食べるって楽しい! おいしく食べて、健康に過ごせたら幸せ♪「AJINOMOTO PARK」では、そんな気持ちに寄り添いたいという思いから、食に関するお役立ち情報や気づきを求め、さまざまな料理家さんとともに活動しています。
暑い夏は、手軽に作れるさっぱりした料理が嬉しいもの。「おだいどころ⻁の巻」では、いつもキッチンに立つみなさんのそんな思いにこたえるとっておきのアイデアを、その道の賢者にうかがいます。
今回のテーマは「そうめん」。夏の風物詩であるそうめんは、ほんのひと手間加えるだけで、レベルアップさせることができるそう。そうめんをよりおいしく楽しむための作り方について、そうめん研究家のソーメン二郎さんに教えていただきました!
インタビューした人
そうめん研究家
ソーメン二郎さん
- そうめん文化を守るため「ソーメン二郎」になった
- ワンランク上のそうめんを作る方法
- めんつゆだけじゃない! 自由な発想で作るそうめんアレンジレシピ
- 編集部でも作ってみた!
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そうめん文化を守るため「ソーメン二郎」になった
そうめん研究家として数々のメディアに登場するソーメン二郎さん。もともと本家が奈良県にある三輪そうめんの製麺所で、幼い頃からご飯よりもそうめんを食べて育ったのだとか。
そんなソーメン二郎さんがそうめん研究家になったのは、「手延べそうめんが50年後にはなくなっているかもしれない」という危機感を抱いたことがきっかけ。
「手延べそうめんを作る主要産地の製麺所は全国に800軒くらいありますが、廃業するそうめん製麺所が近年増えています。その理由は、「作り手が高齢で跡継ぎがいないから」。
1200年続くそうめん文化を守るため、ソーメン二郎さんは9年前からそうめんの普及活動を始めました。
「テレビで僕を見た人が昼飯時に『そういえば変なそうめんおじさんがいたな。今日の昼はそうめんにしようかな』と思い出してくれたら嬉しい。もし僕がそうめん文化を守ったら、ソーメン二郎ならぬソーメン金次郎として銅像になるかもしれませんね」
そんなソーメン二郎さんが考える、そうめんの魅力とは?
「つるんとしたのどごしでしょうか。のどごしと言うとビールみたいなので、僕は『のどばしり』と呼んでいます。本当にいいそうめんって、まるで喉を走っていくかのようにサッと流れていくんです」
「また、基本的に家でみんなでワイワイ食べられるところも魅力です。お世話になった人にお中元で贈ったり、夏は『そうめん食べた?』と話題に出したり、人と人との間にそうめんが存在する。原材料が小麦だけに、いい小麦ケーションになるんです!」
02
ワンランク上のそうめんを作る方法
猛暑日が続くなかで、さっぱりと食べられるそうめんが食卓に登場する頻度が高くなっているおウチも多いのではないでしょうか。そうめんをよりおいしく作るコツを、ソーメン二郎さんに教えていただきました!
■虎の巻 其ノ一 手延べそうめんを選ぶ
まずは麺の選び方。そうめんには、機械で生産する機械麺と手延べそうめんの2種類があります。
「職人さんが生地を延ばして延ばして、手でこよりのように撚って(よって)麺を作るのが手延べ。手延べかどうかは、麺のパッケージの裏を見れば分かります。『そうめん』と記載されているのが機械麺で、『手延べそうめん』と記載されているのが職人さんが作ったものです」
ソーメン二郎さんいわく、めんつゆでシンプルに食べるなら『のどばしり』がいい手延べがオススメとのこと。機械麺は、チャンプルーなどのアレンジを加えるとよりおいしく食べることができます。
そうめんは生地を延ばすとき、表面に油を塗ることが多いのですが、手延べそうめんの中には、生地を延ばすときに油を使わないものもあるそう。取材時に使用したものは、油の代わりに葛(くず)の粉を使ったもの。葛でコーティングすることで、小麦の香りが強く出るのだとか。
■虎の巻 其ノ二 ゆでるときに梅干しを加えて麺にコシを出す
簡単で作りやすいイメージのそうめん。ゆで方のコツも教えていただきました。
「麺1束(50g)に対して10倍の水を沸かしてください。すると麺がお湯の中で対流し、おいしくゆで上がります。吹きこぼれたときに差し水(びっくり水)を入れる人も多いですが、お湯の温度が下がるので私はやりません。火を弱めるだけで大丈夫です」
「お湯が沸騰したら、梅干を一粒入れてください。小麦のグルテンがギュッと引き締まります。梅干しの色や臭いがつくことはないのでご安心を」
■虎の巻 其ノ三 冷水で揉み洗いすることで「のどばしり」に差がつく
麺がゆで上がったらザルにあげて湯切りし、冷水でよく揉み洗いします。麺の油と塩を洗い流すと、「のどばしり」がよくなるそう。
「手延べそうめんは丈夫でちぎれないので、強めにしっかり揉み洗いして大丈夫。3回くらい洗います」
そのあとは冷たい氷水でしっかり締めてから、ギュッと絞って水分を切ります。
「ほら、ギュッと絞るとかなり水が出るでしょう。ちゃんと絞らないと、水でめんつゆが薄まってしまうんですよ」
編集部スタッフが「器に氷水と一緒にそうめんを盛っていました」と言うと、「それは一番やっちゃいけません」とソーメン二郎さん。
「長時間そうめんを氷水に入れると、水分を吸ってコシがなくなってしまいます。明日からは、食べる前によく水分を切ってください」
■虎の巻 其ノ四 オリーブオイルと塩で素材の風味を感じる
そうめん研究家として、さまざまな麺を扱ってきたソーメン二郎さん。初めて出会った麺をテイスティングするときはめんつゆではなく、オリーブオイルと塩で食べるのだとか。
「めんつゆで食べるとめんつゆの味になってしまうので、そうめん自体の「のどばしり」や風味をストレートに感じるにはオリーブオイルと塩がいいですね」
その食べ方を知ったのは、オリーブとそうめんの名産地・小豆島に行ったときなのだそう。
「醤油とオリーブオイルのソムリエがいるんですが、その方がオリーブオイルのテイスティングをするときにそうめんを使っていたんですよ。それで僕も、そうめんのテイスティングにオリーブオイルを使うようになりました。そうめんはもともと油と塩を使っているからオリーブオイルと相性がいいんです」
そうめんにオリーブオイルだけだと味気ないですが、ハーブソルトをかけたり、ミントを散らしたりすると料理としておいしく食べることができます。
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めんつゆだけじゃない!
自由な発想で作るそうめんアレンジレシピ
そうめんといえば、めんつゆと薬味で食べるイメージですが、実はもっといろいろな食べ方があるんです。
「ごはんに合うもの、パンの具材になるものはすべてそうめんにも合います。たとえば、ごはんにもパンにも合うカレーは、にゅうめんに合わせるとおいしいです。また、ごはんにかけるとおいしい納豆も、そうめんとよく合いますよ」
ソーメン二郎さんが今までに考案したアレンジレシピはなんと60種類以上! その中から新作レシピを教えていただきました。
■虎の巻 其ノ五 めんつゆ以外のつゆを作って遊ぶ
教えていただいたのは『桜えびとしらすの豆乳ごまだれそうめん』。
ボウルに無調整豆乳(150ml)・ポン酢(小さじ1)・すりごま(5つまみ)・めんつゆ(少々)を入れて混ぜ合わせ、つゆを作ります。
ゆでて水で締めたそうめんを器に盛り、つゆをかけて、桜えび・しらす・刻んだ大葉をトッピングしたらできあがり。
このレシピのポイントは「つゆを最後まで飲めること」だとか。
「そうめんのめんつゆをぜんぶ飲む人はあまりいませんよね? でもこのつゆは豆乳ベースなので、ラーメンのスープみたいに最後までおいしく飲めるんです。僕も50歳を超えたので、お酒のあとの締めにラーメンを食べるのが辛くなってきて。その点、これはそうめんだから軽くて、お酒の締めにもぴったりです」
■虎の巻 其ノ六 意外なトッピングで遊ぶ
次に教えていただいたのは、まるでカッペリーニのような『桃と生ハムのそうめん』。
白桃の缶詰を開け、中のシロップをオリーブオイルと混ぜ合わせてつゆを作り、桃は細かく刻みます。そうめんはゆでて水で締めたら器に盛り、つゆをかける。
刻んだ桃を、そうめんにのせ、その上から、ちぎった生ハムとミントを散らしたらできあがり。桃の甘さと生ハムの塩気がマッチする、見た目も可愛い一品です。
「いろんな果物で作ってみたんですが、桃が一番そうめんの風味を邪魔しなくておいしかったです」
あっさりした味でつるんと食べられるので、夏バテ気味で食欲がない日にもオススメです。
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編集部でも作ってみた!
ソーメン二郎さんに教わった『桜えびとしらすの豆乳ごまだれそうめん』を作ってみました!
がっつり食べたい気分だったのでそうめんを2束にして、つゆも濃いめに。お湯を沸かしている間につゆとトッピングの用意ができたので、あっという間にできました。
豆乳とすりごまの濃厚なつゆが麺によくからみ、桜えびとしらすのうま味で食べごたえアップ。これならお子様も喜んで食べてくれそう。
普段とは違うそうめんを食べてみたい方にオススメ♪
簡単に作ることができて、夏を感じられるそうめん。この夏は一味違った食べ方でそうめんを楽しんでくださいね。