてくださいね。そうするだけでグンと持ちがよくなりますよ」

ツレヅレさんの薬味ボックスを真似して試してみました。

量が少ない場合は、濡らしたキッチンペーパーで薬味を包んで、それをポリ袋に入れて保存してもよいのだそう。 また、ツレヅレさんは「薬味ボックス」とは別に「刻み薬味ボックス」も常備。すぐに使えるよう、刻んだ万能ねぎやみょうが、しそなどをまとめて保存していると言います。

ツレヅレさん「薬味を買ってきて、料理をする気力があるときに一気に切り刻んでおくんです(笑)。特に夏場はたくさん薬味を消費するので、薬味好きの人にはオススメです。あまり日持ちはしないので、みそ汁やそうめんなどに大量に入れて、早めに使い切るようにしてくださいね」

左が刻み薬味ボックス。さっと使えるので思いついた時にかけられて便利。

ツレヅレさんのご自宅には「にんにく・しょうがのオイル&日本酒漬け」など、オイルやお酒に漬けて保存しているものもあるのだそう。

ツレヅレさん「『薬味を切るのも面倒くさい…』というときのために、にんにく・しょうがを刻んで、オイルと日本酒にそれぞれ漬けて瓶詰めにしています。ポイントは、にんにく・しょうがが浸るまでオイルや日本酒を入れること。保存性が高まるので1ヶ月はもちますよ」

オイル漬けは炒め物などに、日本酒漬けは煮物や和え物など、油を入れたくない料理に調味料感覚で使っているそうです。

最後に、薬味を使いこなすコツを教えていただきました。

ツレヅレさん「普段食べている料理に混ぜたり、使う量をいつもより増やしたりするのもいいと思うのですが、とりあえずどんなものにもかけて試してみてください!人付き合いと同じで、見ているだけでは仲良くなれないので、まずは使ってみる。シンプルな料理にちぎってかけるだけでもOKなので、気楽に使ってみてくださいね」

薬味は、いつもの料理をちょっと華やかにしてくれる素敵な食材。特別なものと思いすぎず、普段の料理にたくさん取り入れてみるのがよさそうです。

  • 執筆/溝上 夕貴 編集/花沢 亜衣
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