子どもの好き嫌いをなくすのは至難の業。とくに野菜が苦手で、あの手この手で食べさせようとしても、目ざとく見つけて食べ残してしまうケース、少なくないのではないでしょうか。
ところが、味の素社が18年から小学校向けに開催している「Cook Do®」野菜収穫体験では、野菜嫌いだった子どもが、キャベツやピーマンを使った料理を完食するケースが続出しているのだとか。
現場ではいったいどんなことが起きているのか…野菜収穫体験の担当者である古本さんにお話を伺いました。
インタビューした人
調味料事業部
古本 晃さん
「Cook Do®」をはじめとする合わせ調味料のマーケティングを担当(取材当時)する野菜大好きマーケター。なかなかいうことを聞いてくれない3歳児の子育てに奮闘中。趣味は料理とラグビー指導。
- いつもスーパーでみかけるあの野菜を、自分で収穫&調理!
- みんな野菜好きに!?「Cook Do®」で広がる食の幅
- 2020年の収穫体験が中止に。野菜収穫体験をぜひご家庭でも
01いつもスーパーでみかけるあの野菜を、自分で収穫&調理!
——参加した子どもたちが次々に野菜好きになってしまうという噂の収穫体験。いったいどんなものなのでしょうか?
授業の一環として小学生のみなさんに農場で野菜を収穫し、「Cook Do®」を使って調理体験をしてもらっています。
いつもスーパーに並んでいる野菜が畑に実るところをみて、「ピーマンってこういうふうにできるんだ!」と驚く子が多いですね。また、現地には野菜だけでなく、土の匂いや風、日差しもあります。いろんなことを肌で体感することで、子どもたちの記憶に強く残るようです。
自分でフライパンや包丁を使って調理してもらうことで、ご家庭でいつも料理しているの方の大変さがわかったり、料理の楽しさを知ってもらう機会にもなっています。
——とても楽しそうです。実際に参加した子どもたちの様子はいかがですか?
大げさではなく、今まで体験してきたすべての会場に笑顔があふれていますね。ピーマンを栽培しているビニールハウスに入った途端、新鮮なピーマンの匂いがプンと立ちこめるんですが、それを「わあ、いい匂い!」といってくれたり、実際に野菜を触ってみて「こんなにツヤがあるんだ」と驚いたり。
五感を使っていろんなことを吸収してくれているんだなと感じています。好き嫌いにかかわらず、みんな収穫自体を楽しんでくれている印象ですね。
——ピーマンが苦手な子が多いと思っていたので、意外です。
実際、調理する段階になって、野菜嫌いの子が「食べられるかな?」と不安そうなのをみかけることはありました。ところが、実際にはほとんどの子が「野菜ってこんなにおいしかったんだ!」と目を丸くしながら食べてくれるんです。それまでピーマンをまったく食べられなかった子が「おいしい!」とすごくうれしそうに完食してくれたこともありました。
——それはすごい!一度嫌いになった野菜をおいしく食べられるようになるのは、とても難しいことですよね。
そうですね。自分で収穫することで愛着がわいたものには、自然と箸を運びやすいのかなという気がしています。2018年はキャベツ、2019年にはピーマンの収穫体験をしましたが、どちらもほとんど食べ残しがゼロ。私たちにとってはとてもうれしい、予想外のできごとでした。
02みんな野菜好きに!?「Cook Do®」で広がる食の幅
——子どもたちの野菜嫌いはなかなか克服できないもの。調理法にもなにか秘訣があるのでしょうか?
そこは「Cook Do®」の強みだと思っています。「Cook Do®」で提供している中華の炒めものメニューは、肉と野菜のバランスがよいとに加えて、野菜をおいしく食べられるのがポイントです。
「野菜嫌いな子でも「Cook Do®」を使った青椒肉絲(チンジャオロウスー)や回鍋肉(ホイコーロー)なら食べられる」というお声はこれまでにも届いていて。日本の1年あたりのピーマン出荷量のうちの約4%にあたる約4,900トンを「Cook Do®」シリーズで食べていただいているというデータもあります。(2018年度、当社調べ)
——4,900トンも!?
子どもたちが嫌いな野菜のなかでも、ナスとピーマンは上位ランキングの常連。食べる機会が多い野菜なので、このふたつを克服できると食べられる料理の幅がぐんと広まります。
子どもたちの嫌いな野菜についてのアンケートをみていると、「食感が(ふにゃふにゃして)イヤ」「ニオイが苦手」「苦い」という声がよくあがっています。コクのある味付けが特徴の「Cook Do®」青椒肉絲用なら、ピーマンの苦みをほどよく和らげ、強火で短時間炒めて調理する中華料理ということもあり、シャキシャキした食感も残りやすいんです。このあたりに、子どもたちの箸がすすむからくりがあるのかなと思っています。
献立にも毎年改善を加えています。食べている様子をすぐそばでみているので、子どもたちの箸の動きがリアルにわかるんですよ。実際に子育てをされている方の声も聞きながら、配慮すべき点などアイデアを出し合いながらすすめています。
——野菜収穫体験を通して、どんなことを感じてほしいとお考えですか?
この体験を通して、一日に必要な野菜を無理なくおいしく食べられようになってほしい、というのが私たちの願いです。そのためには、「献立をトータルでおいしく食べ切れた」という体験をしてもらうことが大事だと思っています。
僕自身の子育て体験からも思うのですが、子どもにとって達成感はすごく大事。自転車に乗れるようになるときと同じで、一回食べられると、次から難なく食べられるようになるんです。
ピーマンがたくさん入った青椒肉絲を一皿食べ切ることができたという経験は、すごく大切な体験になると思っていて。実際、体験後のご家庭へのアンケートでも「子どもが野菜をよく食べるようになった」という声をたくさんいただいています。
また、予想以上の成果として「子どもが料理のお手伝いをするようになった」という声も届いているんですよ。自分で収穫・調理して食べるという一連の経験のなかで、子どもたちが料理を自分事として感じてくれた結果かなと思っています。
032020年の収穫体験が中止に。野菜収穫体験をぜひご家庭でも
——コロナウイルスの影響で、2020年の収穫体験が中止になってしまいましたね。
非常に残念です。キャベツ、ピーマンときたので、今度は、なすと思っていたのですが…。
——「その代わりに」といってはなんですが、家庭でできることはありますか?
プランター栽培は気軽に始めやすくておすすめです。我が家でもステイホーム期間中、ベランダでミニトマトとネギを栽培し始めたんですよ。日々大きくなっていく野菜をみていると愛着がわきますし、いろいろ勉強になります。ぜひ試していただけたらと思います。
大地に足をふみ入れ、自分の手でもぎとった野菜を調理して食べる「Cook Do®」野菜収穫体験。生きた野菜を見てさわって、匂いをかいだり味わったり…五感をフルにはたらかせながら楽しむ子どもたちの生き生きした姿を見ていると、こちらまで元気をもらえそうです。
野菜のよさを発見し、食の幅を広げることができるとしたら、とても素敵ですよね。ぜひご家庭でも、表情豊かな野菜たちの魅力をお子さんと一緒に感じてみてはいかがでしょうか?