Introduction:
味の素グループは、日本や世界へ向けて、食卓を支える商品をお届けしながら、「Eat Well,Live
Well.」をスローガンに掲げ、よりよく食べ、よりよく生きる社会へ貢献していきます。
その旗印の一つとして、わたしたちが大切に考えるのが「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉です。「健康」や「幸福」よりも広い範囲で、心身ともに満たされた状態を表す概念として世界的に注目を集めています。
わたしたち味の素社は、これまでも栄養改善の取り組みや、ヘルスケア事業などを通じて、主に身体的な健康を高めようと取り組んできました。これからはさらに、料理の楽しさや食事の時間までを含めた「食」を通じて、「こころの豊かさ(主観的なウェルビーイング)」へ貢献していきたいと考えています。
でも、「食」が豊かになれば、ほんとうに「こころも豊か」になるのでしょうか?
それを裏付ける理由を探るべく、アメリカの世論調査会社「Gallup(ギャラップ)」と、世界規模の調査を実施しました。
料理と「食」が、世界中の人々の生活にどのように影響を及ぼし、ウェルビーイングと関わりがあるのか。その調査結果をご紹介します。
世界のみんなは、どれくらい料理を楽しめている?
※ Gallup社による調査報告
Gallup社では2005年より世界約150カ国・地域を対象に、世論調査「GALLUP WORLD
POLL」を実施。人々のウェルビーイングについて定期的に調べています。調査は、1カ国あたり約1,000人に対して、100以上の質問を対面や電話で30分かけてインタビューします。
このデータは国際連合の『世界幸福度報告書』や、OECD(経済協力開発機構)の幸福度調査である『Better Life
Index』などにも採用され、とても信頼性が高いことで知られています。
味の素社はそのGallup社と提携し、2022年版調査にて「料理の楽しさ」と「誰かと一緒に食事をする頻度(共食頻度)」について、下記の質問を加えました。
過去7日間を振り返って、
- あなたは料理を楽しんでいますか?
- あなたの知っている誰かと何日ランチを食べましたか?
- あなたの知っている誰かと何日ディナーを食べましたか?
では、それぞれの回答結果を見てみましょう。まずは、1つ目の質問から。
「あなたは料理を楽しんでいますか?」
世界で見ると女性のほうが料理を楽しんでいる
- グローバル全体では、約6割の人が料理を楽しんでいる。
- 女性は7割以上の方が料理を楽しんでいる。
世界全体では約6割の人が料理を楽しんでいるようですが、これを地域別に分けてみると、見えてくる光景も変わるようです。
- 北アメリカ、ヨーロッパ(東ヨーロッパ除く)は料理を楽しんでいる人が7割以上。
- アラブ諸国、アフリカ、アジア(東南アジア除く)は料理を楽しんでいる人が5割前後。
国や地域により文化や食習慣の違いもあるので一概には言えませんが、北アフリカ、アラブ諸国、中央および西アジアでは、男性が料理をする機会が他の地域と比較すると特に少ないようです。
全体的にいえるのは、いずれの地域でも女性のほうが料理を楽しんでいる傾向があること。ただ、そもそも「料理をしている」割合も女性のほうがずっと高い結果に。まだまだ、世界の台所には女性が立つシーンが多い、といったところでしょうか。
日本人はどれくらい料理を楽しんでいるの?
それでは、日本にフォーカスを当ててみます。
世界と比べてみると、どうやら日本では、料理で「楽しさ」を感じることがやや足りないよう……。
- グローバルと比較して日本の料理を楽しむ割合は全体でマイナス9ポイント、女性に限定するとマイナス13ポイント。
- 料理をする頻度は日本と世界で大きな違いはない。
世界全体では約6割の人が楽しめていた料理も、日本では49%にとどまってしまいました。さらに、世界では女性の約7割以上が「楽しんでいる」と答えたのに対して63%と、こちらも下回る結果に。
つまり、日本人は世界と比べると「料理を楽しめていない」ということです。この結果には、わたしたちとしては悲しみが湧くところではありますが……逆に捉えれば、もっと楽しめる人を増やしていくチャンス、といえるのかもしれません!
料理を楽しむと、ウェルビーイングは向上する?
※ 世界幸福度調査・OECDウェルビーイング調査
分析を進めてみると、「料理を楽しんでいる」と答えた人は、「料理を楽しまなかった人/料理をしなかった人」と比べて、他のすべての条件が同じであっても、ウェルビーイングの実感が20%も高くなることがわかりました。
この統計的な有意差は、Gallup社の世論調査「GALLUP WORLD POLL」において実施している「主観的ウェルビーイングの測定方法」との関係性から見えてきました。この測定方法は、人生をはしごに見立てて、自身の生活を評価してもらうというものです。
主観的ウェルビーイングの計測方法
質問文:
それでは、梯子(ハシゴ)を想像してみてください。 その梯子には、一番下は0、一番上には10と数字が付いています。 一番上の10があなたにとって最も理想的な生活で、はしごの一番下の段が最悪の生活を表すと考えてください。
10段目:最も理想的な生活
0段目:最悪の生活
質問項目:
Q1. あなたは、今現在、はしごのどの段に立っていると感じていますか?
Q2.あなたの想像では、5年後にはどの段に立っていると思いますか?
ウェルビーイング実感 | Q1 (現在) |
Q2 (5年後) |
---|---|---|
高い(Thriving) | 7点以上 かつ 8点以上 | |
低い(Suffering) | 4点以下 | |
上記の範囲以外(Struggling) | 上記の範囲以外 |
0段目を「最悪の生活」に、10段目を「最も理想的な生活」にあてはめたときに、自分が「何段目にいるのか」と「5年後にはどの段にいると思うのか」を聞きます。別名「キャントリルの階梯」と呼ばれ、主観的な幸福度や満足度を測定する際に、世界中で最も活用されている方法でもあります。
「料理を楽しんでいる人は、ウェルビーイングの実感が高い」──どうやら、わたしたち味の素社がお届けする商品や取り組みで、料理や食の楽しさを向上させることがウェルビーイングの鍵になりそうだ……と、期待が膨らむ結果となりました。
一人より、誰かと食べるほうが、ウェルビーイング実感は高い?
今回の調査では3つの質問をしましたが、残りの2問についても分析してみましょう。
- あなたの知っている誰かと何日ランチを食べましたか?
- あなたの知っている誰かと何日ディナーを食べましたか?
ここからは「誰かと食卓を共にする」ことを「共食」と呼んで書いていきます。
調査してみてわかったのは「週に1回以上の共食をした人は、一人きりで食べる人に比べて、ウェルビーイングの実感度が高い」ということでした。
さらに、過去7日間に「誰かと夕食を食べた日数」が多いほど、ウェルビーイング実感が高くなることもわかったのです。この傾向は世界的に、男女ともに同様でした。
今回の調査から、世界規模で見ても、大きく2つの結果が導き出せたといえます。
- 料理を楽しんでいる人は、ウェルビーイング実感が高い
- 共食の頻度が増えるにつれて、ウェルビーイング実感は高くなる
「Eat Well,Live Well.」を叶えるために
食べるために料理をしたり、家族や友人と食事をしたりすること。
それらは世界のあらゆるところで行われてきた、ありふれた生活のワンシーンに思えるかもしれません。でも、今回の世界的な調査結果によって、その活動が、人間がウェルビーイングであることの要素の一つだと解明できたのは、大きな発見です。
身体的な健康だけでなく、料理を楽しむことや誰かと一緒に食べることは、こころにも栄養を与える。それがわかったのですから。
味の素社はこれからも、「おいしく食べて健康づくり」という創業の志をもとに、世界中へ「おいしい!」を届けていきます。そして、世界の隅々まで栄養を行き渡らせるだけでなく、さまざまな境遇の「食」を想像しながら、その楽しさや奥深さを通じて、こころの豊かさにも貢献していきます。
「Eat Well,Live Well.」を目指して。
さらに詳しい調査レポートはこちら
当社サステナビリティサイト