「時間がなくても、簡単においしい料理を作りたい!」という願いを叶えるには、さまざまな工夫が欠かせません。
「AJINOMONTO PARK」のシリーズ企画「味の素社員のご飯ルール」では、味の素社員の食卓をのぞき見し、食を楽しむための工夫やヒントを探っています。
今回は番外編として、味の素社の本社食堂をのぞき見!社員食堂のメニューを考案している管理栄養士の児玉さんが登場します。社員食堂で提供している「My Healthランチ」をもとに、栄養バランスの良い食事を作るコツを教えてもらいました。
この前編では、献立の決め方や、栄養バランスの良さと満足感を両立させるための工夫を紹介します。
- 味の素社の社員食堂で人気の「My Health ランチ」って?
- 主菜を中心に、1週間の献立を決めていく
- 栄養バランスよく、おいしく食べてもらうための工夫がいっぱい!
- 「デザートが楽しみ」その一言がとにかくうれしい
01
味の素社の社員食堂で人気の「My Health ランチ」って?
味の素本社の社員食堂では、「丼もの」や「麺」メニュー、目の前で調理される「LIVE」メニューなど、毎日さまざまなランチが提供されています。そのなかでも、今回注目したのは「My Healthランチ」。
味の素グループでは、「味の素グループで働いていると、自然と健康になる」を目指す姿に掲げています。「おいしく食べて健康プラス」をコンセプトにしている「My Healthランチ」はその取り組みの一つで、「たんぱく質20g以上、野菜120g以上、食塩3g以下」を基準にした献立。国内全ての食堂で提供されています。
本社の社員食堂では、1日380食ほど提供していますが、170食くらいを「My Healthランチ」が占めるという人気ぶりです。
02
主菜を中心に、1週間の献立を決めていく
「My Healthランチ」の献立決めは、1週間分の主菜を考えるところから始まります。
「まずは主菜の食材が被らないように決めていきます。月曜は魚、火曜は豚肉、水曜は鶏肉、木曜は牛肉、金曜はひき肉といった具合ですね。調理法も、炒め物や揚げ物など、できるだけ変えるようにしています」
「次は主菜に合う汁物を決めて、最後は副菜です。主菜と汁物で野菜を120g摂れている場合は、季節感が出せるフルーツや、たんぱく質が補えるヨーグルトなどのデザートにすることも」
献立の基準には含まれていませんが、主食のエネルギーを抑える工夫もあります。
「ご飯は白米よりエネルギーが控えめな『ロウカット玄米』を、パンも低糖質パンを使っています」
「1週間分の献立を考えるのは大変ですが、レストランを参考にしたり、同僚に相談したりして、ヒントをもらっています。あとは、味の素社員からの提案もあるんです。『ロウカット玄米』は人事部の方に聞いて取り入れましたし、新商品が出たときも取り入れましたね」
03
栄養バランスよく、おいしく食べてもらうための工夫がいっぱい!
お話を聞いた日の「My Healthランチ」は、主菜が「鶏ささみのチーズフライ」、ロウカット玄米とみそ汁、小鉢は柿でした。
「鶏ささみには食塩量が少ないトマトソースをかけて、みそ汁にはブロッコリーやにんじんを入れて野菜を摂取。小鉢は柿で季節感を取り入れました。トマトソースはトマト自体のうま味と酸味がありますし、とろみもあることで舌にとどまる時間が長いので食塩を抑えても満足感が上がりやすいんです」
この日の塩分量は2.2gと基準よりも控えめ。しかし、塩分量に余裕があるからといって汁物の味を濃くすることはしません。
「汁物はいつも同じくらいの塩分濃度にして、その味に慣れてもらっています。一度、塩分濃度を上げてしまうと、せっかく薄味に慣れた舌が戻ってしまいます」
栄養バランスとおいしさを両立させるのはもちろん、特に「塩分3g以下」は悩みどころだといいます。
「味を濃くすれば満足感は得やすいのですが、それだと塩分を摂り過ぎてしまう。みなさんの食べ方を見ながら、満足感を上げて残さず食べてもらう工夫を実践するようにしています」
たとえば、塩分量は主菜、汁物、小鉢で均等に割り振るよりも、主菜に大きく配分することで味にメリハリがつき、満足感に繋がりやすくなるのだとか。
また、積極的に季節感のある食材を取り入れることで、塩分量が少なくても満足感を上げられるのだそう。秋ならきのこ類、柿などです。
「きのこ類は、秋の味覚であることを意識して他の季節にはあまり出さないようにしています。味付けも、夏はさっぱりとしたポン酢ベース、冬は暖かみのあるクリームソースと季節を意識して使い分けるように心掛けています」
04
「デザートが楽しみ」その一言がとにかくうれしい
児玉さんにとって「楽しみの一つ」がデザート作りです。
「もともとお菓子作りが好きで、趣味でショコラティエの教室に通ったこともあります。食堂でもデザートを出したときに『これが楽しみで来ました』と聞くとうれしいです」
こうした社員との会話も、以前に比べるとずいぶん増えたのだそう。
「コロナ禍の前は1日700食くらい提供していて、一人ひとりと会話する余裕はありませんでした。今は在宅勤務が増えたこともあって、提供数が半分くらいになり、みなさんと会話を楽しむ時間もあります。日常会話はもちろん、メニューに対するご意見をいただくこともあり、食堂の運営に活かしています。やっぱり顔を見て食事を提供したいと強く思うようになりましたね」
最後に、味の素社の食堂だからこそ感じることを聞いてみると、「健康や食への関心の高さ」を挙げてくれました。
「みなさん、食べることが好きだからこそ、『もう少し薄味が良い』など意見をもらえるのもありがたいです。社員食堂としては『おいしくないから行かない』となるのが一番悲しいので……。意見をもとに改善して、足を運んでもらえる食堂でいたいですね」
栄養バランスが取れているだけでなく、食べる人の満足感まで考えられている「My Healthランチ」。児玉さんたちのさまざまな工夫が、「おいしい」に繋がっていました。
後編では、減塩や野菜を多く摂るコツなど、ご家庭でもできる実践的なテクニックをお伝えします。