6月頃になると、スーパーに並びはじめる、コロンとした丸い梅。張り切って漬けたものの、いざ食べるときになると余りがち……なんてことはありませんか?またスーパーなどで購入した梅干しも、いつの間にか冷蔵庫の中にずっと放置されているケースも少なくありません。
梅干しはもちろん、梅を漬けたときにできる赤じそや梅酢などの活用方法も知れば、きっと料理の幅が広がるはず!
そこで、書籍『ちょこっとから楽しむ はじめての梅仕事』で梅仕事や梅を使ったアレンジレシピを発信している料理家の榎本美沙さんに、梅干しや赤じそ、梅酢などを余らせないための活用術についてお聞きしました!
インタビューした人
料理家・発酵マイスター
榎本 美沙さん
発酵食品や季節の食材を使ったシンプルなレシピを、雑誌や書籍、テレビなどで提案している。オンライン教室「榎本美沙の料理教室」主宰。 登録者32万人を超えるYouTube「榎本美沙の季節料理」やinstagram(@misa_enomoto)も人気。著書は『ちょこっとから楽しむ はじめての梅仕事』『からだが喜ぶ発酵あんことおやつ』『ゆる発酵』など多数。
- 子どもの頃から身近な存在だった「梅」
- “調味料の一つ”として、梅干しを料理に活用!
- 赤じそ・梅酢・梅シロップは、どう活用する?
- 梅仕事を始めるコツは、少量で簡単に作ること
01
子どもの頃から身近な存在だった「梅」
──榎本さんは、いつ頃から梅が好きだったのでしょうか?
子どもの頃から梅干しや梅ジュースが大好きでした。我が家には夏になると梅シロップが常備されていて、梅ジュースを飲むのが夏の定番だったんです。
梅仕事をはじめるようになったのは、大人になってから。大量に梅を漬けようとすると、道具や干す場所を用意しなければならなくて大変ですし、梅干しが完成しても一人で全て食べきるのは難しいですよね。そこで、試行錯誤しながら、少量をジッパー袋で作る方法にたどり着きました。(榎本さんが提案する梅干しの作り方はこちら)
02
“調味料の一つ”として、梅干しを料理に活用!
──梅干しをどのように料理に取り入れていますか?
梅干しは「ごはんのお供」というイメージが強いかもしれませんが、調味料の一つとして考えて使うと便利です。少し大きめにちぎって使うほうが、より存在感が出て、私は好みですね。
たとえば、炒めものにちぎった梅干しを加えると、酸味が足されて、さっぱりと仕上がります。つくねや餃子のタネに混ぜてもおいしいです。
唐揚げは、家族みんなが大好きな定番料理ですが、よく作っていると飽きてしまいませんか?そんな時は、唐揚げの衣にちぎった梅干しを入れてカラッと揚げると、油っぽさが梅干しの酸味で抑えられ、さっぱりといただけますよ。
それから、「梅干し」といえば和食、と思われている方が多いかもしれませんが、意外と中華やエスニック料理にも合うんです。スイートチリソースに刻んだ梅を混ぜたり、スープカレーやベトナム料理のフォーにちぎった梅を加えたり。
他にも、スープとの相性も良いですね。鶏がらベースのスープにちぎった梅干しを加えると、塩味と酸味がプラスされて、さっぱりと飲みやすくなります。
──市販の梅干しの中には、はちみつ風味の梅干しを見かけることもあります。どのように活用したら良いのでしょうか?
はちみつの甘みを活かして、野菜のマリネに使うのがオススメです。塩気の強い梅干しを使うよりも、はちみつ風味の梅干しを使った方が優しい味わいに仕上がりますよ。
──梅干しに合わせる食材は、いつも同じ組み合わせになってしまいます……。相性の良い意外な食材があれば教えてください!
ゴーヤですね。以前に、ゴーヤを梅干しとみそをベースにした「梅みそ」で和えるレシピを紹介したこともあります(レシピはこちら)。さっとゆでたゴーヤに、ちぎった梅干しや調味料を加えて味付けするだけ。ゴーヤの苦味と梅干しの酸味が合わさって、箸が進みますよ。
あとは、アボカドと和えてもおいしいですね。
──どれもおいしそうですね。他にもありますか?
甘酒に、ちぎった梅干しを入れて飲んでみてください。疲れている時には、体にしみわたりますよ。
03
赤じそ・梅酢・梅シロップは、どう活用する?
──市販の梅干しには、少量の赤じそが入っていることもあります。使い道につい困ってしまうのですが、上手く活用する方法を教えてください。
軽く刻んでごはんに混ぜたり、具材と一緒に炒めたりするとおいしく使えます。
ご自身で梅を漬けられている場合は、梅を天日干しする際に赤じそも一緒に干してしまうのがオススメです。乾燥したらフードプロセッサーで細かくし、瓶などに入れて常備しておくと料理で使う時に便利ですよ。
焼きうどんのアクセントにちらしたり、ナムルに加えたり。他にも、和え物で梅干しを使うかわりに、赤じそを混ぜてもいいですね。
──梅酢はいかがでしょうか?
塩味と酸味がある梅酢は、すし酢を作るのに便利です。おにぎりを作るときも、手水のかわりに梅酢を使うと、ほんのりと梅の風味がついておいしくなります。
ドレッシングを手作りする場合に、酢のかわりに梅酢を使うのもオススメです。
他にも、肉や魚のくさみ消しにも使えますよ。たとえば、鶏ささみ4本を一口サイズにカットしてポリ袋に入れ、梅酢を大さじ1加えます。軽く揉み込んで、10分ほど常温で置くと、くさみが抜けます。ほんのり塩味がつくので、食べやすくなります。
──梅シロップは、どのようにアレンジしたら良いでしょうか?
梅シロップは、おやつ作りにぴったりです。よく作るのは、梅シロップを使った梅シャーベットや、梅の甘露煮を加えたゼリーなど。あんみつを用意して、上から黒蜜の代わりに梅シロップをかければ、爽やかな甘味と共にさっぱりと食べられますよ。
04
梅仕事を始めるコツは、少量で簡単に作ること
──梅干し、赤じそ、梅酢、梅シロップと、想像以上にたくさんの活用方法があることに気づかされました。市販の梅干しを買って使うだけでなく、一から梅を漬ける作業にもチャレンジしてみたくなりますね!
梅仕事の醍醐味は、梅のまんまるとした可愛らしい姿を味わいながら作れることです。ただ、慌ただしい日々を送る中で梅仕事をしようと思っても、つい腰が重くなりがちではありませんか?
梅仕事の中には、梅シロップや梅酒など材料を瓶に入れるだけで簡単に作れるものもあるんです。
榎本さんが作る梅酒のレシピはこちら。すっぱい梅シロップ(梅サワー)の作り方も!
梅仕事に興味がある方は、あまり気構えせずに梅を食材と捉え、ご飯の支度をするように、気軽に試してもらえたら嬉しいですね。
そして、手作りした梅で、いろんな料理にアレンジしてみてください!