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試してみると意外と簡単!飛田和緒さんに聞く魚料理の楽しみ方

試してみると意外と簡単!飛田和緒さんに聞く魚料理の楽しみ方

2025/05/15

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さけ、ぶり、あじ、すずき、かつお…季節によってさまざまな種類が店先に並ぶ魚ですが、ついつい味や調理がワンパターンになってしまったり、においやゴミの処理が気になったり…と、家で調理することにハードルを感じている方もいるのではないでしょうか。
「やってみると意外と簡単なんですよ」と教えてくれたのは、海の近くに暮らし、日頃から魚料理を楽しんでいる料理家の飛田和緒さん。『いちばんやさしい魚の食べ方』(オレンジページ刊)の著者でもある飛田さんに簡単に取り入れられる魚料理のポイントを教えてもらいました。

インタビューした人

料理家

飛田 和緒さん

東京都生まれ。高校3年間を長野で過ごし、山の幸や保存食のおいしさに開眼する。現在は娘が巣立ち、神奈川県の海辺の魚がおいしい町で、夫と暮らす。毎日無理なく続けられる、作りやすい食材を使った、シンプルでおいしい料理が人気。湘南T-SITEで、年に数回の料理教室も開催している。『飛田和緒の得意がみつかる定番ごはん(ワン・パブリッシング)』、『いちばんやさしい魚の食べ方(オレンジページ)』が発売されたばかり。

  1. 魚屋さんに教えてもらった魚のおいしさ
  2. 醤油とわさびだけじゃない!お刺身アレンジ
  3. ぶりの切り身はオイル漬けでおいしさアップ
  4. お肉と同じように魚もアレンジ自在
  5. まずは好きな魚から、ちょっと調味料と調理方法を変えて

01
魚屋さんに教えてもらった魚のおいしさ

もともと東京に暮らしていた頃から魚はよく食べていたという飛田さん。海が近く、新鮮な魚介類が手に入る神奈川県・葉山エリアに移り住んだことで、さらによく食べるようになったといいます。しかし、引っ越してきた当初は、東京とは違う魚売り場の様子に戸惑うこともあったのだそう。

飛田さん「東京のスーパーのように切り身やお刺身の状態で並んでいるわけではなく、発泡スチロールのケースに丸ごとのお魚が並んでいる状態。見たことのないようなお魚も並んでいて、最初はどうやって買ったらいいか戸惑いましたが、何度か行くうちに顔を覚えてくださり、『どうやって食べる?』と聞いてくれるようになりました。

あるとき、1尾で売られているお魚を刺身用に処理をしてもらったのですが、家に帰ると、お刺身だけでなく骨や頭も一緒に包んでくれていたんですよね。その意図がわからず電話してみると『そこが一番おいしいから煮付けにしたり、おだしをとるといい』と教えてくれたんです。教えてもらった通りに、さっと焼いてから水で煮出して、おだしをとってお味噌汁にしたらすごくおいしくて感動しました。

そこからお店の方に調理方法やオススメのお魚を教えてもらいながら、余すことなく食べられるおいしさを知り、どんどん好きになっていきました」

02
醤油とわさびだけじゃない!お刺身アレンジ

日々魚を使った料理を楽しんでいる飛田さんに、魚のおいしさをたっぷり味わえるレシピを教えてもらいました。

かつおのユッケ風

材料&調理手順

材料(2人分)
かつおの刺身
150g
〈ねぎダレ〉
Aねぎのみじん切り
5cm分
Aみょうがのみじん切り
1本分
Aしょうがのみじん切り
半かけ分
Aナンプラー・しょうゆ・コチュジャン
各小さじ1/2
温かいご飯
適量
あさつき、白ごま、のり、しそ、温玉など
お好みで
  1. かつおの表面の水けをキッチンペーパーで拭き、1cm角に切る。
  2. ボウルにAを入れ、よく混ぜる。(1)のかつおを加え、あえる。
  3. 器にごはん、かつおを盛り、あさつきや白ごまなどをかける。

飛田さん「ねぎだれに入れる薬味はしそ、玉ねぎ、しょうがなど、お好きなものでOKです。調味料もナンプラーと醤油の割合を変えたり、味噌を入れてもおいしいですよ。甜麺醤やみりんで甘味をプラスするとごはんに合う味になります」

03
ぶりの切り身はオイル漬けでおいしさアップ

もうひとつ教えていただいたレシピは、焼くか照り焼きにするかになりがちなぶりの切り身を使ったもの。

飛田さん「パサつくというお悩みをよく聞きますが、焼きすぎによることが多いです。油分をまとうことでパサつきが防がれ、食べやすい食感に仕上がりますよ」

ぶりのゆずこしょうオイル漬け

材料&調理手順

材料(4切れ分)
ぶりの切り身
4切れ
ゆずこしょう
小さじ2
オリーブオイル
*ごま油、米油、なたね油など、なんでもOK
大さじ2
適量
好みの野菜
*今回はなすとミディトマトを使用
適量
  1. ぶりの水けをキッチンペーパーで拭く。一切れに塩ひとつまみずつをふり、10分ほどおいて表面の水けをふく。保存袋を2枚用意し、1袋につき、ぶり2切れ、ゆずこしょう小さじ1、オリーブオイル大さじ1を入れ、袋の上から手でもむようにかるくなじませる。冷蔵庫に入れて1〜2時間おき、味を含ませる。この状態で、冷蔵で2日、冷凍で約2週間保存可能。
  2. 保存袋から取り出し、熱したフライパンで野菜と一緒に焼く。油をまとっているので油は引かなくてもいいが、お好みで香りづけにあとから足してもよい。
  3. 箸を使って皮目もしっかり焼き、中まで火が通ったら皿に取り出す。焼きすぎると固くなるので、火加減に注意しましょう。
  4. お皿に盛り付けて、オリーブオイルを回しかけたら完成。

飛田さん「今日はぶりの切り身を使いましたが、めかじき、まぐろ、これからの季節だったらずずき、あじなど、どんなお魚でもおいしくなります。ゆずこしょうのかわりに豆板醤を使ったり、山椒の実もオススメです。塩とオイルだけでもおいしく仕上がりますし、オイルをごま油などにするだけでも気分が変わりますよ」

04
お肉と同じように魚もアレンジ自在

魚料理というと、ついつい刺身か焼き魚になりがち。味や調理法がワンパターンになってしまう方も多いと思いますが、飛田さんは「お肉と同じように考えればいいんです」と教えてくれました。

飛田さん「味つけがマンネリに感じるときは、お刺身につける醤油をナンプラーや味噌、塩に変えてみるのもオススメです。お刺身はオイルと相性がいいので、オイルと塩などをかけてカルパッチョにするのがお手軽。薬味をのせれば、ごちそう感も出ます。オイルはごま油、オリーブオイル、米油など、お好きなものでOKです。

切り身や1尾で買ったお魚は、グリルで焼くだけでなく、フライパンで焼くこともできます。多めの油で揚げ焼きにするだけでも違った味わいが楽しめますし、私は蒸し魚も好きでよくやっています。付け合わせに季節の野菜と組み合わせたり、切り身を食べやすい大きさに切って野菜と一緒に炒めたりするとボリュームを出すこともできますよ。

お肉は焼くだけでなく、蒸したり、揚げたりしますし、いろいろな調味料で食べますよね。お魚も同じように考えるといいですよ」

ゴミの処理、においが気になって魚料理に挑戦することにハードルを感じるんです…という相談をぶつけてみると…。

飛田さん「生ゴミの臭いが気になるなら、生ゴミの前日を魚料理の日にしちゃうのがいいですね。あとは、私がお魚屋さんに教えてもらったように、だしを取ってから捨てるというのも臭いが出づらくなります。なによりも美味しいおだしが取れますから」

05
まずは好きな魚から、ちょっと調味料と調理方法を変えて

料理をしながら「オイルも調味料もなんでも大丈夫!好きなもので試してみて」と朗らかに語ってくれる飛田さん。魚料理のどんなところが好きかを聞いてみました。

飛田さん「私はお魚の皮が好きで、うちの娘は目玉が好きなんです。そうやってここがおいしいな、この魚がおいしいなと知っていくと、どんどんお魚を好きになり、いろいろな種類にも興味が出てくると思います。いきなり目新しい魚に挑戦するよりも、自分の馴染みのあるお魚を焼いたり、蒸したり揚げたりバリエーションを変えてみる。慣れてきたら旬のものに挑戦していくというのがいいと思います。

あとは、お魚屋さんと仲良くなったり、家族や友人など一緒に魚を食べてくれる仲間を見つけたりするのもいいかもしれません。一歩踏み出すと料理も食事もぐっと広がりができるんじゃないかと、私は思います」

飛田さんへの取材後、スーパーで勇気を出してカンパチを1尾丸ごと買ってみました。「食べやすいように調理をするよ!」と声をかけてくれたので、半身をお刺身用に、半身を切り身でオーダー。頭と骨のお出汁もつくってみたのですが、これがものすごくおいしかったので、そのだしでカンパチのしゃぶしゃぶを楽しみました。切り身はオイル漬けにして翌日に。美味しく食べれたのはもちろん、まるごと味わえた喜びもひとしおでした。

魚好きはもちろん、「たまにしか買わないな…」という人も、飛田さんに教えていただいたレシピとコツを参考に、ぜひ、食卓のレパートリーに足してみてはいかがでしょうか?

  • 執筆・編集/花沢 亜衣 撮影/加藤 甫 
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