日々の家庭料理には、悩みがつきもの。きっと料理をする人の数だけ悩みがあって、それは食べることが大好きな味の素社員も同じです。
今回ご登場いただく前田さんも、料理に悩めるひとり。なんでも、副菜作りに苦手意識があり、献立を作るのが不得意なのだそう。ほかの家事とくらべると、料理を奥さん頼みにしてしまうことが多いのだとか。
そこで今回、「妻の料理負担を減らしたい」という想いから、自炊料理家の山口祐加さんに料理指南を依頼!普段料理し慣れない男子でもすぐに身につく、作りやすくてアレンジがきく、日々の暮らしに寄り添った料理のコツを山口さんに教えていただきました。
インタビューした人
自炊料理家、食のライター
山口 祐加さん
インタビューした人
調味料事業部
前田 浩邦さん
「AJINOMOTO PARK」運営チームで、よりよい体験をご提供すべく、情報のお届けや分析業務を担当。訪れるたびに発見があって好きになる、そんな出会いのある場を目指して日々、奮闘している。
- 「食材×調理法×味付け」 料理には型がある!
- アレンジ自在!毎日使える“普通の料理”のコツ
- 今日の献立にもう一品!手軽でおいしい技あり副菜レシピ
- 今日から使えるアイデア帖♪負担を軽くしてくれる料理の手引き
- コツをつかめば、料理はこんなにもおいしくて楽しい!
01「食材×調理法×味付け」 料理には型がある!
山口さん:そもそも、前田さんはどうして料理を作りたいと思ったんですか?
前田さん:普段、料理は妻が作ってくれているんですけど、もう少し楽をさせてあげられないかなと。一人暮らしが長かったこともあり、掃除や洗濯は苦にならないのですが、料理は休日のランチにたまにするくらいですね。
山口さん:なるほど。だったら、特別感のある料理ではなくて、毎日作れるような料理を覚えられるといいかもしれませんね。
前田さん:メインの料理や汁ものを作ったときに、品数が少ないとか、もうちょっと野菜がほしいと思うことが多くて。
いつも慌てて「冷蔵庫にある食材で作れる副菜」を調べるんですけど、その作業が料理に対するハードルを上げている気がします。
山口さん:副菜作りで悩んでいる人はすごく多いんですよ。
自分で作らなくても冷凍食品を使えば、ご飯に合うおかずを探すのに困ることはあまりないんです。でも、どうやって野菜をとればいいかを考えるのは難しい。その選択肢を増やすことができればいいのかなと思いました。
山口さん:料理全般に通ずることとして、「食材×調理法×味付け」と覚えておくといいですよ。それぞれの要素をスロットみたいに組み合わせて、カチッと合ったものを作るってやり方なら、いろんな料理を楽しく作れます。
前田さん:いわゆる「型」を覚えるってことですね!たしかに、それなら料理のハードルがグッと下がる気がします。
山口さん:では今回は、そんなさまざまな食材で応用できる副菜を作ってみましょうか。
02アレンジ自在!毎日使える“普通の料理”のコツ
食材と調理法、味付けのかけ合わせ方次第で、無数のレパートリーができると山口さん。今回は、「ピーマンとしらすの煮浸し」と「菜の花のナムル」、ふたつの副菜の作り方を例に、“普通の料理”のコツを教えていただきました。
煮ものは「10:1:1」が基本!食材の切り方をかえるだけで食感の違いも楽しめる♪
山口さん:ではまず「ピーマンとしらすの煮浸し」から。ピーマン、いつもどうやって切りますか?
前田さん:いつも真ん中を縦に切って、手で種をとります。
山口さん:私も手でやりますが、下からだととりやすいですよ。内側にくっついてなかなかとれない種は、こうやって指で強く弾けば簡単。
今日のように煮る料理のときは水で洗い流してもいいんですが、焼く場合はあまり水気をまとわせたくないので、いろんなやり方を知っておくといいですね。
いまだしが150ml入りました。煮ものの基本は「10:1:1」とよくいうんですが、「1:1」って何だと思いますか?
前田さん:しょうゆですか?
山口さん:そうです。もうひとつは?
前田さん:砂糖?
山口さん:近いです。砂糖でも全然いいんですが、しょうゆとみりんを大さじ1ずつ入れてください。「大さじ1」というときは、表面張力いっぱいに。
山口さん:ピーマンは繊維が縦に流れていて、それを断ち切るように切ると、火通がよくくたっとした感じに。繊維の方向に切っていくと、シャキシャキした食感が楽しめます。
前田さん:どちらかというと、くたっと系が好きですね。
山口さん:では、横5mm幅くらいに切って鍋の中へ。しらすも入れてください。好きなだけ入れて大丈夫です!
前田さん:え?もう、しらすを入れていいんですか?
山口さん:いいですよ。全部入れてフタをし、5分煮たら完成です。
山口さん:しらすからもだしがでるんですよ。だしに浸した状態で沸かすと、泡がフタの代わりをして、味をなじませてくれます。あとは弱火にして5分煮たらできあがりです!
前田さん:時間になったので、火を止めて開けてみましょうか…。あ、いいが香りします!
山口さん:味見してみてください。今はできたてですが、このまま30分ぐらい置いたあと、食感がどう変わるか、覚えておいてください。
バリエーションは野菜の数だけ!ナムルをマスターして副菜達人に
山口さん:次は、「菜の花のナムル」です。にんにくの風味があってごま油であえてあればなんでもナムルだと思っているんですが、こういう型のようなものを覚えておくと楽ですね。
あとは、電子レンジで調理できるのが便利。いろいろ同時進行でやっていて、コンロが埋まったときでも大丈夫です。
菜の花は、花の部分を切るとボロボロ落ちてきてしまうので、花をきれいに残したいから、先端のほうで揃えて4cmくらいの幅で切っていきます。
山口さん:耐熱容器の中に入れてチンしたら、水気を絞っておきます。
前田さん:電子レンジにかけるときも、調味料を入れないんですか。
山口さん:はい。調味料を入れなければ、「ちょっと菜の花が多すぎた」となっても、半分残して次の日にお浸しにしたり、みそ汁の具にしたりできるんです。
もちろん、菜の花はお湯でゆでてもいいんですよ。私は、菜の花のだしが出たところにいろんな野菜を入れてみそ汁にしちゃいます。
前田さん:いい香りがしてきますね!
山口さん:電子レンジから取り出したら、まずはごま油を。塩の前にごま油を入れてコーティングすることで、菜の花から水が出にくくなるんです。
よくあえたら酢を小さじ1と塩をひとつまみ。「塩ひとつまみ」というのは、親指、人差し指、中指の3本の指でつまんだ量のことをいいます。結構入れちゃって大丈夫です。
にんにくのみじん切り、いりごまをあえたら味をみてください。もし「味が足りない」と感じたら、塩かうま味のどちらかが足りないということ。
前田さん:普段は「ほんだし®」などでうま味を足しています。
山口さん:実際おいしくなるし、プラスアルファで入れてもいいですね。ただ、なにも足さないゼロの味を知るのはすごく大事だと思っていて。
そのままの味を知ったうえで、気分や好みに合わせて味を調整していくのがベストだと思います。
03今日の献立にもう一品!手軽でおいしい技あり副菜レシピ
山口さんに教えていただいた副菜二品の詳しい作り方はこちら♪
04今日から使えるアイデア帖♪負担を軽くしてくれる料理の手引き
ご紹介した二品のほかに、この日はTwitterの「#今日の一汁一菜」でもよく登場する、山口さんお得意の「具だくさんみそ汁」と、食材を切って焼くだけの超簡単副菜「焼き野菜」の作り方も教えていただきました。
今日から使える料理のヒント、おいしいところをかいつまんでご紹介します。
今回のようにみそ汁を1食分だけ作ろうとしたときによくあるのが、「作りすぎちゃった/ちょっと少なかった問題」。山口さんはおわんを使って一杯分の水をそのままお鍋に。
たしかに、これならちょうど必要量が作れます。
ちなみに、この日に教えていただいたのは、ベーコンやエリンギ、ブロッコリーを使った洋風みそ汁。
ブロッコリーといえば、つぼみ部分がボロボロとくずれがちですが、茎のほうから房の手前あたりまで包丁で切り込みを入れると、きれいに切り分けられると教えていただきました。
トマトの切り方にもコツが。刃先がすべってなかなか刃が入らないときは、「包丁の“あご”の部分をトマトに差し込み、そこから引き切るようにすると、スッと簡単に切れますよ」と山口さん。
レシピにありがちな表現に戸惑った経験、ありませんか?
たとえば、「フライパンが温まったら」といっても感覚は人それぞれです。そこで山口さんは、食材をフライパンに並べ、油を入れ、火にかけるという順番にしているそう。そのほうが、調理時間にムラが出なくていいのだとか。
こうやってストレスをなくしていくひとつひとつのアイデアが、料理を楽しく続けるためには大切なのですね!
05コツをつかめば、料理はこんなにもおいしくて楽しい!
それではいよいよ試食の時間。料理の出来栄えのほうはいかがでしょうか?
前田さん:すごくおいしそうです。山口さん、ありがとうございます!
山口さん:これ全部、前田さんが自分で作ったんですよ!さっそく食べてみてください。
前田さん:それでは、いただきます!まずは「ピーマンとしらすの煮浸し」から…。
前田さん:さきほど味見したときよりも、味が染み込んでいますし、やわらかい味わいになりました!こっちのほうが好みです。
山口さん:煮ものは置いておけばおくほどおいしくなりますからね。「菜の花のナムル」はどうですか?
前田さん:苦みがきいていてこちらもおいしいです…!
山口さん:よかったです!ゆでると苦みが水に溶け出てしまうので、苦みが好きな人は電子レンジで作るといいですね。
山口さん:家庭料理って、冷蔵庫にあるものをどんどん消費しないといけません。私はそれを「料理テトリス」って呼んでいて、食材を大量に消費する方法をいろいろ知っていればいるほど便利なんです。
全部ゴロゴロと切ってカレーにしてもいいし、細かく刻んでミネストローネにしてもいい。今日みたいに、煮浸しやナムル、みそ汁にしてもいいですし、それすらも面倒に感じられるときは、半分に切って焼き野菜に。
前田さん:なるほど! それが型なんですね。おかげで料理のハードルはグッと下がりました。あとは使う食材を変えて、いろいろな料理を作れそうです。
これなら、平日でも「週1回は僕が作る」とか「副菜は僕が」といった形で役割分担ができるかもしれません!
今回、山口さんが教えてくださった料理の型、「食材×調理法×味付け」を押さえておけば、それぞれの要素を入れ替えるだけで、無理なく料理のレパートリーを増やすことが可能に。前田さんのような、普段キッチンに立つことが少ない男子が料理の道を歩きはじめるうえで、またとない案内役になってくれそうです。
特別な日ではなく、毎日役立つ“普通のごはん”のアイデア。ぜひ、みなさんも挑戦してみてください!