どなたかのおうちを訪問してキッチンを覗かせてもらったとき、「こんなキッチンだったらお料理が楽しくできそうなのに…!」と思ったことはありませんか?
このコーナーでは、お料理を楽しんでいる方の自慢のキッチンにお邪魔し、日々のごはんづくりをいまよりも楽しく快適にするためのヒントをご紹介します。第1回目は、アペロスタイリスト・あーやさんのキッチンです。
インタビューした人
アペロスタイリスト
あーやさん
うつわとアペロ、旅ごはんを愛し、レシピ製作や食べる旅やうつわなど撮影・執筆中。好きになるとオタク気質が高じてのめりこむタイプ。直近は台湾にハマり、2019年は7回渡航。また、日々お酒とおつまみ×家族のごはんの両立を模索している。
https://note.com/enjoyatable
https://www.instagram.com/ayavoyage/
- 「アペロ」をこよなく愛する、あーやさんのキッチン
- あーやさんのキッチン、ふたつのこだわりポイント
- あーやさんのEat Well, Live Well
01「アペロ」をこよなく愛する、あーやさんのキッチン
「お料理をすることが大好きなので、新鮮でいろんな種類の食材が手に入る商店の近く、調理のしやすいキッチンかどうかがおうち選びの決め手でした」とおっしゃるあーやさん。お料理することと食べること、なかでもディナーの前におつまみとともに軽く1杯を楽しむフランスの食習慣「アペロ」を愛してやまない方です。
「平日は仕事をしていて、子供もいるのですぐに夕食が準備できるよう副菜中心に作り置きをしていることが多いです」とあーやさん。
この日は、大好きな「インカのめざめ」を使った「パセじゃが」なるおかずはじめ、季節感のある食材を用いた品々が食卓に並んでいました。
02あーやさんのキッチン、ふたつのこだわりポイント
そんなあーやさんのキッチンは、リビングが見渡せるオープンカウンタータイプ。調理スペースを広く確保するために、作業台にはなるべくものを置かないようにしているそう。
その分、収納が工夫されていて、冷蔵庫や戸棚を開けると、食材や常備菜がところ狭しと並びます。“すっきり”と“ぎっしり”がうまく両立している印象です。
うつわを大切に“使う”ための収納の工夫
あーやさんの食卓に欠かせないのが、うつわ。お母さまの影響で10年くらい前からコツコツ集めたというたくさんのうつわには、それぞれに思い入れがあるのだそう。メーカーさんのうつわ、作家さんのうつわと種類が豊富で、素材もガラスや陶器、木工とさまざま。
そんなあーやさんが大切にしているのが、ふだんの食卓でうつわを積極的に使って楽しむこと。うつわひとつひとつにまつわるストーリーや思い出が、使いこむほどに日常に寄りそい、やがて生活になじむうつわになる…。それがあーやさんのお考えです。
「うつわのなかには繊細なものもあり、使っているうちに欠けたり、割れたりしてしまうことももちろんあるのですが、怖がらずに使うようにしています」
もし割れてしまっても、漆や金継ぎ、銅継ぎして大切に使い続けるのだそう。「修繕すると、また違った表情が見えるんです。割れたら割れたなりの楽しみがあるのが面白いです」とあーやさん。
「とはいえ、うちには就学前の小さな子どももいるので…。お気に入りのお皿やうつわは、引き出しのいちばん低い段に入れたり、布でクッションを作ったりして大事に収納するようにしています」
お料理で一番大事な調味料は、作業台からいちばん近い引き出しに
お料理上手なあーやさんだけあって、キッチンは徹底的に使いやすく整えられています。なかでも印象的だったのが、作業台近くの引き出しを開けるとあらわれる、調味料がずらりと並んだスペース。
「食材はもちろんですが、おいしいごはんを作るのに一番大事なのは調味料だと思っているんです。食材のよいところを調味料が引き出してくれるというか。なので私は、作業台から一番近いところに調味料を収納しています。調理器具を入れる仕切りをとり払って調味料用のスペースにしちゃいました」
動線が短くなり、お料理の効率もぐんとよくなったそうです。
旅に出ると必ず食材に目がいき、気になったものは積極的に試してみるのだとか。こちらは、大好きな台湾に行くたびにまとめ買いするお気に入りの調味料や食材。カゴにまとめてストックして、旅気分を楽しんでいるそう。
03あーやさんのEat Well, Live Well
ホームパーティーを開くことも多いあーやさん。心がけているのは、ゲストが自宅にいるときのようにリラックスして楽しめること。
「せっかくなら、来てくれた人たちにもうつわを楽しんでもらいたいので、過度に丁寧に扱わないようにしています。気軽に手に取ったり、実際に使ったりしてうつわに興味を持ってもらえると、すごくうれしいです」
そんなあーやさんの考え方は、普段の食卓にもあらわれています。
「私も仕事をしているので、どうしてもお料理する時間や余力がないことも。そんなときは無理せず、ゆるく楽しむことを一番に考えていて、手作りを楽しめないときはしないと決めています。作り置きは、無理しない程度に、週に2~3品。忙しいときはお惣菜を買って済ませることもあります」
こだわっているのに、ほどよく力が抜けているのが、あーやさんの魅力。
「素敵なうつわは大好きだけれど、飾りものではないから。お気に入りのうつわで人がおいしそうに食べてくれるのが一番うれしいしホッとします」
キッチンもうつわも、ともに暮らす人になじんでこそ。いつも“人”が中心にあるあーやさんのお考えには、大いに共感させられました。
うつわとおいしいごはん、そしてなにより家族への愛が満ちあふれるキッチン、ぜひ真似したいですね。