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フライパンで簡単!とろ~りなめらかな「茶碗蒸し」の作り方

フライパンで簡単!とろ~りなめらかな「茶碗蒸し」の作り方

2026/02/12

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「水気を切る」「浅めのフライパンで」「しょうゆを回しいれる」「ほどよく煮込む」……など、レシピには当たり前のように書かれている言葉の数々。でも、実際にどうすればいいの?

連載シリーズ「レシピのスキマ」では、そんなレシピからこぼれ落ちてしまう「大切なコツ」を調理科学で解き明かしていきます。

第13回目は「茶碗蒸し」です。フライパン調理でも「ス」が入らず、なめらかに仕上がる理由を味の素社の研究者・川﨑さんの解説とともに紹介します。

(はがれない&ぱさつかないピーマンの肉詰め、フライパンでできる味しみしみ肉じゃがの作るコツなどを解説してきたこれまでの「レシピのスキマ」はこちらから読めます!)

インタビューした人

味の素社 研究者

川﨑 寛也さん

博士(農学)、味の素(株)Executive Specialist、NPO法人日本料理アカデミー理事 調理科学者、感覚科学者。生家は明治20年創業の西洋料亭「西洋亭」(北海道・根室で創業。現在は廃業)。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。専門は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明など。主な著書に『味・香り「こつ」の科学』『おいしさをデザインする』『だしの研究』(以上、柴田書店)、『日本料理大全 だしとうま味、調味料』(NPO法人日本料理アカデミー)ほか。研究分野は、おいしさの科学、プロの調理技術の解明、食の体験と心理的価値の関連解明など。

  1. 茶碗蒸しは、吸い物!余った食材で気軽に作れる
  2. 茶碗蒸しの失敗、「ス」ができる原因とは?
  3. ポイント1:卵地は泡立てずに混ぜる
  4. ポイント2:「こす」ひと手間が、なめらかさを作る
  5. ポイント3:じわじわ加熱が、ぷるぷる、とろっと食感を作る

01
茶碗蒸しは、吸い物!余った食材で気軽に作れる

川﨑さん「茶碗蒸しは、実は『吸い物』として食べていいんです。吸い物とは、塩やしょうゆで味付けをしただしに、肉や野菜などの具材を加えて味わう料理のこと。だしと具材が主役と捉えると、茶碗蒸しも吸い物といえます」

スプーンですくって食べる以外にも、箸で混ぜて、崩しながら、だしごと飲むように味わうのも楽しみ方のひとつ。だしと具材、卵が一体になり、うま味を感じられるそうです。

茶碗蒸しといえば、かまぼこ、えび、銀杏などの定番食材を思い浮かべますが、具材に決まりはあるのでしょうか。

川﨑さん「具材に決まりはありません。好きな具材で、気楽に作れる料理なんですよ。今回は、鶏肉としいたけを使ったシンプルなレシピにしました。“鍋をして余った食材”を具材に使うのもオススメです」

02
茶碗蒸しの失敗、「ス」ができる原因とは?

茶碗蒸しでよく聞く失敗が「ス」が入ることです。スとは表面や内部にポツポツとあらわれる小さな穴のことで、これができると、見た目と口当たりが少し悪くなってしまいます。

失敗例。よくみると表面にこまかい気泡ができている

川﨑さん「スができる主な原因は2つです。1つ目は卵地に気泡や細かい粒子が残っていること、2つ目は急激に加熱してしまうことなんです。急に温度が上がると卵が一気に固まり、内部の水分や空気が逃げきれず穴になって『ス』として残りやすくなります。茶碗蒸しをなめらかに仕上げるには、卵地の作り方と加熱の仕方がポイントになります」

ここからは、スを防ぎ、なめらかに仕上げるための調理のポイントを見ていきましょう。詳しい材料や手順は、記事の最後でご紹介します。

03
ポイント1:卵地は泡立てずに混ぜる

ボウルに卵を割りほぐし、よく溶きます。ここでのポイントは「泡立てない」「白身のかたまりはしっかりほぐす」こと!

卵は冷蔵庫から出して常温に戻したものを使う。卵地を作る際、卵とだしの温度をそろえると、均一に混ざりやすい。

川﨑さん「卵を泡立ててしまうと空気が入り、加熱したときにその気泡が膨張して、スの原因になります。箸をボウルの底につけたまま、空気が入らないようにジグザクと静かに動かしましょう。 また、卵白は卵黄に比べて先に固まる性質があります。そのため、ほぐれていない部分があると、そこだけが先に固まり、食感のムラやスにつながります」

泡立てないのがコツ。箸を底につけたまま、静かに混ぜる

白身には、さらっとした「水様卵白」と、卵黄のまわりにこんもりと盛り上がった「濃厚卵白」と呼ばれる部分があります。濃厚卵白は粘りと弾力があり、新鮮な卵ほどしっかりしているので、特によくほぐしましょう。

卵をほぐしたら、だし汁を数回に分けて加え、その都度よく混ぜます。
今回は水と「ほんだし®」でだし汁を作っていますが、煮出しただしを使う場合は常温まで冷ますのが大切です。

川﨑さん「だし汁の温度が高すぎると、卵が部分的に固まってしまいます。だしを加えたあとは、卵を溶いたときと同じように、箸をボウルの底につけたまま静かに動かして混ぜるのがコツです」

だし汁をすべて加えたら、うす口しょうゆで味つけします。

川﨑さん「うす口しょうゆはこい口しょうゆよりも塩分濃度が高いので、少量でも味が決まり、だしの風味を邪魔しません。色が薄いので素材の色を活かしやすく、卵地もきれいに仕上がりますよ。一方、こい口しょうゆはうま味が強く、香ばしい風味をつけたいときにオススメ。今回は、卵地にはうす口しょうゆ、鶏肉の下味にはこい口しょうゆと使い分けています」

鶏肉はそぎ切りにすることで火が通りやすくなり、断面積が大きくなるので下味もなじみやすくなる

04
ポイント2:「こす」ひと手間が、なめらかさを作る

仕上がりに影響するため、こしきれなかった部分は使わない

続いて、卵地をこします。

川﨑さん「卵白の粘性、だしに残る細かな固形物、気泡などが残ったまま加熱をすると、スができやすく、火の通り方にも差が出てきれいに固まりません。こすことでこれらを取り除けます。 こす際は、数回に分けて少量ずつにしましょう。一度にやろうとすると目が詰まりやすく、うまくこせなくなるためです」

入れる具材は自由だが、詰め込みすぎには注意。具材が多いと火の通りにムラが出たり、水分が出て固まりにくくなる

器に具材を入れてから、卵地を注ぎ入れます。

川﨑さん「先に具材を入れてから卵地を注いでいくと、気泡が入りにくく、見栄えもよくなります。具材を入れるときは、火が通りにくいものが一番下になるように入れます。今回は鶏肉を先に、次にしいたけを入れます」

05
ポイント3:じわじわ加熱が、ぷるぷる、とろっと食感を作る

いよいよ火にかけます。ぷるっとした食感の決め手は「じわじわと加熱すること」。そのための5つの工夫を紹介します。

工夫①:フライパンにキッチンペーパーやふきんを敷く

器がフライパンの底に直接触れると、その部分だけ高温になって固まり方にムラが出るので、キッチンペーパーなどを敷くことで火の当たりを和らげられます。

工夫②:器にラップをかけ、爪楊枝などで穴をあける

川﨑さん「ラップをかけると、蒸気が全体に行き渡り、上からもゆっくりと火が入るため、加熱ムラを防げます。さらに、フライパンの蓋についた水滴が落ちるのを防ぐことで、スが入りにくくなります。ただ、密閉したまま加熱すると温度が急に上がり、卵地の気泡が膨張してスの原因に。数カ所ほど穴を開けて蒸気の逃げ道をつくりましょう」

工夫③:常温の水から温める

フライパンに器を並べたら、器の半分の高さまで水を注ぎます。

川﨑さん「熱湯に入れると外側だけが一気に加熱されてしまいます。その結果、内側との温度差が大きくなり、食感にムラが出やすくなります。水からゆっくり温度を上げることで、均一に固まりやすくなるんです」

工夫④:沸騰後は弱火で加熱する

フライパンに蓋をして中火にかけ、沸騰したら弱火に落として10分ほど加熱します。沸騰したまま高温で加熱し続けるとスが入り、ザラついた食感になるためです。

器の下半分はお湯で、上半分は蒸気で火を通す。蒸気を逃さないように、フライパンには必ず蓋をする

工夫⑤:蓋をしたまま10分蒸らす

川﨑さん「ゆっくり加熱したとはいえ、火を止めた直後は表面と底部分に温度差があります。そこで蓋をしたまま10分蒸らします。余熱を全体に行き渡らせることで、温度が均一になり、なめらかな仕上がりになります」

じわじわ加熱するとぷるっとした食感になるのは、なぜでしょうか?

川﨑さん「ゆっくりと温度を上げると、卵のたんぱく質が細やかな網目をつくります。その網目の中に水分やだし成分が閉じ込められるため、ぷるっとした食感になります。逆に急激に加熱すると、網目が粗くなって水分を抱え込めません。その結果、水分が抜けて固い仕上がりになります。今回のようにフライパンに水を張り、器ごと加熱する方法は、お湯や蒸気の熱で間接的に火を通すので、温度上昇がゆるやか。そのため、ぷるぷるに仕上がりやすいんです」

今回はフライパンで作る方法を紹介しましたが、蒸し器やせいろを使っても作れます。卵地を作って具材と器に入れるところまで、工程は同じ。蒸し器から蒸気が立ったら器を入れ、強めの中火にかけます。3分たったら、中の状態を確認し、表面や周りに火が入って固まりだしたら、弱火にします。8分間たったら中を確認し、竹ぐしを刺し、中から透明な汁が出てきたら、でき上がり。そうでない場合は、弱火でさらに3~5分間蒸し、再度確認します。

今回はみつばに加えて、ゆずの皮ものせ、香りをさらに楽しめる仕上がりに

蒸らし終えたら、やけどに注意しながら器を取り出し、みじん切りにしたみつばの茎をちらします。川﨑さん曰く、「みつばの葉もおいしいですが、みじん切りにした茎はより香りが立ちやすく、仕上げに散らすと全体の風味がよくなります」とのこと。葉と茎で使い分けてみるのも味や香りに変化が出て楽しそうです。

完成です!表面はつるんとなめらかな仕上がり。

スプーンですくって中を確かめてみると、こちらもスは見当たりません。まずはひと口。ぷるんとした食感とともに卵の甘みが広がります。川﨑さんに教わった通り、混ぜながら崩し、飲むように味わってみるとだしの風味がより一層感じられます。喉越しもよく、スルスルといただけました。

スがなく、ぷるぷる食感の茶碗蒸しが完成

茶碗蒸しというと、お祝いの席などの特別な日の料理というイメージがありますが、フライパンで簡単に作れて、具材も自由となれば、もっと気軽に楽しめそうです。冷蔵庫の残りの食材で、いろいろなバリエーションの茶碗蒸しをぜひ作ってみてください!

材料&調理手順

材料(4人分)
3個
鶏もも肉
50g
しいたけ
2枚
みつば
4本
A:「ほんだし®」
小さじ1(3g)
A:水
450cc
こい口しょうゆ
小さじ1(鶏肉の下味用)
うす口しょうゆ
大さじ1(卵地の味付け用)
ゆずの皮
お好みで
  1. みつばの茎はみじん切り、しいたけは軸を取り除き、4等分にする。
  2. 鶏肉はそぎ切りにし、こい口しょうゆを加えてもみ込む。
  3. ボウルにAを入れ、よく溶かす。
  4. 別のボウルに卵を割り、白身を切るようにしてよくほぐす。(3)のだし汁を少しずつ加えて混ぜる。うす口しょうゆを加えて混ぜ、こし器で何回かにわけながらこす。
  5. 器に鶏肉、しいたけの順に具材を入れ、(4)を等分に注ぎ入れる。ラップをぴったりかけて、爪楊枝などで数カ所穴をあける。
  6. フライパンにふきんやキッチンペーパーを敷き、(5)を入れ、水(分量外)を器の半分の高さまで注ぐ。蓋をして中火にかけ、沸騰後は弱火にして10分加熱する。
  7. 火を止めて、蓋をしたまま、10分蒸らす。取り出して、みつば、ゆずの皮をのせたらできあがり。
    ※器が熱くなっているため、取り出す際はやけどにご注意ください。
  • 執筆/佐々木まゆ 撮影/佐々木 孝憲 編集/とみこ
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