毎日の料理や災害時の備え、アウトドアといったシーンで使われる「カセットこんろ」。日本で初めて家庭に普及させたのは、「イワタニ」でお馴染みの岩谷産業株式会社です。それから50年以上にわたり、時代の変化に応じたニーズに合わせて進化を遂げてきました。
すっかり身近な道具だけに「実は知らないこと」や「知ると便利なこと」も様々あるものです。今回は岩谷産業株式会社へ伺って、「カセットこんろ」の豆知識や安心安全な最新機能、防災時のポイントなどを教わってきました!
記事の最後には、「カセットこんろ」で調理ができる「備蓄食を使った新作レシピ」もご紹介します!
インタビューした人
岩谷産業株式会社 総合エネルギー事業本部
広住 康子さん
インタビューした人
岩谷産業株式会社 総合エネルギー事業本部
川久保 有留さん
- 使い切りタイミングは重さでわかる?! 「カセットこんろ」の豆知識
- 家族団欒からアウトドアまで。広がる利用シーンと安心安全の機能
- 使いやすさがアップ!最新「カセットこんろ」の世界
- 災害時に使える「カセットこんろ」の保管方法
- マンネリ打破にも!おいしく実践◎「カセットこんろ」活用レシピ
01
使い切りタイミングは重さでわかる?! 「カセットこんろ」の豆知識
——唐突なのですが……以前からの疑問で、カセットガスの残量を知る方法ってあるのでしょうか?
広住さん:実は、イワタニカセットガスはキャップも含めて約100グラム、中身のガスは約250グラム、合計で約350グラムなので、重さを測るとガスの残量がわかります。たとえば、重さを測って225グラムなら、容器の重さを引いて、ガスは約125グラムですね。
また、新品のカセットボンベ3.5kw(3,000キロカロリーの場合)は、強火で約1時間使える設計なので、残りのガスが125グラムなら、強火であと30分程度は使えると計算できます!
——初めて知りました!もう一つ知りたいことで、最近は「カセットこんろ」も多種多様です。どうすれば自分に合うものを選べますか?
広住さん:「火力、サイズ、安全性」から選ぶといいと思いますよ。
作りたい料理によって必要な火力も違います。火力は「kW(キロワット)」や「kcal/h(キロカロリー)」として商品仕様で表示されています。家庭用のガスコンロは約4.1kW(3500kcal/h)ほどが一般的ですから、比べてみるとイメージしやすいですね。
岩谷産業では、約1.9kW(1,600kcal/h)のものから、本格中華料理にも使える約4.1kW(3,500kcal/h)のものまで、さまざまな火力の商品をご用意しています。
また、使いたい鍋やフライパンの大きさによって、対応できる「カセットこんろ」のサイズが異なります。安全性を考慮した機能は様々あるので、ご自身の用途に合わせて最適なものを選んでいただけるといいと思います。
このあたりは「カセットこんろ」の歴史を知っていただくと、もっとわかりやすいはずです!
02
家族団欒からアウトドアまで。広がる利用シーンと安心安全の機能
——では、「カセットこんろ」はどのように生まれたのでしょうか?
川久保さん:1969年に岩谷産業は「イワタニホースノン・カセットフー」という「カセットこんろ」を初めて発売しました。
川久保さん:「家族団欒で鍋を囲みたい」という声をもとに、持ち運びができて、ガスホースにつなぐ必要がない「カセットこんろ」を開発したんです。ただ、今より大きく、重く、火力も一般家庭のコンロの半分以下、約1.7kW(1500kcal/h)しかなく、不便なことも多かったようです。
——そこからどう進化していったんですか?
広住さん:まず大きかったのは「火力」の進化です。徐々に高火力が実現し、1993年に発売した「強火自慢シリーズ」で、それまでの約1.5倍の火力が実現できました。
同じく1990年代からは「形状」も進化しました。スリムになったり、グリル型やホットプレート型といった新しいタイプのものを作ったりしました。
広住さん:アウトドア用に風防をつけるといった「利用シーン」に合わせた変化もあります。あとは、安心安全のための機能も増えていきましたね。
——安心安全のための機能、気になります。どういった機能がありますか?
広住さん:代表的なのは「圧力感知安全装置」です。ボンベの内部圧力が高くなってきたら、ボンベがはずれてガスを遮断します。
広住さん:それから、バーナーと鍋の間にある“ごとく”の裏表を間違えると鍋がうまく置けない「しる受け反転防止装置」という仕組みも。
最近できたのは「立ち消え安全装置」です。ふきこぼれや風などで炎が消えたら、バーナー横に付けたセンサーの「熱電対」が温度変化を感知して、自動的にガスを遮断します。電源いらずで動くのも特徴です。
03
使いやすさがアップ!最新「カセットこんろ」の世界
——機能だけでなく、デザインやサイズもさまざまに進化しているのですね。
川久保さん:人気の「達人シリーズ」のなかでも最新の「達人スリムプラス」は、高さ74ミリと薄く、食卓に置いても椅子に座ったままで鍋の中身が見えると好評です。
広住さん:「エコプレミアムII」は、「大きい鍋を使いたい」というお客様の声を受けて開発しました。バーナー位置を左にずらすことで、直径30センチの10号土鍋が使えるようになりました。
広住さん:キャンプなど、アウトドア向けで風対策に特化しているのが「タフまる」です。二重の風防と複数の穴から火が出るバーナーがポイントです。
広住さん:「タフまる」はのせられる鍋などの「耐荷重性」にも優れ、ハードケースでの持ち運びも可能なので、アウトドアのみならず、最近では「防災時にも役立つ」と言っていただくことが増えましたね。
04
災害時に使える「カセットこんろ」の保管方法
——「カセットこんろ」の多くは電気を使わないことから、防災用にもぴったりです。災害を見越してカセットボンベを備えるときの注意点はありますか?
川久保さん:カセットボンベは湿度が高くなく、直射日光の当たらない、40℃以下の場所に保管すると安全です。押し入れや納戸などで、なるべく涼しいところがいいと思います。流し台の下に保管しているという方もいますが、湿度が高いとサビの原因になるので避けたいですね。
広住さん:保管期限の目安は、ボンベの底に印字してある製造年月日から錆が無ければ約7年です。こんろも使用パーツの耐久性からいって、10年を目処に買い替えをオススメしています。
——いざというときのために、どのくらいの本数があれば安心でしょうか?
広住さん:私たちの調査によると、災害時に大人2人で1週間過ごす前提で、冬場は9本、夏場は6本必要です。
——まとめ買いしておくと良さそうですね。
広住さん:一点、気をつけていただきたいのは、ボンベとこんろは指定のものを使うよう推奨されています。別の会社のものを組み合わせると、ガスが漏れたり着火しない恐れがあります。
岩谷産業のカセットガスは、コンビニなど様々な場所でも販売していて、手に取りやすいという点でも「安心安全」を実現しているんです。
「カセットこんろ」は安全に使っていただくことで、活用シーンが広がり、料理の自由度を高めることができます。ぜひ毎日にお役立てください!
05
マンネリ打破にも!おいしく実践◎「カセットこんろ」活用レシピ
味の素社でも普段の食生活を少し工夫しながら、無理なく災害時にも備える方法を紹介しています。
最後に、すぐに取り入れられる「カセットこんろ」活用レシピを3つご紹介!
どれも常温保存ができる食材で作れ、フライパン一つで仕上がる手軽さも魅力です。食卓でお子様と一緒に作っても、また防災食としても使えます♪
1.キャベツとコーンのモチモチお好み焼き風(調理時間:15分)
お餅でモチモチ!コーンや魚肉ソーセージが味のポイントです。
2.フライパン1つで!高野豆腐のクリーミートマトペンネグラタン風(調理時間:20分)
高野豆腐を使った驚きのレシピ!「鍋キューブ®」のコクで、ついもう一口と食が進みますよ。
3.春雨とツナのチャプチェ風(調理時間:15分)
韓国料理の「チャプチェ」をご家庭にある食材で和風にアレンジ。シャキシャキ野菜にタレが合わさって絶品です。
「料理をもっと自由にする」岩谷産業の「カセットこんろ」を使い、備蓄食材で簡単に作れるお料理メニューを紹介させていただきました。
上記のレシピで使っている岩谷産業の「カセットこんろ」は、こちらの「カセットフー “達人スリムプラス”」です。従来品より置き面積が小さく、テーブル面からごとくトップ位置までの高さがわずか74mmと薄型。ご家庭でもより使いやすい一台です◎
その他、味の素社では、災害時に備えた料理にまつわる工夫をたくさんご紹介しています。ぜひ特設サイトも覗いてみてください!