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ウェルビーイングの鍵は料理にあった!調査研究・結果レポート

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ウェルビーイングの鍵は料理にあった! 調査研究・結果レポート

Introduction:

味の素社は、日本や世界に向けて、皆様の食卓を支える商品をお届けしながら、「Eat Well,Live Well.」をスローガンに、よりよく食べて、よりよく生きる社会への貢献を目指しています。近年、日本でも注目が集まっている「ウェルビーイング」という言葉。心身ともに満たされた状態を表す概念ですが、様々なアプローチがある中でも、味の素社は、「食・料理」を通じて、ウェルビーイングに向き合うプロジェクトを立ち上げました。第一弾として、調理技術の習得が、ウェルビーイングにつながる自己形成の一助になりうるかを検証するために、2022年秋〜今年春にかけて、慶應義塾大学との共同調査研究を行いました。本研究では、自炊料理家の山口祐加さんを講師に迎え、慶應義塾大学に通う学生14名を対象に、レシピに縛られない調理技術を習得する全8回のワークショップを実施。そして、参加前後での料理との向き合い方の変化や自信の変化、ウェルビーイング指標に対する影響などについてアンケート調査し、料理とウェルビーイングの関係性を明らかにすることを目指しました。

調査研究概要

調査目的

料理ワークショップを通じて、汎用性の高い調理技術の習得が、ウェルビーイングにつながる自己形成の一助になりうるかを検証する。

また、調理技術を習得する方法として、レシピにとらわれずに料理する“レシピのない学習”を通じて、食材から料理のアイデアを生み出す応用力が身に着くかどうか、検証する。

調査対象者

慶應義塾大学 大学生 13名 ・ 大学院生 1名
(調査研究時点)

料理ワークショップ講師

第1回〜第8回 :山口祐加(自炊料理家・慶應義塾大学SFC研究所研究員※研究実施当時)
第7回ゲスト講師 : 川崎寛也(味の素(株) 食品研究所エグゼクティブスペシャリスト)

実施概要

1. レシピのない料理ワークショップを実施(全8回)
2. ワークショップの開始時と終了時に、アンケート調査を実施

第7回「料理を科学する」講義風景
味の素グループうま味体験館にて、味の素社の研究員であり調理科学、食品科学、官能科学、味覚生理学を専門とする川崎寛也氏が登壇し、料理を科学の視点から理解を促す講義を実施。

レシピのない料理ワークショップ|プログラム

第1回 : 野菜を切る、ゆでる
第2回 : 鶏肉と豚肉を焼く
第3回 : サラダを作る
第4回 : 魚を煮る、焼く、ホイルで焼く
第5回 : 汁物を作る
第6回 : 炒めものを作る
第7回 : 料理を科学する
第8回 : 成果発表・料理実習

SUMMARY

レシピに縛られない調理技術・応用力を習得することで 生まれる料理への自信と、料理の楽しさへの気づき

料理ワークショップを通じて、レシピに縛られない料理の応用力を学ぶことで、多くの参加者が料理に対して自信を持てるようになり、料理を楽しいと感じられるようになりました。

第7回「料理を科学する」講義風景
第4回で学んだ魚のホイル焼きを、この日は山口さんが解説しながら作ってくれました。
自分で作った時の疑問点や、味の違いなどを確かめる機会になりました。

調理技術・料理に対する自信

※ ワークショップ参加14名の回答を集計(参加前・参加後)

参加者の声

自分好みの味にカスタマイズできる自由を手に入れることができた。
また、材料一つ一つの特徴を知ることでレシピの見え方も変わり、
応用力が効くようになった。

参加者の声

自炊の安心感を得られたことは本当に収穫でした。スーパーに行って、良さそうな食材を買って、何の味にしてみようか、と積極的に考えられるようになった。

参加者の声

調理を通して、どんな風に美味しさが作られていくかを実感した上で食べると、
ゆっくり味わって食べられるし、その方が美味しいと感じると気づきました。


料理の楽しさへの気づき

※ ワークショップ参加14名の回答を集計(参加前・参加後)

参加者の声

今まで料理は「できるようになっておかないと困るもの」とか、
「将来は毎日やるもの」とか、義務のような意識が強かったけれど、
ワークショップを通して、料理は楽しいものだ!という意識に変わった。


ポジティブな気持ちで料理に取り組むことで得られる 「心が満たされる」実感と、ウェルビーイングへのよい影響。

料理とポジティブに向き合うことで、料理をすること自体が「心が満たされる」と感じるようになった参加者が増加。料理がもたらすウェルビーイングへのよい影響が参加者一人ひとりの変化から明らかになりました。

第7回「料理を科学する」講義風景より
講義の回を重ねるごとに、料理に正解はなくてよいこと、自分がどう感じるかを大切にすることなどを体得して、笑顔の多い和やかなワークショップとなりました。

料理で「心が満たされる」実感

※ ワークショップ参加14名の回答を集計(参加前・参加後)

参加者の声

今までは、食べれればなんでもいいや、という感じで料理をしていた。
でも、今は、料理は、毎日の忙しさの中でもほっと一息つける時間となり、
心に安らぎを与えてくれるものになっていると感じる。

料理をすることは必要不可欠ですが、単なる作業としてでなく、
こだわりを持つことでぐっと人生を豊かにさせてくれると思いました。


料理のウェルビーイングへのよい影響

※ ワークショップ参加14名の回答を集計(参加前・参加後)

参加者の声

料理をすることは、自己肯定感が上がる、今日を意味のあるものにした、
という感情を抱ける行為だと思うようになった。

1日の満足度が低いと感じる日には、スーパーに出かけて料理をすると、
満足して夜を迎えることができる。

参加者の声

料理をすることは、生活を大切にしている証拠だと感じる。

日々、自炊ができているかどうかは、 自分のケアができている、
できていないを測るひとつの指標になりました。

Profile:
料理ワークショップ講師

山口祐加 Yuka Yamaguchi

自炊料理家・慶應義塾大学SFC研究所研究員※研究実施当時

1992年生まれ、東京出身。慶應義塾大学総合政策学部卒。共働きで多忙な母に代わって、7歳の頃から料理に親しむ。出版社、食のPR会社を経てフリーランスに。料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、出張社食、執筆業、動画配信などを通し、自炊する人を増やすために幅広く活躍中。著書に『自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話 』、『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。』など。好物はみそ汁。

第7回・料理ワークショップ講師

川崎寛也 Hiroya Kawasaki

味の素株式会社食品研究所エグゼクティブスペシャリスト

1975年兵庫県生まれ。実家は明治20年創業の⻄洋料亭「⻄洋亭」(現在は廃業)。2004年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。博士(農学)。現在、味の素株式会社食品研究所エグゼクティブスペシャリスト。特定非営利活動法人日本料理アカデミー理事。専門は調理科学、食品科学、官能科学、味覚生理学。著書に「だしの研究」「料理のアイデアと考え方」(柴田書店)、「日本料理大全 だしとうま味、調味料」(シュハリ・イニシアティブ)、「味・香り『こつ』の科学:おいしさを高める味と香りのQ&A (柴田書店)」など。