近年、カラダだけでなく心の健康への関心も高まっています。それに伴い、「ありのままの感覚」に意識を向け、心をおだやかにする”マインドフルネス”に注目する方が増えています。
※マインドフルネス:未来や過去のことは一度横におき、ただ目の前のことに集中している状態
そこで誕生したのが、ドリップ式飲むおだし「Dashi-Cha®」<かつお><とまと><ごぼう>の3品種。同商品は、お湯を注いでから飲み終わるまでの一連の体験を通じて、マインドフルなひとときを日常生活の中で味わっていただくために、こだわりぬいた”飲むおだし”を開発されたのだそうです。
担当者の秋山さんと中田さんに、新商品開発の経緯やこだわりについて、伺いました。
インタビューした人
調味料事業部新領域G
秋山 浩平さん
新領域の商品開発・マーケティングを担当。日々何をしたら世の中の人々がもっと幸せになれるかを考え奮闘中。
インタビューした人
調味料事業部新領域G
中田 匠さん
新領域の商品開発・マーケティングを担当。食の価値を向上・拡張させる体験が作れるよう尽力しています!
- マインドフルなひとときが楽しめる、新感覚の“飲むおだし”
- こだわりを追求し、開発期間は約3年
- 淹れてから飲むまで、そして飲み終わったあとまで味わえる!
- 届いた瞬間から、マインドフルな体験がはじまる♪
01
マインドフルなひとときが楽しめる、新感覚の“飲むおだし”
――2023年3月に発売された新商品、「Dashi-Cha®」について教えてください。
秋山さん:「Dashi-Cha®」は、味だけでなく見た目や香りも楽しめる“飲むおだし”です。淹れたときの香りだったり、おだしの色を楽しんだり。五感を使って目の前のおだしに集中することで、マインドフルな時間を過ごしていただきたくて開発しました。
――“飲むおだし”はほかにもありますが、「Dashi-Cha®」ならではの特徴はありますか?
秋山さん:特徴は3つあります。1つ目はレシピ。“おいしい飲むおだし”とはどんな味なのか、こだわりぬいてレシピを開発し、おいしさの完成度を高めるためにしょうゆや塩などでほのかな味付けをしています。
また、このレシピについてはミシュランで星を獲得し、2022年版「アジア50ベストレストラン」で1位を獲った日本食レストラン「傳」の長谷川在佑シェフに監修をお願いしています。
2つ目は原料。「Dashi-Cha®」で使っているかつお節は、かつお節製造販売の老舗、柳屋本店さんにこの商品のために特別に作っていただいたもの!このコラボは、味の素社が長年かつお節を活用した調味料開発に取り組んできたからこそ実現しました。
3つ目は香り。一般的に、コーヒーを入れるドリッパーであれば内容量10g未満のものが多いのですが、「Dashi-Cha®」のドリッパーは15g以上と大容量サイズのものを採用しています。たくさん素材を入れられるだけでなく、開口部を広くすることで、香りをより楽しめるように工夫をしています。
中田さん:秋山さんとは別の視点で言うと、「マインドフルネス」を重視しているのも、この商品の特徴です。「Dashi-Cha®」は五感を使った「一連の食体験」に重きをおいているんです。
――「一連の食体験」とは、具体的にどういうことですか?
中田さん:まず飲む前に、心を落ち着かせるため深呼吸をする。次に、ドリッパーを持ち上げて、その重みを感じていただきながらフタを開ける。そうすると、おだしの香りがフワッと漂ってきます。たくさんの素材が入っているので、見た目でも楽しめますよ。
ドリッパーを器にセットしたら、お湯を注ぎます。このとき、コポコポとお湯が注がれる音や、立ち上る湯気、おだしのふくらみを楽しみながら3回に分けて注ぐのがコツです。抽出している間は、ポタポタ落ちる雫が波紋のように広がる様子を眺めるのもいいですね。
ドリッパーのお湯がすべて抜けたら完成です。琥珀色のきれいなおだしを味覚だけでなく視覚でも味わっていただけます。
普段だと見過ごしてしまうようなささやかなことに意識を向けてみる時間にしてほしい。そんな「マインドフルな食体験」に重きを置いているのも、この商品の大きな特徴です。
02
こだわりを追求し、開発期間は約3年
――おだしの新しい楽しみ方を提案している「Dashi-Cha®」。そもそもどんな経緯で開発が始まったのでしょうか?
秋山さん:私たちは、本来「食」とは味覚だけでなく、視覚や嗅覚といった五感を満たすものだと考えています。五感を研ぎ澄ませることで、日々の喧騒を忘れて「今この瞬間」に没入できる。つまり、マインドフルな時間を味わうことができるんです。現代人は仕事に家事にと忙しい方が多く、カラダの健康と「時短」「簡単」を両立させることを目的とした商品は多くありました。でも、丁寧に時間を使った、心の健康を目的とした商品があってもいいじゃないか。そう思ったのがきっかけのひとつです。
あともうひとつ。味の素社では、長年「だし」の研究・開発をしてきました。「ほんだし®」という50年以上の歴史を持つ商品もあります。その一方で、「だし」に関する新しいチャレンジをできていない課題感もあって……。「だし」を知り尽くした味の素社だからこそ提案できる、新しくておもしろい商品を生活者に届けたい。
「Dashi-Cha®」は、この2つの理由がうまく噛み合って誕生した商品なんです。
――新しいチャレンジというだけあって、開発は大変なことも多かったのではないですか?
秋山さん:構想してから発売まで約3年かかりましたね。たとえば抽出の仕方は、お茶のようにティーバッグにするのか、「ほんだし®」のように顆粒にしてお湯で溶かすのかとか。開発メンバーで一致していたのが「おだしを自分で引く体験」をしてほしいという想いでした。その想いが最善の形で実現できそうだったのが、ドリップ式なんです。
ただ、コーヒーのドリッパーをそのまま使うと時間がかかるし、味も薄くなる。そこで、味の素AGF社の知見を借りておだしのためのドリッパーを開発することにしました。
――新商品のために一から開発するのはすごい。そういえば先程、ドリッパーだけでなくかつお節も「Dashi-Cha®」のために開発したとおっしゃっていましたが……。
秋山さん:はい。監修の長谷川シェフと一緒に、何十種類ものかつお節を試したんですよ。でも、なかなか理想のものが見つからなくて。「なら、自分たちで理想のかつお節を作ってしまおう!」ということで、柳屋本店さんと一から開発をすることにしたんです。
ただ、かつお節を作る工程は特に難航しましたね。おいしさや香りをしっかり出したい。でも、臭みは少なくしたい。そのバランスがすごく難しかった。
――かつお節の開発には、どのくらい時間がかかったのでしょう?
秋山さん:1年半はかかっていますね。
――1年半!? さきほど、開発全体で3年と言っていましたよね?
秋山さん:そう。半分以上の期間をかつお節の開発にあてているんです。「ついにバランスがいいものができた!」と思っても、だし茶にしてみるとなんとなく物足りなかったりして……。一からかつお節を作るのに約1ヶ月かかるのですが、20回は作り直しましたね。
――試行錯誤を繰り返してできた「Dashi-Cha®」。<かつお><とまと><ごぼう>と3種類の味がありますが、この3つになった理由を教えてください。
秋山さん:この3種類以外にも、まぐろや煮干し、生ハム、玉ねぎ、とうもろこし、アスパラガスなど、いろいろな食材を試しました。その中でも、やっぱり<かつお>はだしの定番というか。香りをかぐだけでこんなに落ち着けるものはない、と満場一致で決まりましたね。
――では、<とまと>と<ごぼう>を選んだ理由は何だったのでしょう?
秋山さん:「こんな食材から、こんなにおいしいおだしがとれるんだ!」という驚きを感じてほしかったんです。その驚きとおいしさが絶妙にマッチしたのが、<とまと>と<ごぼう>でした。
中田さん:あとは、「Dashi-Cha®」では季節感も大事にしたいなと思っています。それで、夏野菜の<とまと>と、秋野菜の<ごぼう>をラインナップに加えたかった、というのもありますね。今後も季節を感じられる食材を使って、ラインナップを増やしていきたいと思っています。
――<とまと>や<ごぼう>など、野菜からおだしがとれることを知らない人は多そうですね。
秋山さん:生活者の方に試飲していただいたときも、驚かれる方は多かったですね。でも、ただ驚きを与えるだけにしたくなかった。ちゃんと「おいしい」と感動できるものにしたいから、どうやったら野菜本来のよさを活かしただしがとれるか、何度も試作を行いました。
03
淹れてから飲むまで、そして飲み終わったあとまで味わえる!
――開発担当者のおふたりは、どんなタイミングで飲んでいますか?
中田さん:僕は、中だるみしはじめる昼食後によく飲んでいますね。おやつどきの小腹が空いたときにもちょうどいいです。また、仕事の休憩中に飲むのもオススメですよ。「Dashi-Cha®」に五感を集中させることで、リフレッシュできて仕事にも精が出るんです!
秋山さん:わたしは寝る前のホッとしたいタイミングで飲むことが多いです。ノンカフェインだから寝る前でも安心できます。ホッとしたいときにも、集中したいときにもいい。場所やシーンを選ばず楽しめるのも、「Dashi-Cha®」の特徴かもしれません。
――オススメのアレンジレシピがあれば教えてください!
秋山さん:実は、抽出したあとのおだしは再利用できるんですよ! 例えば、オリーブオイルと塩であえて、それをバケットにのせることでブルスケッタのように召し上がっていただけます。飲み終わったあとも、まだまだ味わえる。そんな一連の体験を楽しんでいただきたいです。
04
届いた瞬間から、マインドフルな体験がはじまる♪
取材が終了した撮影時間にも、「実は…」と開発の裏話をたくさん話してくださった秋山さんと中田さん。そんなこだわりがたくさん詰まっている「Dashi-Cha®」。
パッケージも癒やされるデザインになっていて、届いた瞬間から「マインドフルな食体験」がはじまります。あなたの気になる味で、ぜひ試してみてくださいね。